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ゆるやかな日記

ふつりと糸がもろく切れるようにしてこんこんと眠っていた。
起きても眠くて眠くてそのまま眠り、夜明けの部屋でぼんやりと部屋を眺めながら呼吸をする。

倦怠感が続く日の今日はもう、諸々休んで本を読むことにした。
こういう時の私がいつも手に取るのは、上橋菜穂子の獣の奏者だ。
お守りのような本でもあり、心の栄養の本でもあり、どこか遠くへと連れて行ってくれる本である。
何度も読んで何度も救われた本を読みながら、ようやく息をする。

私にとって読書は救いで、ただひたすらに何も考えない時間を作るひとときでもある。
本を読む時、私はその世界の中で存在しない何かとして物語を見守っている。
そこに私の意思はなく、ただただ物語を追う。

ふと顔を上げて外の景色を見る。白昼夢の中にいるような心地を味わいながら再び物語に没頭する。
そうして読み終えるまで何も考えずにひたすら物語を楽しむのだ。

今は物語を一旦閉じて、日記のようなものを書いている。

昨日は欲しかったお皿が再販売してるのを見つけた。
私のうっかりで手放してしまったお皿は、次に買おうと思った時にはなく、それから度々、思い返しては好きなお皿だったなぁ、と検索を繰り返していた。
いつかまた、出会えたら。
そんな思いが通じたのか分からないけれど、そのサイトを覗いたら見つけて、思わず笑顔になった。
今度は2枚買おう、とこのように先の約束を何度も決めながら私は日々を生きている。
なんて書いたら大仰になってしまった。

それでも先の楽しみがあることで日々が少し楽しくなる。言い訳をしながら買ったものが届く日を楽しみにしながら、私は再び獣の奏者の世界に戻る。

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