RT読み企画のpart.2です。
今回の5作品はファンタジー。そう括ってしまうとほとんどそういう作品だろとなってしまうのですが、だからこそ実際に読んでみると内容も文体も千差万別で大変読み応えがありました。
素敵な作品しかないので、是非気になる作品があれば読んでみてください。
※リンク・TwitterIDの転載をしない方が良い場合はご連絡下さい。
——
タイトル:落ちこぼれ勇者候補生と最強魔王候補生のリバースワールド~魔王の娘を救った最下位候補生、勇者を信じた世界に真の救済をもたらす~
○よるかさん @yorukaruyo
https://ncode.syosetu.com/n2411hn/落ちこぼれ主人公と優秀なヒロイン。勇者の「候補生」という立場からパーティーを組んで、どんな形で成り上がっていくのか。そこに現れた行き倒れのヒロインは凄腕の魔道士。彼女を仲間にすることを賭けての彼女自身の決闘、明かされぬ彼女の本質、謎に包まれた世界……王道ファンタジーの中に組み込まれた緻密な設定が、ゆっくりと確実に物語を読む手を進めてくれます。
10話まででは主人公の能力的な本質には触れられませんが、目を引くのはヒロインのアグルエ。主人公の優しさ、思いやりに触れて協力することを決意するものの、その正体はまだ分からない。それでも二人手を取って冒険が始まる、この王道のワクワク感。そして、自然に描き出された戦闘シーンも含めて、とてもクオリティの高いファンタジー作品を楽しむことが出来ます。
目次を拝見するだけでも、その先の展開が気になって仕方ありません。サブに出てくる登場人物達もキャラが立っていて、思わず好きになってしまう、応援したくなるような世界観。世はまさに大勇者時代、の言葉通り、勇者を巡ってどんな冒険が繰り広げられるのか、純粋なファンタジーワールドに没入して一気に読みたい作品です。
*
タイトル:知識チートの正しい使い方~貴族とか面倒なんでほっといて下さい! 自由な商人として成り上ります! え、だめ? 奴隷になれ? よろしい、ならば拷問だ~
○ノ木瀬 優さん @M3BhsUPr4qT2k8x
https://ncode.syosetu.com/n0373hp/冒頭、家族が何者かによって蹂躙されている。その復讐を決めた主人公。謎多いまま、過去回想は主人公の家族、商人一家としてのこれまでを遡る。優秀な経営者である父と、優しい母、義理の妹。幸せな家族で過ごす中、突然異世界転生をしたことが分かり、主人公の知識はいわゆるチートと化す。しかし、思った以上に思い通りの展開にはならず、過去の知識から生み出した商品を売り込み、普及させていくまでも地道な手順を辿らなければいけない。その労力、努力、協力して生まれた達成感。家族の絆を感じながら、主人公は持ち前の知能と知識を生かして商人として成り上がっていく。
復讐系としては王道な流れかと思いきや、商人としての過去を辿る新鮮なストーリー。そして主人公は異世界転生のおかげでチート的な知識を持っていながらも、地道に商人として頑張っていく過程がとても面白いです。冒頭に家族が惨殺されているせいで余計辛いのですが、暖かい家族の存在も読みながら心を温めてくれます。
10話まででは冒頭の犯人、黒幕である”王子”まで話が及びませんが、目次を見る限り主人公が商人として成長するに従って、妹と共に復讐の道を歩むことが期待できて、思わず拳を握りながら読み進めてしまいますね。要所の描写がとても丁寧で読み応えがある作品ですので、復讐系で何か面白い作品を、と思ってる方には是非お勧めしたい作品です。
*
タイトル:転生社畜の領地経営~転生チートのせいでエルフやケモ耳の異世界美少女たちにモテすぎて困っています! 専属の残念メイドが、今日もご機嫌ななめですので~
○七生さん @10seisyatiku
https://ncode.syosetu.com/n0856gw/ブラック企業が許せなくて書きました。いいですね、私も嫌いですブラック企業。そういうわけでタイトルから惹かれてしまう異世界ハーレム系ファンタジーかなと読み進めていくと、流れは王道。いわゆる建設会社として残業を余儀なくされていた中堅社員がパッと起きてみたら貴族に転生。転生先での記憶はリセット、なぜか借金を抱えており、残されたのは可愛いメイドだけ。それでも持ち前の献身力で借金を返し、次々と問題解決を図っていきます。
社畜転生という言葉を聞いて、案外聞いたことがなかったなと新鮮さを感じていました。もちろん異世界ものには社畜の結果死んでしまってとか、社畜だったから転生先はなんてホワイトなんだ、みたいなシチュエーションは聞いたことがあるものの、冒頭からはいきなりチート展開で無双!という感じではなく、じわじわと力を取り戻していくような展開に感じます。
10話まで読んだ所、メイドのキャラが立っていてとても素敵です。タイトルにある通りちょっとハーレム的に流れいくのかなとも思うと、これもこれで楽しみな展開です。あらすじを読むと結構ドタバタ展開が待っていて複雑なのかと思いきや、かなり丁寧になぞって話が進みながらも、文字数は端的にまとまってサクサク読めるので、七生さんの技量の高さが窺えます。順当に登場人物も増え、クエストを進めてという流れになっていくので、この先元社畜としてどのような人生を進めていくのか、とっても楽しみですね。
*
タイトル:ダイバーシティパンク~はぐれ者達のアッセンブル~
○NO SOUL?さん
https://ncode.syosetu.com/n1877ha/サイバーパンクというジャンルを小説で読んだのは初めてでしたが、とってもパンク。アウトローでアングラな世界が決まりまくっていて、最高にクールでした。舞台は約百年後の日本、忍者や超能力者、殺し屋それぞれが治外法権な世界でそれぞれの信念を胸に蠢いていく。そんなストーリーです。
何を言っても独自の世界観。これにハマったら他の小説が物足りなくなるんじゃないかって思えるほど濃厚で、太い線を一本引いたような芯のある時代感に没入していけます。退廃した世界に残された知識や技能が所々顔を出すように、生き残った者たちが顔色なんて見ないで生きていく様が爽快です。御法度なんてない、セックスもドラッグも当たり前というまさしくパンキーな世界を舞台に、どんな化学反応が待っているのか。
序章から数話読んだだけでも、この世界観にガッチリハマるキャラクターが魅力的です。読み終えたときには登場するキャラの言葉遣いが混ざってしまうかも。ワイルドで一風変わった世界観に浸かりたい方は必読です!
*
タイトル:兇人は有理に裁かれる
○剣乃和也さん
https://kakuyomu.jp/works/16817139556012389146…
ワクワクするSF作品。宇宙人文明が確固たる存在として地球上にやってきたら。様々な「宇宙由来」の物の登場から始まり、犯罪組織の闊歩……そして学校生活にまで視点を寄せていくと、スールと呼ばれるハッキングのようなチートを駆使したやり取りが部活になっていて。
高度な頭脳戦を掛け合って、青天井で闘う「スール」と呼ばれる技術が一つの鍵になっていて、まだ10話ですが今後の展開が楽しみになる要素が盛り沢山です。宇宙人という存在にフォーカスするのではなく、宇宙人の文明、文化がある土地自体を入れ込んでしまって、文明融合した結果……というのがまた、想像力に拍車をかけてくれます。未来の世界とはまた違う、新しい世界。自分たちの知っている常識とのズレ、それが登場人物たちによって切り開かれていくのは、注目待ったなしです。
SFジャンルながらとっても読みやすい文体で、セリフ部分と説明部分がきっちり分かれているなど、読み手にも優しい構成がより一層、この世界観への興味を書きたててくれます。電子機器の中に入って戦うシーンは某ゲームを思い出してしまうなど、イメージもしやすい流れなので、学生たちの視点からこの世界がどうなるのか、是非続きが気になる作品です。
———
前回に引き続いて5作品拝見しました。どれもボリューミーだったので結構時間がかかってしまいました。
今回の共通点って、探せばいくらでもあるんですけれど、「あ、似た作品だな」ってのがなかった、ってのが印象深いですね。冒頭も書いた通り現実とは離れた「ファンタジー」というジャンルで、これだけライトノベルも世に溢れる中で”既視感”って出てくると思うんですよね。
けれど今回の5作、それぞれが初めて食べる味がしました。それでいて、素晴らしく王道なんですよ。良く言いますよね、覇道を目指す前に王道を極めよ。どうしてもオリジナル作品だから、ちょっと捻った設定にしちゃおうかなってなりがちです。
でも今回は、例えるならそれぞれ5通りの料理の中で、隠し味だとか作るときのポイントがガッツリ効いてたんです。カレーなら拘った野菜を使うとか、ステーキなら下拵えに手間をかけたみたいな。食べてびっくり、いつもより美味しい。けれど出てきた料理は献立を聞いたときのイメージを壊さない、王道な仕上がりなんですよね。パクパク食べられました。
長くなりましたが、ファンタジーは作った経験がないので、勉強になりました。ありがとうございます。
前回とっても良い反応をいただいたので、今後も時間を見つけて書いていきたいと思います。
ちなみにpart.3は以下の方を予定しております。
○ゆげさん @_yu_ge_
○温故知新さん @wenoldwisdomnew
○龍咲ラムネさん @Umi_and_40
○破月さん @SSMK81141095
○糀野アオさん @ao_kojiya
○ソウ二代目さん @sgNyBemtnJnMXbN
○まりかさん @marika_syosetu
以降はフォロワーRTして頂いた方順に読んでいきますが、1点だけお願いです。10話というのを優先して読んでたので、今回すごく時間がかかるものもありました。
なので、個人的なところで1万字というのを目安に読んでいけたらなと思っています。もちろん、気になった方はその後で読み返させてもらいます!
この人のは特に面白かった!というものは、別途noteにまとめようと思っています。
あまりそう言うのは……という方がいらっしゃれば、予め仰って頂けると幸いです。(個別に許可を取るつもりですが)
執筆と並行ですので、気長にお待ちください。それでは。