7/3にフォロワー200人を記念してRT読みを始めた所、なんと50RT……舐めてましたね笑
折角なので順次読んでいこうと思ってますが、元々相互フォローしていた方のはまず読み込んでいきたいなぁと思って10名ほど感想を書いています。
思ったより長くなったので、リプで返せませんでした。ごめんなさい。
part.1はRTを頂いた順に5名書いています。残り5名はpart.2として後日。
素敵な作品しかないので、是非気になる作品があれば読んでみてください。
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タイトル:清涼、無効
○ウノカグラさん @__mystery004
https://t.co/zAQszGf4Gj 陰鬱な描写、主人公の遣る瀬ない心情が伝わってくる作品です。小説としては終始、短く纏められた主人公の心の声だけですが、要所の心の叫びがリアルで、思わず眉を顰めてしまう、そんな技術も光る文章です。
大学生らしい四畳半程度のワンルーム、電気も付けず散らかった部屋に力なく座り込んでいる様子が思い浮かびます。そしてテーブルに並んでいくエナジードリンクの空缶。自暴自棄になればなるほど依存して、主人公は諦めの境地に辿り着いてしまう。「あれ、なんで生きてるんだっけ」と呟いては涙を流して、自分の限界を悟る。誰かに気付いて欲しくはない、けれどその裏側にある矛盾した思い。思わず親へ最後のメッセージを送る。気づいてくれ、そう願いながら主人公は発狂してしまう。
時間にして数分の中に閉じ込められた主人公の生き様、葛藤、この世界での生き辛さを痛いほど感じました。無気力感、劣等感、虚無感、それらが何度も何度も押し寄せて、彼の心を蝕み続ける。けれどそれに立ち直るには厳しい現実があって、彼は誰からも助けてもらえることなく、負のスパイラルに飲み込まれて行ったのだと思います。
大学生というモラトリアムの中で、希望に満ち溢れた輝く20代を謳歌する人がいる。一方で、作中ではエナジードリンクが依存先ですが、ストロング系ドリンク、ギャンブル、セックスやドラッグ……希望とは真逆の絶望へ向かわせるものとも隣り合わせなのが、この年代です。自由であることを履き違えて、間違った道を歩んでしまうと、こうなるのだと。
唯一救いなのは、メッセージを送信した後に親からすぐに着信が来たことでしょうか。主人公は結局出られず仕舞いで、その後間に合ったかどうかは分かりませんが、まだこの世界に救いはあったのだと。けれど実際、彼の絶望は簡単には拭えないだろうと思います。「清涼飲料水のどこが清涼だ」と彼は小さく叫びます。それを清涼だと感じられない彼の世界は、余程濁っていたのだと思います。鬱屈した、普段目にすることはできない世界、けれど確かに存在している世界を知ることができた作品でした。これから大学生になる人、明るい大学生活を謳歌した人、そういえば途中で来なくなった奴がいたなぁ、なんて憶えのある人に是非読んでもらいたい作品でした。
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タイトル:SIRIUS
○貴葵さん @kiki_choco44
https://kakuyomu.jp/works/16816927862960497835 キャッチーなコピーに目を惹かれて読み進めると、冒頭から綺麗な物語。さらさらと読み進めていけば、思わぬ感動に出会いました。まさしく濃密かつ爽やかなアイドルのドキュメンタリー。あらすじの通り、「頑張っている人の前に現れる天使」がリアリティと理想像を兼ね備えていて、とても心温まるストーリーでした。
短編でさっくり読めるので、あらすじは程々に。中々売れずに燻っている一人の男性アイドルが、とある「犬」との出会いでその先の将来を大きく変えることになります。しかもその「犬」はスーパースペックを持っているため、とっても発言権が強い。あの「犬」が言うことなら仕方ないかと、周りの見る目も対応も変わっていきます。「犬」の主人公に対する忠誠心がとっても可愛くて、何でもご主人が一番だからと贔屓目にしてしまうところも憎めない。けれど、辿ってみればその二人の関係性になるきっかけが、過去にあって。
他のコメントにもありましたが、筆者である貴葵さんのアイドルに対する理解、好きだって気持ちがすごく伝わってくる作品でした。アイドルってこんな素敵なものなんだよ、アイドルを目指してる人たちって、こんなに頑張って輝いてるんだよってメッセージが自然と聞こえてくるような、心がジンと温まる物語。主要キャラ二人の存在感も対比されていてとても魅力的でしたし、タイトルのシリウスに繋がる話の流れもお見事。
「貴方の一番星になりたい」という作中のセリフ。思わず、冬に並んで夜空を見上げる二人の姿を想像してしまいます。二人は特別な関係で、隣り合った関係から憧れる関係になって、支え合える関係に変わっていく。「天使」だけど、それは主人公の努力が生んだ「奇跡」で、単なるラッキーじゃないってこと。
これからの主人公の活躍、そしてお互いの道を歩みながら輝き続ける二人の関係性も、気になってしまいます。いろんな人に読んでもらいたい作品です。
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タイトル:彼女にはデバッグが必要です
○輝夜流星さん @kagayaryusei
https://kakuyomu.jp/works/16816927862259983450導入から非常にワクワクして読み進められました。天才幼馴染はゲームクリエイター。その技術の粋を尽くして、リアルなゲーム世界に飛び込むためのシステムまで作ってしまう。完璧と思われた幼馴染のバグをデバッグする、そんな二人だけの関係性が今後どう展開していくのか、そして二人が入り込んだオリジナルゲーム世界、「ウィスタリア」では一体どんな冒険が始まるのか。
初めは練り込まれた設定をしっかり読み込まねばと身構えたのですが、主要二人の会話がとても軽快でスッと入ってきて、読みやすい!というのが最初の印象でした。特にヒロインの海玲の難しい専門用語も主人公が軽く流してくれるお陰でスラスラと本編まで読み進めていけました。
まだプロローグを読んでウィスタリア攻略をし始めた所なので、実際はもう少し読んでいきたいなと思っていますが、10話まででも二人の距離感が分かって、海玲の万能さ加減と主人公の諦めの悪さ、前のめりな感じが親和性を持って、物語の進展を期待させてくれます。異世界系が好きな人も読みやすいですし、メインになるゲーム世界の話までスムーズに展開されるので、読んでいて全くストレスはありません。個人的には二人の関係性がどう展開されているか、というのも注目したいですね。
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ドラゴンスレイヤーは斧使い ~無実の罪で国外追放されても、未開の流刑地で最強の冒険者をめざす~
○二条 遙さん @mimizu_
https://ncode.syosetu.com/n1979hj/正統派ファンタジー、タイトル通りドラゴンスレイヤーが気持ちいいほど活躍している物語です。
無実の罪で流刑地に移送されてしまう主人公。しかし、持ち前のひたむきさと真っ直ぐな心、そして圧倒的な実力で魔物を倒していけば、移送先でも皆の心を惹きつけていきます。
元々ドラゴンスレイヤーとして活躍していた主人公ですが、目立ちすぎた結果ギルドマスターに嫉妬され、一部の人たちからも目をつけられてしまいます。その結果、無実の罪を着せられ、冤罪を被る形で国外追放されてしまいます。
物語全体として、良い意味で期待を裏切らないファンタジーなので、ストレスなくスラスラ読むことが出来ます。またバトルシーンもイメージ通りで、とても分かりやすい表現が多いなと感じました。かといって全てが平易な表現なわけではなく、激しいシーンは躍動感を見せ、大型魔物との戦いは臨場感溢れる展開に仕上がっていました。
また、キャラクターもシンプルに特徴づけられているので、脳内再生がしやすいのも読んでいて嬉しいですよね。個人的にはジルダが好みですね。10話以降は罪を着せてきた犯人とも接触する展開がありそうなので、少しずつ盛り上がってくるストーリー展開に期待が持てます。正統派ファンタジー好きな方は読む手が進んでしまうこと、間違いなしです。
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タイトル:公爵令嬢は転生者で薔薇魔女ですが、普通に恋がしたいのです
○瑛珠さん @Ei_ju_
https://kakuyomu.jp/works/16817139555493544571とっても読み応えのある異世界転生・令嬢系物語です。私自身があまり令嬢系を読まないものの、主人公の元のキャラがOLらしくコミカルで、読んでいてとても明るくなりました。
10話までで主人公は14歳になりますが、公爵貴族という高い位なりに感じる苦悩、そして周りのハイスペックさに戸惑いながらも、自らの感情、欲をあまり我慢せぬようにと生きる姿が描かれています。
王立学園に入学すると、本人もまたチートスペックであることからタイトルにある「薔薇魔女」の肩書(烙印?)が備わって、一層やり辛くなったり、政略結婚から逃げようとすれば王子から求婚をされたりと、ドタバタコメディチックな側面もあって、退屈しません。
かといってその文章はとっても繊細で、情景描写がとても綺麗です。また、執筆表現もお上手で、主人公の心のセリフと元々の転生前の心のセリフと、上手い具合に改行を使って演出されているのがやり手だなと感じておりました。
目次を拝見するにもっともっと盛り上がってくる物語かなと思いますが、ここまでの流れでも令嬢系の物語として、また独自の展開をされていると感じました。令嬢系が好きな方は勿論、「私は恋愛がしたいんだ!」という感情に忠実なお嬢様がどんな第二の人生を歩むのか、気になる方は是非チェック頂けたらと思います。
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まずは5作品拝見しました。ジャンルもいろいろ、書き方もいろいろ、けれどレベルが高いです。本当の本当に勉強になります。よくその設定思いつくね?頭の中どうなってるん?(IQ低下)って問い質したいレベルですよ。
けれど、それが小説のいい所ですよね。料理とかと同じだと思います。
基礎がしっかりしていれば、あとは好みの問題。ある人にとってはだらだらした文章だな、と思っていても、ある人にとっては丁寧で練り込まれた文章だ、と思うでしょうし。
他の人の小説、料理であればその味や作り方からインスパイアされて、自分の作品に昇華していく。なんとも生産性の高い趣味じゃないですか!
そういうわけで、今後も拙い感想ではありますが、自分の小説をよりよくしていくためにも、読み続けていきたいなと思っております。
ちなみに、最終的に50名(+α)のを読んだあと、この人のは特に面白かった!というものは、別途noteにまとめようと思っています。
あまりそう言うのは……という方がいらっしゃれば、予め仰って頂けると幸いです。(個別に許可を取るつもりですが)
part.2も近々公開します。それでは。