砂漠で迷子になって水もない緊急時、サボテンを食べると水分を取れる。でもサボテンに含まれる毒によって最悪の場合は命を落とす。
ということを、この作品を書いている途中で知りました。怖いですね。サボテンじゃなくて、無知が怖い。
今作はそういうお話です。サボテンが主役ではありませんが。
テーマはそれとして、書きたかったのは「常識とは異なる世界」と「誰にも会えない孤独感」です。
常識が通用しない、荒涼として寂寞、独りで行動するしかない、わからないことだらけ、というハラハラドキドキ感を書きたかった。
プロットなしです。登場人物も「書いたらそこにいた」という感じで事前に設定は作ってません。
この作品に限らず、短編はだいたいプロットなしです。いちおう頭の中には「なんとなくこういう流れ」があるので、「プロットはあるけどアウトプットしない」が正しい言い方かも。そして推敲に最も時間をかけます。
一人称で小説を書くときに、「僕は」「私は」といった主人公の主語をなるべく書かないようにしています。書くなら効果的に使おうと。
一種の縛りですが、主語を省いた文章のリズムが好きなんです。
小説作法というほどのことでもなく、ただのこだわりというか、癖というか。
作品の内容に関係ないですね。どうしてこんなことを急に書いたのか。書くことで己を把握したかったのかもしれません。消そうかな。いやでも、たまにはいいか。
「夕暮れ星の死ぬかもしれない果実」は、孤独なお話です。物理的に孤独。
本当に誰もいないっていうのは怖い。そんな世界をほんのすこし想像してもらえたら充分と思ってます。