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物語が始まらない『見つけた ~ 山の中 ~』

「やっと、見つけた。」

 疲労か。安堵か。足の力が抜けその場にへたり込む。

「どんな姿になっても見つけ出すって言ったけどさ‥‥‥。さすがに反則じゃない?」

 驚きを通り越して笑いがこみ上げてくる。私は今、どんな顔をしているだろうか。
 まあ、そこが君らしくもあるんだけどね、と差し出した手は、泥と砂にまみれ浅黒い。
 包み込んだ彼の白い頬もまた、泥と砂で汚れている。

「まさか、骨になっているとは思わなかったよ。」

240205

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