ドイツに来ております。
とあるサービス エリアでトイレに入ろうとしたら、遊園地の改札みたいなものが。1 ユーロ(≒ 170 円)払わないと入れてくれないらしい。仕方がないので、お金を払って個室に向かった。どんなにピカピカなトイレが待ち受けているかと思ったら、やや昔風の普通なトイレ。
うすピンクの陶器のトイレに O(オー)型のプラスチックの便座。お水もこころなしか薄汚れて見える。「なーんだ、1 ユーロも払ったのに」と思いながら先にお水を流すことにした。コトが終わってから水が流れない!という事態は避けたい。
流水ボタンのセンサーに手をかざすと(そこはテクノロジーが行き届いている)、お水が流れて一安心。と思いきや、なんと便座がモゴモゴと動き始めた。
何事が始まったのかと思って見ていると、どうしたことか便座が回転していくではないか! O 型のプラスチックの輪っかがモゴモゴと不器用そうに回っていく。更には輪っかを留めていたタンクの下にあるアームが微妙に伸び、下から平たい樋が現れてチョロチョロと水を流し始めた。
どうやらアームの下に何かお掃除機構が組み込まれていて、回転する便座をキレイにしてくれているらしい。便座は一周すると何事もなかったかのように元の場所に収まった。
そろそろとアームの下に帰っていく樋を眺めながら、お掃除の機構について考えた。ザーッと勢いよく水を流して洗うというほどでもない。スポンジのような何かがアームの内部にあって拭いているのかもしれない。チョロチョロと流れる水はスポンジからの余剰水なのではないだろうか。それはそれで衛生的にどうなのかという気もしたが、国全体が一般的にキレイなドイツなので、まあ国民性を信頼してそのまま座ることにした。
回転便座にあまりに感動したので、二度目はビデオに撮ろうと思ったのだが、車の中にケータイを置いてきたので撮影はできなかった。
手を洗う段階になって、石鹸もちゃんと出てくるし、手を洗うお水は温かいし、手拭き用の紙タオルもボタンを押すと自動で出てきた(手でひっぱろうとしたら、隣で三歳くらいの弟のお世話をしていた六歳くらいの女の子がすかさずボタンを押してくれた。ありがとう少女よ。しかし、ボタンを押すというのはやはり衛生的にどうなのか)ので、1 ユーロを取るだけのサービスは提供されていて、かつ回転便座を堪能できるエンターテイメント代と考えれば 1 ユーロ以上の価値があったと言えよう。
それにしても、日本のトイレにおける完全無欠の自動化テクノロジーに比べて、ドイツのトイレのテクノロジーはなんというかやはりバウハウス的なインダストリアル感があるなあ、と思った次第である。