キャラクターの名前はぱっと思い付きで決める作者さんがほとんどだと思うんですが、ありがちなデメリットが「似たような名前ばかりになる」ことです。
作者さんの好みでつけるわけですから。ぱっと思いついた名前が似たような名前になるのはよくあることです。
ミュウ、ミア、リア、リリア、シュウ、シアとか。
正直、異世界チーレム物なんてヨメたちの個性なんて描き分けられていないことがほとんどなんで、これって区別がつきにくくて、読む側にしたら結構なストレスになるんですよね。
たかが名前じゃないかこんなもん、というのもひとつの考えですが、区別をつけるだけのためにも、何でもいいから規則に従って順番に名前を付けた方がいいような気もします。
QWERTY配列に従って、Qでクイン、次はWでウェンブリーとか。
欧米風の名前になるなら、最初は英語風にグレン、次はフランス風にバティスト、その次はドイツ風にコンラートとか。
異世界で欧米風の名前になること自体、おかしいと言えばおかしいのですけどね。僕はこれはやむを得ないコストかなと思っています。
まったく架空の、キデュコとかヒエズツとかだったら男か女かも分からないし、そもそも名前かも分からないし、貴族風なのか庶民風なのか、賢そうなのかわんぱくなのか、そういう補助情報がまったくなくなりますからね。それは脳に負担をかけます。
ただ、例えばゲルマン神話風の固有名詞が満ちている世界観、ジークフリートとかヒルデガルドとかがいる中で、キリスト教系のヨハンとか、ラケルとか、エリザヴェートとかそういう名前が入ると、世界観が壊れるような気がしますね。キリスト教系の固有名詞はヘブライ語で、ゲルマン語族系とは語族のレベルで違う言語ですから。
特技というほどのものでもないんですけど、アメリカのテレビドラマとかを見ていて、僕はたまにキャラクターの名前があたることがあるんですね。こいつはいかにもジェニファーっぽそうだ、とか。
名前は個性に引きずられますが、個性が名前に引きずられることもあるんじゃないかと思います。
日本にも某キラキラネームとか、名前と社会階層に関連があるんじゃないかという話もありますが、アメリカでももちろんそういうことはあるわけです。
歴史の古い貴族の御曹司の名前がダレンとかケヴィンとかだったら、少なくともアメリカ人はちょっとした違和感を感じるんじゃないでしょうか。貞淑な淑女がキムとかジェニファーだったら、名前のパブリックイメージとじゃっかんのズレがあるので補正のストレスがかかると思います。
そういうことも書き手は知っておいた方がいいと思います。
「赤毛のアン」で、まああれは百年以上前のお話ですけど、ダイアナについて、キリスト教的な名前じゃないから軽薄っぽい、と陰口をたたく人がいるんですが(リンド夫人だったかな?)、ダイアナってのはそういう名前だと言うことです。
英国のダイアナ妃は一族の人から名前を貰ったんだと思いますけど、ヨメはともかく、今でも英国王室は生まれた王女にはつけない名前だと思います。今後は分かりませんけどね。ウィリアム王子の娘のシャーロット王女はおばあ様がダイアナ妃なんで、ミドルネームに入ってますけどね。
名前ってのはニュートラルではないんですよ。ちょっと色がある。キャラクターの個性に沿った名前をつけると、すごくはまるし、読者にも分かりやすくなる。
アウグストゥスとか、飲み屋のおじさんにはつけないでしょ? アウグストだとスペイン語圏では一般的な名前ですけどね。英語で言ったらオーガストで愛称はガスですが、まあ、ガスならそれらしい。
それらしい名前にすれば、ストレスがかからないわけです。
ネーミングについては書き手はそういうことも考えたらいいんじゃないかなって、偉そうに思いました。