ここで書いていいのかどうか分かりませんが、書き手として、一社会人として思うこととして。
「小説家になろう」に掲載されている人気作品で、出版化もされている作品がアニメ化されるに際して、前大戦中に中国人を大量虐殺したことを肯定的に書かれていることが問題視されてキャスティングされていた声優さんたちが相次いで降板する騒ぎになっています。
あの作品はひととおり私も読んだのですが、なぜわざわざこの設定をもってくるのかが分からない、問題になりそうであるなあとは思ったのですが、ウェブで読んでいる限りはアングラっぽいニュアンスもあって、問題になりそうだとは思いながらも深くは考えていなかったというのが実際のところです。
それは私が中国人ではないからで、中国人がお怒りになるのはごもっともだと思いますが、他人事として処理していたからだと思います。センサーが鈍かったのです。
ただ、私がもし職業的な編集者であったならば、職業上リスクを普通の人よりは考慮するでしょうから、数ある小説の中で、おそらくその作品を選んで出版することはしなかっただろうと思いますし、はるかに巨額の資本が動くアニメ化であれば、なおさらわざわざそれをチョイスすることはしなかったと思います。
ライトノベル業界がビジネスとしては全然リスク管理がされていなくて、関係者がビジネスプレイヤーとして、社会人として余りにも未熟だと思いますし、サブカル業界全般の倫理の低さについては、批判されても仕方がないレベルだと思っています。
同性愛者差別表現にしても、他のヘイトスピーチ表現にしても、倫理的にこの業界が高まってゆくのが一番望ましいのですが、そこまでいかないとしても、ビジネスとしての損得勘定くらいはきちんと出来るくらいに成熟して欲しいと思うところです。
出来ればウェブ小説、ライトノベルの書き手、読み手を含めて、この業界から是々非々できちんとした社会的な文脈で批判がなされて、自浄作用が働けばいいのですが、私を含めたオタクというのは、社会に対して基本的に被害者意識だけを募らせていて、自分が加害者にもなり得るということについて考えが足りない傾向があると思います。
ここにこう言うことを書くのも不適切かも知れませんが、ほんとうに毛ほどにこの世界に関わっている者の一人として、他人にそれを要求するならまず自分から、との考えで、思いを書かせていただきました。
ご不快になりましたら、申し訳ありません。