針間有年

「私」は意味もなく空を見上げ、意味もなく魚を追い、意味もなく水槽を眺めた。 その意味のない行為の羅列には、本当に意味がないのだろうか。 意味と存在について。 ただ、在ることにつ…

幽霊部員の多い文芸部であなたと後輩はいつも二人きり。 後輩はいつもあなたにツンとした態度を取る。 お疲れ気味のあなたの姿を見た後輩が突然言う。 ――今日は早く寝てください。 言わ…

夢の中で出会う、とても短い物語。 一話完結の物語集。 連続するのは「僕」の存在だけ。ただ、それだけ。 毎日連載です。

ギャラリー併設カフェ『peinture』に客は来ない。 店主兼イラストレーターの陽子は、この店にも自分にもうんざりしていた。 もう店を潰そうと思い至ったある日、陽子の店を輝く瞳で…

高校二年生の篠倉悠馬は、同じ集落に住む友人の高梨亜里沙と穏やかに暮らしていた。 だが、ある日存在するはずのない踏切が現れる。 その向こうはもう一人の"篠倉悠馬"が支配する狂気の世…

ブラックホールのもりびとさん、レストランのシェフさん、くつやさん、くすりやさん……。 うちゅうにすむ、みんなのおはなし。 ひと月・二話を目標に連載します。 本文は小学校一、二年…

梅雨の時期だけ現れる、梅雨の街。 それは世界中どこを探しても見つからない、理から外れた街。 それは彼が、彼女のために造ったワンダーランド。 彼女は、過去を回顧しながら、彼と街を…

外では完璧な後輩彼女は、二人きりだととんでもないヘンタイ！？ 風邪を引いた先輩の家に押しかけて、看病しちゃいますよ！

ケルベロスと呼ばれる門番と、死を望む少女。 冥界へと繋がる門が存在する街で、二人が紡ぐ物語。

『終焉の紡ぎ手』計七名の登場人物の外伝を記しています。 本編のネタバレ満載なので、よろしければ、本編読了後にお読みください。 外伝のそれぞれの物語に繋がりはありませんので、ご自…

普通は幸せの象徴だ。 高校生の岩森伊織は、父の頼みにより夏休みの間叔父の家に行くこととなる。 山深くにある叔父の家の片づけを手伝いに行くのだ。 迎えてくれた叔父は五十を超えてい…

座敷童という存在。それは家に住み住人に福を与えるありがたい存在。SからEまでのランク付けがされていて、Sが最高、Eが最低だ。 かつてSランクの座敷童を所有していた「私」は引っ越し…

クラスで探偵と呼ばれる僕、水城明人には放置している謎があった。 佐久間里穂、彼女とやたら目が合うこと。しかも、にらまれている。 担任である吉原先生と逢引しているのを見たからか？言…

人口空を作る空職人の私は、皆が望む「晴れの空」ばかりを作っていた。だが、ある日、昔、己が作った「夜の空」と向き合うことになる。 「満月」「フローリング」「バックドロップ」をお題…

迫害許可条例。それは迫害を認める制度。コロニー内の人間を選別し、迫害対象者を外に追い出すためのもの。コロニー内の「僕」は優越感に浸っていた。己は選ばれた人間なのだと――。

寒い冬の日、意識を得た僕は娘と鬼ごっこをする。娘が早口言葉を口にするたび現れる不可思議なものたち。それらと戯れ、娘と遊ぶ。それだけで十分なんだ。たとえ僕が――。 友人からもら…

死にたい、という気持ちを引きずり生きる僕。彼の傍にいるのは「死」である彼女。奇妙な共同生活を送る彼らの話。

妻と共に、山梨県の温泉旅館に来た男。 待てど、待てど、妻は帰ってこない。待てど、待てど、空からは雪が降る。 ほんの数日の、男の日記。

並行世界を渡る存在、「旅人」。旅人は世界を渡るうちに、忘れていく。記憶、人間としての機能、感情さえも。 旅人である「私」は、憎しみだけを抱き、旅をしていた。誰を憎んでいるのか、何…

レシの国。それは百年に一度魔王が現れる国。十五年前、魔王は勇者に滅ぼされた。 魔王と同じく赤い髪と目を持つアリシヤは、育て親のルーチェと共に各地を転々とし、隠れるように暮らしてき…

ドイツの村はずれ。古びた屋敷が一つ。 そこには一人の男とメイドが暮らしている。 彼の名はシュトルツ、メイドの名はトードと言った。 さあ、この中にある一つの間違い。ぜひ推理してみ…

三題噺「カジノ」「ヘンゼルとグレーテル」「シャーペン」から出来た物語。 クズな実父にカジノに売り飛ばされた、ヘンゼルとグレーテル。 継母は、彼らを迎えにカジノに行く。 別に、助…