📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!✨」
📢新エピソードを公開しました。
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📖第546話 どこに行っても知らない土地だ。
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093077802841941📄心が鎮まれば、縄抜けの技はステファノのギフトと相性が良いことがわかった。
イドの|高周波化《オーバークロック》でステファノの肉体は反応速度が上がっている。それに精緻な制御を加えれば、体の一部を緊張させたり、逆に弛緩させることができる。
筋肉を一部分だけ膨らませ、その場所を移動させることもできた。
そして自在な弛緩が役に立った。
力を入れることは難しくないが、脱力は意外に難しい。しかも特定の部分だけ弛緩させるとなると、頭と体が混乱してしまいがちだ。
剣士ジョバンニを見習った肉体制御の訓練が、ここで大いに役立った。後ろ手の縄目が見えていなくても、腕の感覚が縄の状態を脳に伝える。肉体制御のレベルを上げたステファノには、思い通りに縄目を動かすことができた。
ジェラートの速さには追いつけないが、基本的な技はステファノにも再現できるようになった。
「うん、いいんじゃないか。縄抜けの基本は身についたようだ」
「コツが掴めてきました。後は反復練習ですね」
「そうだね。自分で自分の手を縛るのは難しいから、そこは工夫しないと」
他人に縛ってもらうか、あらかじめ作った結び目に手を入れて縄を引いて締めるか。
独り稽古には工夫が必要だった。
「|コツ《・・》を磨くだけなら、完全に縛らなくてもできる。適当な輪にした縄に、両手首を出し入れする練習を繰り返せばいい」
どうやって隙間を作り出し、関節を潜らせるか。その手順を磨くのだ。
「わかりました。毎日やってみます」
「人には見せないことだね。縄抜けができると知られると、抜けられない縛り方をされるので」
「『縛られても、縛らせるな』ですね?」
いくら鍛えようと完璧な縄抜けなどない。縄抜けとは相手の油断につけこむ技なのだ。……
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お楽しみください。