という訳で先週無事に完結した鈴森君コラボについて少し振り返ってみたいと思います。
 どうしてこんな事になったかと言えば、DMで互いの作品についてああでもないこうでもないと語り合い、同じ神話を基礎にしているだけあって、マジでコラボできそうじゃないかって話になったので、なんかテンションが上って一週間で書き上げました。
 カクヨムは比較的利用者数が少なかったり若かったりする為、一纏まりになっているクトゥルフ神話クラスタの存在感を強く押し出すことができていますが、世間においてはまだまだマイナー寄りのジャンルです。そんな中でも荒波に負けじと手を取り合ってお互いの作品をより盛り上げていく導線になってくれればなと思っております。
 ニコニコ動画とかだと卓動画も盛り上がっているんですけどね、いかんせんそこから日本産の神話関係書籍に繋げる流れがね、世知辛いのじゃぁ……。ノベルゼロ的にはそこそこ以上に売れている方らしいんですけどね。まあ十年くらいすれば卓動画由来のクトゥルフ神話で育った人間がメインストリームになり、このジャンルもメジャーオブメジャーになるので、その時まで地道に活動を続けるのみです。このコラボもその一環なのです。
 
 今回は徹底して香食禮次郎が出てこない話になったわけですが、これには理由があります。今回の話は邪神任侠よりもはるか未来の時間軸にあり、その時に禮次郎がどうなっているかというのを確定させたくなかったからです。クチナシは良くも悪くも人間から隔絶した存在であり、仮に物語中で死んだとしても、あの未来にたどり着くことは可能なんですが、禮次郎はそうもいきません。死ねば死にっぱなしだし、生きていても五体満足かの保証も当然できません。なので不確定な未来としてああいった描写となりました。あの未来にたどり着く為には、世界の崩壊が抑えられる必要があります。未来にたどり着く前に時間を紡ぐ空間が吹き飛べば、未来と現在は断絶してしまいますからね。
 逆に、有葉緑郎は当たり前のように出てきて、順当に修行して成長しています。有葉緑郎自身が僕のお気に入りのキャラということもあるのですが、なによりあれは作者の観測に依拠して存在するキャラなので、僕の書いた作品であれば時間も空間も飛び越えて遍在するんですよ。
 作中の理屈で言えば、佐藤喜膳のように自分自身を文章で表現しきった上で、ホムンクルスやゴーレムにそれを読み込ませて、完璧な自分の複製を作らせています。その複製がまた完璧な複製を作って、有葉緑郎は永遠に保存されるのです。その時々でちょっと素材が違ったりしますが、緑郎自身はそれをブレの範囲として許容しています。ちなみに何言っているのか分からない場合は空の境界とか読めばいいと思います。
 ただ、その技術は所詮猿真似なので、ホムンクルスやゴーレムへ記憶・人格複写魔術を行う為の触媒程度にしかなりません。魔術と超絶技巧の組み合わせによって佐藤喜膳が言う所の「ずっこい」真似をしている訳です。

 次のコラボも決まっておりまして、ロッキン神経痛先生の限界集落オブ・ザ・デッドとコラボレーションさせて頂くことになっております。既に第一話を書きはじめて、主人公の恐山さんやケイ君の描写やら設定やらこれで合っているかをロッキン神経痛先生に見ていただいております。クトゥルフ関係無いのでは? と思うかもしれませんが、
・バカめ、ゾンビはクトゥルフ的にド王道だわ!
・カクヨムホラージャンル繋がり
・ツイッターで絡んだりする
・異端なるセイレムっぽいロジックの話を書きたい
・前に話していたカクヨムダークユニバース実現への一歩
などなどの理由から打診をしてみたところ、快諾してくださいました。
ロッキン先生に感謝です。

僕にとってホラーは一番自由というか、ロジカルに詰めても、リリカルに訴えかけても、最後は強い感情の揺さぶりを与えたものが勝ちみたいなところがあって、思う存分ストーリーテリングエンジンをぶん回せるジャンルだと思うんですよね。
やはりこれは恐怖という人間の根源的な感情の一つを主眼に置くジャンルだからこその特権だと思います。
「なんだって良い。お前の言葉で震えさせてくれ」というロックンロールが生きている限りホラーは生きるのです。要は僕が読んで震えれば、僕にとってはホラーなのです。貴方が読んで震えたならば、僕はそれが貴方にとってのホラーだと判断します。全て僕の主観の話です。

それはそうと、真面目なホラー短編書きたいんじゃが……キャラ描写とか実はそんな好きじゃないんじゃが……極論AさんとかBさんで十分成り立つ話こそ、自分が愛する技芸の極地なんじゃが……とか、思ってしまう日もあります。自分の能力で書籍として面白いものを書く為にはキャラ立てを重視せざるを得ないですし、作品をより良くする為には当然必要なことなのですが、キャラではなく筋立てで読む人間をうならせるようなものが出来たら良いなあって今も思ってます。勿論この二つは両輪なんですけど、でも僕がやりたいことはストーリーテリングの究極なんです。以上、雑語りを終了します。次の企画もどうぞお楽しみに。