平素より拙作をお読みいただき、ありがとうございます。
無事に「東洋の魔女」が完結いたしました。
もともとは会社員で書き専の底辺物書き。
しかもペンネームの「邑楽じゅん」名義では、一切のSNSをやっていない。
いわば無敵の無宣伝でカクヨムを初めました。
逆に無宣伝で、どのくらい読まれるかというマゾな目論見もありました。
もともと公募専門だったので、読み手は下読みを協力してくれる友人くらい。
評価が得られないのは当然と割り切っている。
加えて、まぶしい売れ線の作品は諦めて、インディーズならインディーズらしく、
アングラに好きなものだけ書こうと思った部分もあります。
そうしたら、どうでしょうか。
無宣伝でいきなりライブハウスに立った結成直後のアマチュアバンドに対し、
チケットが二百枚ちかく売れて、オマケに物販のアルバムも数枚ご購入いただき、
応援までいただいた次第です。幸甚の極みです。
あらためてありがとうございました。
さて「東洋の魔女」について、いくつか蛇足の説明をしたいと思います。
本作はわたしの執筆順では四作目にあたります。
某賞に応募したものの、一次選考で見事に落選しました。
大筋のゴールに向かってショートショートの連続で展開する作品は、賞レースでは不向きなのでしょう。
でも愉快な三魔女や洋一、亜耶といったキャラクターがとても愛らしく、このまま日の目を当ててやれないのはもったいないと思い、投稿したのです。
無事完結とありますが、もともと公募用で完結している作品だったので、
エタることなく、最終話まで淡々と投稿するだけでした。
東洋の魔女といえば、1964年東京オリンピックで女子バレーを金メダルに導いた選手団の愛称です。
まだ新型コロナウィルスが猛威を振るう前、世間は東京2020に向かっている。
何匹目かのどじょうを狙って書きました。
洋一が学内スポーツ大会の剣道が定員で、あわやバレーをさせられそうになったのは、そのオマージュです。
でも魔女もの作品は世間に多くある。
ならば対比としてオーソドックスな西洋の魔女を出して、より魔女らしくない魔女を……。
日本人で、ほうきの代わりに竹刀で飛んで、武道着で……と雪の人物像を膨らませていきました。
アメリカの魔女サマンサや、ドイツの魔法少女ビビなどは、元ネタ直球ですね。
妙なダジャレばかり言うドイツの魔女シャルロッテは、往年の名声優、広川太一郎氏を参考にしています。
彼が吹き替えをやっていたイギリスのコメディグループ「モンティ・パイソン」のネタ「このぉ、ちょんちょん」もそのひとつです。
ただし、そのまま直球で「広川節」にはせず、ダジャレはほぼ自家製です。
逆にこのダジャレを考えるのが楽しかったりする、思い入れのあるキャラになりました。
学内SNSや電算部、有栖川のくだりは、世間への痛烈な皮肉をこめました。
作中の、洋一が巻き込まれる騒動に対して後ろ向きな教員や学校の態度も同様です。
こういう悲痛なニュースが無くなる日は来るのでしょうかね?
そしてなにより、洋一のようにキチンと努力する主人公を描いてあげたかった。
結果としてラブ要素が少なくコメディ色の強い作品となりましたけど。
それでは、近いうちに次回作でまたお会いしましょう。
また次もラブコメになりそうですが……。