豊前家、豊前藩の設定と言うのは、「豊右府末裔顛末記」は元々、幕末のお話なので、架空の雄藩を作るとしたら場所はどこか、ということで考えたんですね。最低三十万石は欲しいと。まあ、基本的には空いていないわけですよ。誰かしらいるわけですからね、既に。天領だったらそんなに大きな問題はないかも知れませんが、天領がある程度まとまってある土地、と言ったら豊後だったんですね、最初に思い付いたのが。じゃあ、ずらして、豊前を本領にしたのはなぜかと言えば、関門海峡があるので、ギミックとして動かしやすい。
朝鮮渡海を描くとややこしそうなので、兵站担当として国内に留まれる位置、と考えると、豊前が適当だと思ったのですね。自動的に小笠原さんは消えますけど。
ただ、こうね。薩摩から島津が消えたり、仙台から伊達が消えたり、金沢から前田が消えたりしたらおおごとですけど、小笠原さんだったらあんまり誰も気にしないかなーなんて思っちゃったんですね。ごめんなさいね、小笠原さん。
ちなみに肥後に加藤家がある間は、細川家は丹波にいるという設定です。
スコットランド。
かのネルソン提督の言葉で、
"England expects that every man will do his duty."
というのがあるんですが、私ずっとこれ気になってたんですよね。というのは、この時点ではとっくに連合王国が成立しているんですが、主語がイングランドで問題なかったのかという。ネルソン艦隊にもいたはずですけどね、スコットランド人。私英語のヒアリングを勉強した時、よくサッチャーさんのスピーチとか教材で使ったんですけど、あの人、すごく人工的な英語を話すので聞き取りやすいんですよ。まるで下に字幕が出ているかのように話す。逆にチャーチルは全然ダメです。活舌が悪いですね。で、あの人は自国のことを言う時には必ず Britain と言う。England とは言わないです。何らかの配慮の結果として、20世紀にはそうなっているわけですね。
19世紀初頭には、そういうポリコレはなかったわけです。だからまあ、連合王国とはいえ、単なる同君連合だった時期にはなおのこと、スコットランド人はいろいろやりがたかったのだろうなと思いますね。