この度、春先から書いてきた長編『ナユタの食べ物』が、カクヨムU-24杯にて優秀賞を受賞しました。日頃から私を応援してくれる読者の皆さま、並びにこのような挑戦の場を設けていただいたカクヨム運営、選考委員の方々に、深く感謝申し上げます。
また今作を優秀賞に選出し、受賞発表配信にて熱いコメントを残していただきました、選考委員の夜見ベルノ様。私は普段から理由はわからないけど面白い、感覚に訴えかける作品を目指して執筆してきましたから「意味は分かるが状況が分からない」と評価いただき、とても嬉しかったです。キャッチコピーについても触れてくださり、とてもしあわせな気持ちでした。ありがとうございます。
カクヨム甲子園で受賞してからの大学四年間は、ずっと小説に向き合ってきました。毎年カクヨムweb小説短編賞には新作を応募しました。しあわせを預けるコインロッカー、愛情を送れるケーブル、毒を持つ進化を遂げたマカロン、中華料理で構成された街やヒロイン、同性愛の気持ちが眠ったオムライス等、様々な発明をしました。それでも受賞には至りません。
そこで去年、要素が足りないのではないかと思い立ち「私の世界観×〇〇」というのを考えて、今までの短編に「戦闘描写」を掛け合わせる形で本作が生まれました。それが今回このような形で評価いただけて、今まで書いてきたことは無駄ではなかったと、報われた気持ちでいっぱいです。
ただ今回の受賞は、決して私だけのものではないことを、忘れたくありません。相方(浅雪ささめ)をはじめ、ユニークな友人に囲まれているおかげで、私は「面白い」を見失うことなく生きていると、そう感じております。
特にいつも一緒にいてくれる彼女には、感謝しかありません。本作の制作では、舞台となる八景島や原宿等に、一緒に足を運んでくれました。また人気のない私の書き物を、いつも楽しそうに読んでくれました。pvが1である最新話を見て「売れない路上ミュージシャンみたい」と笑い合えたから、ここまで書き上げられました。いつか私が武道館に立っても、彼女はいちばんの読者です。
そして作中にも登場してくれた野良猫のキムチ。私が中学生の頃まで一緒に過ごしていた、いまは亡き猫です。本作でも描いた、喉に腫瘍ができて日々弱っていく様子は、今も鮮明に思い出せます。そんなキムチは現在、骨となって我が家のリビングに飾られています。父は「キムチを書いてくれ」と仕切りに私に言いましたから、本作で受賞できたことが、とても嬉しいです。
受賞作となると緊張する部分もありますが、続編「大阪万博編」の執筆を現在進めています。完成してから、慎重に投稿いたしますので、どうか優しくお待ちください。完結させるのが楽しみです。
透明な冬を辿ります。