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『近畿地方のある場所について』を読んでトイレに行けなくなったときのための対策

『近畿地方のある場所について』。皆さん、読みましたか? 私は怖くなって途中飛ばしちゃったんですけど読みました。始めと終わりだけでも怖かったです。読んじゃうと、夜、お手洗いに行くの嫌になりますよね。これ、大変困ります。

ということで今回は、私が採用している、お手洗いに行く前に『近畿地方のある場所について』の怖さを紛らわす方法をご紹介します。


1) 神様がインターネットにアクセスした方法を具体的に考える

第一話にアダルトサイトへの書き込みの話がありますね。
『うちへきませんか。かきもありますよ。』とアダルト女優を誘う書き込みに、第三者がふざけて女優のフリをして返信したら、今度は『なぜこない』と言うので、住所を聞いたら神社の住所が表示された、という話です。
『なぜこない』 この言葉、インパクトあります。頭の中でエコーします。さあ、トイレに行く前にちょっと考えてみましょう。

「神様、インターネット使えるん?」

どうやって神様は web サイトに書き込みをしたのでしょうか。
打ち捨てられたらしい神社には電話線は引かれていたのでしょうか。ラストワンマイルで LTE モバイル ルーターを設置したのかもしれません。インターネット接続業者にはどうやって契約を申し込んだんでしょう? タヌキよろしく頭に葉っぱを乗せて人間に化けて出かけたのでしょうか? 契約時の名前は? 契約金はお賽銭から出したのでしょうか? そもそもお賽銭は残っていたのでしょうか? 考え始めると、トイレどころではなく、眠れなくなってしまいます。

「神通力で書き込みした」は無しです。神通力でインターネット使えたら、無双状態になってしまうからです。神通力でインターネットを使えるんだったら、神様はアメリカン ゴッズのテクニカル ボーイみたいにナイキの靴履いてオシャレちょんまげにした写真を出会い系のサイトにアップロードして「彼女探してます」って書き込めばいいだけです。ここではあくまでも技術的な疑問点で怖さを置き換えましょう。


2) 「かき」を別の果物に置き換える

前述の第一話では、神様が「かきもありますよ」と言って女優を誘っています。
柿が怖いのは、熟すとぼとっと落ちて赤い実がぐしゃっとなるからですね。多分、神様の神社の周りには柿の木がたくさん生えているんでしょう。実際、柿山は秋になると柿臭くてたまったもんじゃありません。現実的に「かきがあります」と言われて、「あら、じゃあ行ってみようかしら♡」と思う女性は少ないと思います。
それでもお手洗いに行く前にはこの柿のイメージが浮かんで怖くなるものです。そこで、「柿」を別の果物に置き換えてみましょう。
私のお勧めは「バナナ」と「いちご」です。
「バナナもあります」
文字だけでも可愛い感じがします。南の島で青い空にバナナの木が伸びている風景が思い起こされます。これだったらちょっと行ってもいいかな、と思うでしょう。
「いちごもあります」
これも可愛いです。いちご畑でコンデンス ミルクを片手に神様とあはは、うふふといちご狩りをするのも一興ではないでしょうか。
究極は、果物ではなく、別のものに置き換える方法です。
「おかねもあります」
コレは一発ですね。神様はもう少し世間というものを学んだほうがいいかもしれません。


3) 背筋さんの印税を考える
私はこれを考えると一気に「スッ」と怖さが覚めます。どちらかというと「チキショー、うまくやりやがって」と、さっさとお手洗いに行って寝ちまおう、という気になります。

皆さんも、怖くてお手洗いに行こうかどうしようか悩んでいるときに試してみてください。

2件のコメント

  • 私は連載中から読んでいました。怖いですよね、本当にありそうで。割と怖いの大丈夫な方なのでトイレに行けなくなりはしませんでした。
    いやー、でも本当に上手いことやりましたよね、背筋さん。こっちを考える方が眠れなくなりそうです(笑)
  • えー! 堀井さんってば豪胆……。連載中に読んだりしたら怖さが長引いて毎日トイレに行けなくなってしまう……。団地あたりで怖くてリタイヤしました。
    読書メーターとか、レビュー サイトは最近『近畿地方』ばっかりですよね。堀井さんだったらサイコ ホラーとか書けそうですよ。次々回作はそれだ!

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