• 詩・童話・その他
  • 現代ファンタジー

物語が始まらない『見つけた ~ 草の中 ~』

「やっと、見つけた。」

 疲労か。安堵か。足の力が抜けその場にへたり込む。

「どんな姿になっても見つけ出すって言ったけどさ‥‥‥。さすがに反則じゃない?」

 驚きよりも呆れの感情が強く滲む。私は今、どんな顔をしているだろうか。
 まあ、そこが君らしくもあるんだけどね、と差し出した手に、彼の手が遠慮がちに触れた。
 こそばゆさを紛らわすように包み込む。

「まさか、ダンゴムシだとは思わないよね。」

240205

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する