小説にせよ、詩にせよ、文字情報として表すのであれば、又それを世界に放流するというのであれば、それは文字の向こう側に人がいることを忘れてはならない。
何かを伝えたい何かを変えたい、そんな思いがなければ、それが独白だけなのであれば、その文章はただの独り言にすぎず、誰も読んではくれない。誰の心にも残ることなく消えていく。
文字を書くこと、文を読むこと。それらは過去の人物との対話である。
文字がある限り、どんなに昔の人とも、どんなに遠い世界の人とも会話することができるのだ。ああ、なんてすばらしいのだろう。
しかし、そう考えてから、私の筆は全く動かなくなってしまった。
自分の書くものが独りよがりに過ぎないということに気づいてしまったから。
何を書いてもくだらないもののように思える。
……がんばろ