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松枝蔵人先生、水野良先生、田中芳樹先生

語りまくります。

松枝蔵人先生の『純真なマチウ』と『地球獣ボコイ』は、
私にとっては特別な作品になっている。

今夏にコンテスト目当てで始めたカクヨムで、
まさか松枝先生とお話しすることができるなんて、
想像してもみなかった。
全然リサーチしていなかったから。

高校生のころ、松枝先生の『瑠璃丸伝』が大好きだった。
松枝先生の作品の雰囲気は骨太で、静かに熱っぽくて、
時に容赦がないほどのリアリティがあるのに乾き切っていなくて、
どこか柔らかくて優しいように、私は感じていた。
カクヨムで出会った松枝先生の新作は、
あのころ感じていた雰囲気がそのままで、本当に嬉しかった。

1998年から2003年にかけて、中学高校時代に、
十代向けの架空戦記やファンタジー小説にハマっていた。
その中でも特に強烈に印象深かったのは、
当時から見て数年前、十数年前に発刊された作品だった。
黎明期のラノベのうち、骨太な作風のものが好きだった。

あのころ読んでいた作品群が、私に歴史学の道を進ませた。
漢文を武器とする今の私があるのは、
そんな自分にちっぽけな誇りを見出せるのは、
文字の世界だけが楽しみだった十代に、たくさんの良作と出会ったからだ。

松枝蔵人先生の『瑠璃丸伝 当世しのび草紙』。
風魔の頭領、瑠璃丸を筆頭に、個性豊かな忍者たちが活躍する伝奇物。
生き生きとした日常風景、忍術バトルの緊迫感もさることながら、
「古文書を読み解いて情報を得る」ことがカッコよくて、
私も歴史を知りたい、古文書を読めるようになりたいと、強く思った。

田中芳樹先生の『アルスラーン戦記』と『銀河英雄伝説』。
当時はいちばん尊敬していたけど、今となっては何も言いたくない。
アルスラーンは、国王になった第二部は読めたもんじゃない。
でも、アルスラーン王子殿下に憧れて、ユーラシア史を広く見たいと思った。
日本史ではなく東洋史の研究室に入った、いちばん大きな理由だった。

水野良先生の『ロードス島戦記』。
文章が解説的で最初は入りにくかったけど、作中の時間の厚みに圧倒された。
30年前、今、さらに15年後があって、それ以前の歴史も語られる。
島内の国と地域のすべてにがっちりとした設定が練られていた。
歴史における縦と横のつながりの存在を、作品世界から感じ取った。

ほかにも印象に残っている作品はたくさんある。
例えば、描写の多彩さに憧れたのは、
久美沙織先生の『ドラゴンクエストV』『ドラゴンクエストVI』。
古典雅文風から現代的なセリフ回し、少女小説っぽいキラキラ感まで、
当時はものすごく好きだったし、真似してもみた。
今は、私はそういうキャラじゃないことがよくわかっている。
淡々とした切り口上が、私らしさだ。

話をもとに戻すと、
中国史がメインの東洋史の中でもモンゴル帝国史を専攻する、
という変わり者に至るまでの経緯に大きな影響を与えたのは、
松枝先生と田中先生と水野先生だった。

そのうちのおひとり、松枝先生とカクヨムでお話しできた。
私の未熟な短編を読んでいただき、レビューまでいただいた。
嬉しくて、思わずPCの前で叫んだ。
15年前、『瑠璃丸伝』を愛読していた自分に見せびらかしてやりたい。

今年に入ってずっと、11月末締切の紙媒体の文学賞に挑戦するため、
1本の歴史小説原稿の書き直しを繰り返している。
書き直しに付き合ってくださるアドバイザーに巡り会えたのが、
一昨年と昨年の活動あるいは営業のハイライトだった。
ここで踏ん張れないと、私は前に進めない。

知名度の低いジャンルの歴史を、如何にしてわかりやすく語るか。
今のままじゃ論述だと指摘されている。
エンターテインメントにするには、どのキャラにどう語らせるべきか。

指摘の全部を受け入れるわけじゃない。
専門知識は論述じゃなく、小ネタとして、
サラッとどこかに突っ込んでやる。
それができなきゃ、歴史家崩れの私が書く意味がない。

7月の時点では730枚まで膨らんでいた原稿を、
8月に600枚にまで刈り込んだ。
端折ったぶんだけ説明くさくなったところに、
これから手を加えないといけない。
できることなら、もっと濃縮させて、あと50枚、削りたい。

いま挙がっている課題を踏まえて、ギリギリまで改稿する。
なけなしの思考力と学習能力を総動員して、
課題という課題に全部、確実に答えを出していきたい。

負けたくない、負けてられない。
中高生のころに思い描いていた理想の小説を、
15年かけてやっと、今ならどうにか書けそうだ。

いろんな人の文章や作風、作品が好きで、読むのが楽しい。
でも、何だかんだ言っても、
いちばん好きなのは自分の文章だから、
自分の力を磨いていくこと、鍛えていくことをやめたくない。
その痛くて苦しい過程は、むしろ心地いい。

「力を付けたければ、1日1万字、殴り書きでいいから、
それができるスピードとスタミナとパワーを身に付けなさい。
若いからできるはずだ。
若いうちにやっておくべきだ」

少し厳しい編集者さんに、
そんなアドバイスをいただいたのが5年くらい前。
スピードもスタミナもパワーもないのに、
自分は良作を書いていると思い上がっていた私は、
甘ったれな自己満足に嫌気が差した。

やってやろうと思った。
必死でやってレベルアップして、行けるところまで行って、
絶対に賞を獲って、この頭の中にあるものを世に出したい。
メディアミックスされたい。
二次創作の対象になりたい。

浅ましいくらい、意地を剥き出しに頑張ってレベルアップして、
それでようやく読者さんの望むエンターテインメントの水準に達する。
少なくとも私は、必死で学んで吸収しなきゃ、
楽しんでいただけるレベルのものを書けない。
そう思ってる。
今はまだ足りない。
もっとうまくなりたい。

勉強中。
改稿作業と読書を通じて、自分じゃない人が考えていることを知る。
知って吸収して、自分の力につなげる。
勉強してやる。
いくらでも貪欲になってやる。

頑張ろう。

恋愛小説コンテスト、もう1本、上げたいんだけどな。
小学校時代に読んだ『そよかぜ姫の冒険』みたいな、
ライトなハイファンタジーを書きたい。
プロットあるんだけど、時間取れないかな……。

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