📕「🍚🥢飯屋のせがれ、🧙♂️魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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📖第470話 怪我の1つが頭部への重傷であった。
「た、立つ瀬ですか、先生?」
「そうだ。ただでさえ不始末で出遅れておる。そこに学園創設以来の異才が現れるとは、不運にも程があろう」
そう言われればそうではあるが、不始末はジローが自分で仕出かした。ステファノの陰で目立たないのは、新入生全体の境遇でもある。
ジロー・コリントに不遇なことなどないのだ。
ヨハンセンは目の前の師を改めて見直した。そこにいたのはかつて「疾風」と恐れられた魔術師ではなく、孫の素行に心を痛める老人のような姿であった。
「先生、いささか過保護なのでは?」
「わしは――何もしてやれなかった」
ヨハンセンの諫言は届かず、マランツは自分の世界に入り込む。我が師はこんな人だっただろうかと、ヨハンセンは当惑していた。
「ジローはわしにとって最後の弟子だ」
マランツの独白はまだ続いていた。
「そして、ジローにとってわしは初めての師であった」
「それは……確かに。先生にとってジローが特別な存在であることはわかります」
しかし、ジローの学園生活はジローのものである。どう過ごすかは部外者であるマランツが口をさしはさむべきことではないだろう。
たとえ、特別な師であったとしてもだ。