この度、私が書いた『ケーブルの先端に香るシナモン、そして愛』がカクヨムweb小説短編賞2022の中間選考を通過いたしました。私の書きものを追って、応援してくれるすべての方に、感謝をしたいと思います。
食パンのふちにマヨネーズの壁を作り、まんなかに卵を落とす。それをこぼさないようにトースターに入れて「上火」で焼く。マヨネーズが焦げて、卵の白身が濁ったら「ケイコパン」のできあがり。私は最近、朝ごはんは決まってこれしか食べません。なぜ「ケイコパン」というのか。それは私の両親が、親戚のケイコさんに作り方を教わったからです。しかし私は、ケイコさんを知りません。その「ケイコ」が、どういった字を書くのかも、わかりません。恵子か、景子、もしかしたら佳子かもしれない。そんなわからないパンを毎日食べています。
この作品を書いていた去年の春は、確か「シナモンパン」ばかり食べていました。作り方はこうです。食パンにマーガリンを塗って、シナモンをふりかける。それだけ。そう考えると去年に比べ、料理の腕は少しだけ上がったように思えます。では、執筆はどうだろう。一年間ずっとこの短編賞に向けて、文字を紡ぎました。そんな、余裕のない毎日のなかで作り上げた物語が「面白い」と思っていただけたら、それより嬉しいことはありません。これからも、応援よろしくお願いします。
やさしい春が鳴っています。
追記:受賞はなりませんでした。来年また頑張ります。