母と「島人ぬ宝」を歌うのにハマっていた時期があった。母がボーカルをして、私が「セイッセイッ」などと合いの手を入れる。「指笛が吹けたらもっといいんやけどねぇ」等と言いながら、ライブ映像を見て真似をした。
「島人ぬ宝」には途中長い間奏が入る。いつもはぼーっとしていたが、ある日なんとなく「踊ろうや」と私が提案した。何踊りと呼ぶのか分からないが頭上で手のひらをひねる"ベタなやつ"をやりながら「踊りってだいたい全部こんな感じよね」と私が言うと「そう?ひょっとこ踊りは違ったけどね」と母。「ひょっとこ踊り?」聞いたことのない名称に首を傾げる私に、母は実演してみせた。そのひょうきんな動きを見て、私は笑い転げた。母の地元、宮崎の踊りらしい。
その後母は動画サイトで「ひょっとこ踊り」と検索し、実際に祭りで踊っている映像等を見せてくれた。キレキレの踊りを見て私はまたも笑い転げたが、母は「でも、親戚のおじちゃんが酔っ払って踊るひょっとこが1番面白かった」と言った。
ひよつとこの口のずれ方秋の風
さまざまなひょっとこのお面を見ていたら、自然と上の句ができた。いつか宮崎に行ってひょっとこ祭りに参加してみたい。