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フィリッピーナを愛した男たち


 主人公の日本人である敏夫と、ヒロインであるルビー、そして敏夫の母親がとても印象的です。玉置浩二がああいう役を演じると、本当に素晴らしい。

 とても好きな場面は、ルビーが風鈴を持ってきた場面です。主人公の敏夫に感情移入している視聴者は「何故のこのこと来られるんだ!」と憤る場面です。しかし、この風鈴を持ってくるということは、少なくともルビーは日本の夏をしっかり知っている。文化を受け入れて認めていることがわかります。

 逆にどうでしょう。当時の日本からしてみれば、フィリピンは自分たちよりも遅れた国。その国の文化をしっかりと受け入れられた人は当時どれだけいたでしょう。最終的には、敏夫はフィリピンに骨を埋める覚悟で結婚します。それによって、フィリピンという国を受け入れたとみることが出来るでしょうね。

 他にも、今作品内ではかなりわかりやすく対比がなされています。男と女、日本とフィリピン、家族に対する扱い等々。

 フィリピン人について。「嘘つきで、怠け者だ」という人がいる。家族のためには、自らをビジネスに使ってでも助けようとする。ある意味一生懸命といえますね。堕胎することは禁止されている。カトリックが多いですからね。フィリピンは徹底して貧乏のように描かれています。それでも、みんなで分け合って仲良くしている。結婚も親の了承が必要。ただ、敏夫を売って店を手に入れたような輩もいます。

 日本人について。「浮気で、騙される」という人がいる。母親の財産を結局のところ、食いつぶしている。敏夫は結果的に母親の資産を借金返済や結婚式の費用で使ってしまっていますね。お金で問題を解決しようとしている。空港で、「足りなければまた払うから」と去っていくサラリーマンがいました。日本人同士で喧嘩のシーンもありましたね。玉置浩二がぶん殴られて、ルビーは男とタクシーに乗っていく。結婚は親に言うこともなく決めるし、離婚も事後報告。騙されて店を失うなんていう人もいます。

 それでも、敏夫が憎めないのは彼自身が騙され、嫌な目にあっても、ルビーのことだけを追い求めたからなのでしょう。

 二人の考えかたの違いも面白い。

 ルビーは最初、敏夫に「LOVEとちがうよ」といいます。ビジネスでそういうことをしている彼女ですが、嘘をついているわけではない。結婚しているわけでもないし、自分は自分で、自分のことを決める権利は自分にある。だから、一方的に俺の女になれというような考えは受け入れられない。

 敏夫は金を払っているのだから、と迫りました。でも、ビジネスのつもりではないのでしょうね。結婚していたわけではないけど、そういう関係になったし、恋人だと思っているから、他の男とビジネスでも付き合ったりしているのは許せない。でも、ルビーに底から惚れているので、わざわざ追っかけて行って最終的にはすべてを受け入れる。

 そして、なんといっても、中村玉緒の演じる母親がいいですね。敏夫のことをずっと心配していて、それでも幸せを祈っている。この点では家族を思うルビーと共通で、女性を端的に描いているのでしょう。

 対して、男性はかなり自分勝手な人ばかりでしたね。大谷直子が演じる女性も「昔の男がきたから日本に行く。失敗したらまた返ってくるかも」なんてことを言っています。もっと早く来てやんなよ……。



 ラストシーン。たくさんの子供たちとルビーと一緒にいる敏夫。これは『夢の帰る場所』とは対照的です。

 『夢の帰る場所』はネタバレになってしまうのでここでは特に言及しませんが、興味を持たれた方は視聴することをおススメしておきます。素晴らしい作品です。本田美奈子さんのご冥福をお祈りいたします。



 『フィリッピーナを愛した男たち』は原作があるようです。 久田 恵によるルポとして文春文庫から出版しています。こちらも後で読んでみたいと思います。




僕の帰る場所(2017年製作の映画)
Passage of Life

上映日:2018年10月06日 / 製作国:日本ミャンマー / 上映時間:98分
4.0
あらすじ
ある在日ミャンマー人家族に起きた、切なくも心温まる愛の物語
東京の小さなアパートに住む、母のケインと幼い二人の兄弟。入国管理局に捕まった夫アイセに代わり、ケインは一人家庭を支えていた。日本で育ち、母国語を話せない子ども達に、ケインは慣れない日本語で一生懸命愛情を注ぐが、父に会えないストレスで兄弟はいつも喧嘩ばかり。ケインはこれからの生活に不安を抱き、ミャンマーに帰りたい想いを募らせてゆくが―。

監督
藤元明緒
脚本
藤元明緒
出演者

HOSIGO(ホシーゴ) > フィリピン語学留学(英語)・小学&中学編 > 日本とフィリピン・教育の違い
フィリピン語学留学(英語)・小学&中学編
「フィリピン小学校の豆知識」「義務教育について」「日本とフィリピン・教育の違い」「必要な手続き」などフィリピン語学留学・小学&中学編を紹介します。
日本とフィリピン・教育の違い
2012/11/09

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日本とフィリピンの教育では授業の内容、取り組み方、方針、そして文化的な側面からも違いがあります。私が感じたフィリピンの教育に就いて書きたいと思います。フィリピンでは、学校に行きたくない子供は通学しないでも構いません。日本のように、居住区域を管轄する教育委員会よりの通知などありませんし入学も進級も自己申請主義になっています。

私たちが暮らす集落には、小学校に行っていない子供たちが沢山います。母親に「何で子供を小学校に行かせないんだ?」問いただしたら「え!だって行きたくないって言うから・・・」と答えが返ってきます。子供に話をすると「学校に行きたいけど、お金がないから・・」と暗い顔をします。

以前に学費や文具、制服、そして1年分の通学費を援助した子供がいます。両親が自宅を訪れて「サラマット、マラミサラマット」と感謝していました。数週間後の昼下がり、支援した子供が学校に行かず遊んでいます。「学校はどうしたんだ?」と聞いたら「ボールペンとノートと靴を買うお金がない」と言います。子供の自宅に行き「勉強に必要なお金は渡してあげたろう?」と言ったら父親がコソコソと逃げていきます。子供に支援したお金を闘鶏のギャンブルで使い果たしたそうです。仕方がなくボールペンとノートと靴を買い与えて渡しました。

数週間すると、また子供が学校に行かず遊んでいます。「おい、どうして学校に行かないんだ?」と聞いたら「勉強が判らない!」と答えてきました。お金がなくて学校に行けない子、勉強が判らなくて学校に行けない子、色々いるのです。使用する教科書や授業内容も様々で、学校により天と地ほどの開きがあります。

パブリックでは授業の進行が遅く、教科書の途中までで修業してしまいます。これでは数学や国語、科学や歴史など、系統的な学習ができません。それでも試験で平均点が取れるように、教科書の初めの方だけで問題を作ります。

プライベートでは毎月の学習指導書が配布され教科の進み具合によって、時間延長や土日の学習、夏休みの短縮などを実行しています。学年の成績トップテンは各期末ごとに表彰されています。全科目90点以上の生徒はビップクラスに編入され、少数精鋭の特別扱いになります。

フィリピンには落第制度があるので、成績主義と言えるかもしれません。日本のように平均的な偏差値を求める事はなく全学生の1%と言われるトップクラスの人材だけが、貧困から超エリートに転身できるのです。

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