リリース当初からずっと遊ばせていただいているスマホゲー最高傑作の神RPG(ここまで手を揉みながら)『アナザーエデン』がカクヨムでシナリオコンテストを開催すると聞き、「自分がやらずに誰がやる!」ってなもんで久しぶりに気合入れて作品投稿してみたものの、最終的に287作品もの応募があったようですね。やる人いっぱいいました。
せっかくだから作品についてなりコンテストの感想なりを書き残しておきます。
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【投稿作品について】
①「主人公が消えた日」
テーマは「アルドという存在」、サブテーマは「どんでん返し」。
アナデンには多くの人気キャラがいるにもかかわらず、主人公のアルドの人気は異常なほど高い。
困ってる人を放っておけないお人好し、キレのあるツッコミ、たまに天然でお茶目で色恋沙汰には鈍感なところなど、そりゃ好きにならざるを得ないよって人柄が理由としては大きいのだろうけど、やっぱり「常に一緒にいるキャラ」だからってのもあると思うんですよね。
じゃあ、そのアルドが突然いなくなったら?――って話です。
「アルドがどういう存在か」を、他のキャラクターたちだけでなく、プレイヤー自身にも再認識してもらえたら、というのが狙いですね。はい。
あと単純にそういう捻くれた話が好きなだけです。むしろ最初のは後付けです。
サブテーマの「どんでん返し」については、まあ……意外なオチはつけられたんじゃないかなと。
②「超時空おやつパーティ」
テーマは「チルリル」。
嘘です。本当のテーマは「パーソナリティによる横の繋がり」。
これはサブクエには向いてないと思うので箸にも棒にもかからないと思いますが、個人的な願望を込めて書かせてもらいました。
①で書いた通り、今のアナデンは魅力的なキャラがとても多くいるにもかかわらず、キャラ同士の関係性に着目すると、そのほとんどは「アルドとの一対一」。キャラ同士の繋がりも当然ありますが、それも決められた関係性の中で完結してしまっている。
もちろんそれでも十分に面白いのだけど、やはり「もったいない」って思うわけです。
最近だと、たとえば西方外典とかで顕著ですが、キャラクエでも「アルドを介さないキャラ同士の繋がり」は以前より描写されることが増えたように思う。ミストレアのクエストなんてもう最高でした。
でも個人的には、もっと関連のないキャラクターたちが絡むのを見たい。
それが簡単に実現できるのが「パーソナリティ」ではないかと。
運営に届け、この想い――と、そういう動機で「甘党」繋がりの話を書いてみたわけです。
決してチルリルに「なのだわ!」って言わせたかっただけとかそういうわけじゃないです。
③「望郷の観測者」
テーマは「シリアス」、サブテーマは「プレイヤー原作だから書けること」。
他の二つがドタバタ系のコメディだし、シリアス系の話も書いとくか!といういわゆる打算の産物です。
とはいえ何かしらの特別感が欲しかったので、内容をメインストーリーに関わるものにしてみましたが……これがまた難しい。
原作と矛盾が生じてはならないし、用語や世界観の復習もかなり必要だったし、それでもまだ判明していない部分については勝手な憶測で書くわけにもいかない。すべて自分で決められる小説とはまったく違う苦労があるのだとしみじみ感じました。
ちなみに矛盾なく仕上げられたかどうかは自信がありません。
サブテーマに関しては、少しだけメタな描写を加えてみました。
書いてる間ずっと「そういうのいらないから」って理性的な自分が語りかけてきましたが、無視しましたね。
アナデンを愛する大勢のユーザー、その皆が彼らの冒険を応援しているのだというメッセージをアルドたちに届けられたらエモくね?と薄っぺらいことを本能的に考えてしまいました。今では後悔しています。
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【感想】
楽しかったです。(こなみかん)
でも本当、このひと言に尽きます。
当たり前だけど、自分が好きな作品の創作はシンプルに楽しいですね。
あと世界観やキャラクターが元から確立している分、イチから考えなくて済むのが楽ってのもありました。
舞台設計から自分で考えて小説を作るのももちろん面白い作業ではありますが、最近は何か月もかけた作品を書き終えてからボツにするようなことが続いてたので、いい気分転換にもなりました。
一方、苦労したのは「小説とゲームシナリオの違い」ってやつですかね。
執筆にあたって考慮すべきことや優先順位が一般的な小説とはものの見事に違う。
・ゲームには地の文がない。画面上のキャラクターの台詞と、キャラのモーションやBGMなどの演出、それらを記述したスクリプトのみで構成されている(と思われる)。
・画面上で再現できない心理描写や情景描写などはいらない。
・限られた字数やシーン数で必要な情報やニュアンスを表現する必要がある。
と、実際感じたのはこんなところでしょうか。
あと、一部の人に刺さるものより多くの人に受ける話が求められるってのもありそうです。
これまでも他の媒体でアナデンの二次創作小説を趣味で書いてましたが、求められているのはそういう趣味全開な同人的なノリのものではないわけで。
もちろん素人であるこちらが勝手に「こうだ」と決めつけるのはおこがましいし、そういう制約に捕らわれない自由な発想を求めてくれているのかもしれませんが、それでもアナザーエデンというビッグタイトルに実装されるシナリオを求められているのだから、それに見合うものが何かと熟慮を重ねることは当然の心構えでしょう。(ドヤ顔で)(ウィンクしながら)(ENTERキー「ターン!」)
小説としての完成度と、ゲームとして実装が可能かの自己判断。ギリギリを攻めるか守りに入るか。
この辺りのバランスは他の参加者の方々も頭を悩ませたところではないでしょうか。
とはいえ、審査側が何を重視するかがわからない以上は考えすぎても詮無いのは他のコンテストとも一緒。
自分なりに「書きたいもの」「求められてそうなもの」のバランスを取りつつ、色合いの違うものを三つほど書かせてもらった次第です。
以上、長々と書いてしまったけど、本当に楽しいコンテストでございました。
それにしても287作品も投稿されるとは……審査するの大変だろうなあ。
これで優秀なライターさんがチームに加わればアナデンのコンテンツもさらに充実してくれるだろうし、結果がどうなるか楽しみですね。