ドイツを旅していたときにスーパーに寄ったら、おにぎりが売っていた。
ヨーロッパのスーパーに行くと、SUSHI という名の「寿司」とは似て非なる食品に度々お目にかかかる。酢飯が単なる冷や飯だったり、「茹で」ご飯を海苔でこれでもかという位にぎゅっと巻いて溶けたご飯の中にきゅうりが埋まっていたりと、それはそれは冒険心をそそられる食べ物である。
たいして美味しくないとわかっていても、見るとその完成度を計ってみたくなる性分なので、これまでにも(食べて危険ではなさそうな)SUSHI はいろいろと食べてきた。
が、ヨーロッパのスーパーでおにぎりを見たのは初めてだ。
しかも、コンビニおにぎりと同じパッケージに入っている。つまり、こういうヤツだ↓
(1) ご飯とは別に海苔がフィルムで包まれている。
(2) そのフィルムの真ん中のツマミを引くと、フィルムが左右にぱかっと開く。
(3) 開いたフィルムを左右に引くと、パリパリの海苔の中に握り飯がすとんと鎮座する。
味も「テリヤキ チキン」と「エダマメ」の二種類があった。寿司ほど技量を必要としないので、あまり失敗することはないだろうと、期待度高めで両方とも買った。
ホテルに戻って、いざ実食。
フィルムの真ん中のツマミをツイと引く。が、食品表示のシールに引っかかって、そこから先に進まない。力を入れてツマミを引き直すも、シールが丈夫過ぎてツマミが切れそうになる。今度は手でシールを切ろうとするが、よほど頑丈な紙と粘着剤を使っているのか、フィルムがよれよれになってしまい、あげくの果てには中のおにぎりが崩れてきてしまう。
仕方がないのでハサミを取り出してきて、ハサミでツマミの通り道に沿って食品表示シールを切っていく。
ハサミにくっついてくるシールの粘着剤と悪戦苦闘しながら、やっと前述の「(2) フィルムが左右にぱかっと開く」の作業を終えた。ふう、と額の汗を拭う勢いである。
そして「(3) 開いたフィルムを左右に引く」を実行すべく、フィルムを横に引くがうんともすんとも言わない。フィルムの角が三角おにぎりの頂点の両側で接着されているため、回り込んだ海苔が引っかかってフィルムが抜けないようだ。この接着点を剥がそうとするが、またまた頑丈に張り付いていて剥がれない。
引っ張ろうとすると、海苔は破けるし、ご飯は崩れるし、こんなに技術を要するおにぎりパッケージには初めて遭遇した。結局ハサミでフィルムの端っこを切って、ようやっと破れ海苔に巻かれたぐしゃぐしゃのおにぎりが登場した。
これでやっとおにぎりが食べられる……。あーん、ぱくっ。
……。
……うわー、やられた…… -⁽ -´⊿`⁾-
お水を既に入れたのを忘れてまた水を足して炊いてしまったエダマメと鶏ムネ肉の混ぜご飯と言ったらいいのか(エダマメもテリヤキ チキンもほぼ同じ味)。炊きあがった当日は「リゾット風よ!」とごまかしたはいいが、翌日になって冷たくなったそれをニチャニチャにならないようにそっと握っておにぎりの体にしたような感じ。
にもかかわらず、フィルムを剥がすときにおにぎりを崩してしまったので、大雨で地すべりしたご飯を海苔で包んで食べているような気になった。久々のアウトである。
ここのところ、レベルの低い SUSHI を食べていなかったので油断していた。私は早々にエダマメもテリヤキ チキンも離脱したが、同行者は翌日にも「お弁当にするんだ♡」と言って同じおにぎりを買っていた。強者である。
それにしても、あのおにぎりパッケージ デザインをあれほど開けにくくできるというのはどんな発想なんだろう。生産段階に持ち込む前に接着剤の強度とか試験しなかったんだろうか? それともドイツ人はあんな接着剤くらいものともせずにバリッと開けられるものなんだろうか。無敵のインダストリアル勢。
写真は件のおにぎりです ↓ 一個約 370 円…… 🥲