私の書いた小説『田中カメレオン』が、カクヨム甲子園2020ショートストーリー部門にて奨励賞を受賞しました。この小説を読んで応援してくれた読者の皆様、並びに選考委員の方々に感謝をしたいと思います。
先日のことですが、駅のホームで雀が鳴いていました。ちゅ、ちゅんと、二匹ほど。私はせっかくなら会話に交ぜてほしい、なんて思いながらも、側で見ていることしか出来ませんでした。そんな時、私はよく妄想をします。雀も人間の言葉を話せたら、植物も歩道を歩けたら、魚も電車通勤するような世界であったら、とても面白いのに、なんて。これからも、そんな非現実的な妄想を小説という形に落とし込んでいけたらと思いますので、応援よろしくお願いします。この度はありがとうございました。
その後の雀はと言いますと、私が「こんにちは」と話しかけた途端に、薄く澄んだ空に消えていってしまいました。私はその姿を見て、少し先を生きる自分を見ているような気分になるのでした。クリスマスの日に夏の終わりを告げられて、手元に残ったものは大量の灰。心も体も燃え尽きたのだ、とひしひしと感じます。さて、これから私は何に心を燃やしていこうかと、それをひたすらに考えていこうと思います。雀も覚悟を決めたのだから、私もそろそろ飛び立たなくてはなりません。大量の灰のせいか視界が滲んでいますが、これからも誰かの悩みを肯定してあげられるような、優しい物語を紡いでいきたいと思います。
暑い夏でした。