今年の秋に開催された文学フリマ東京に、私も高校の時から一緒に小説を書き続けている相方(浅雪ささめ)とともに出店いたしました。販売した短編集『雨と音』には、ふたりが高校のときに書き上げた短編を詰め込んでおり、カクヨム甲子園2020で受賞した『田中カメレオン』も収録しました(カクヨム側の許可はいただいております)。
東京のホテルの予約をとり、相方と前夜を過ごして、迎えた当日。ブースには受賞した際にいただいた賞状と盾を飾りました。そしてコミュ症な私は、ずっとその影に身を隠している。そんな異様な時間を過ごしました。
しかしそんな緊張もやがて溶けてゆきます。カクヨムやSNSで知り合った物書きの仲間がたくさん買いに来てくれたのです。私はオドオドして対応できませんでしたが、みんな温かく接してくれて。小説を通じて人はこれほどまでに繋がれるのかと感動しました。そしておかげさまでその日は、印刷した分を全て売り切ることに成功しました。とても嬉しく思います。足を運び購入していただいた方、本当にありがとうございました。
私も大学生になり、変わりました。死ぬ気で文章を紡いだり、全てを捨てて小説に向き合うなんて気力はもうありません。毎日を生活するので精一杯です。しかしそんな中でも、文字に向き合う時間を少しでも取れたらと思っています。今回の文学フリマで、私の書き物を待ってくれている人がいることを改めて感じました。需要がある限り、私は書き続けます。そしてこれからも、文章を書くことを、言葉を扱うことを、心から楽しんで生きていきます。今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。