ボス「報酬は1億。成功した者にのみ支払う。子供の生死は問わない。以上だ」
部下(うわぁぁぁみんな顔こっわ。緊張してきたぁぁぁ)
男「あの、すみません。確認いいですか?」
部下(え?なになになに?この空気で手ぇ上げれる人おる?猛者すぎん?)
ボス「なんだ」
男「生死は問わないとおっしゃいましたが、死んでいても構わないということでしょうか」
部下(ええーー!?それ聞く?そら死んでもOKって意味でやろ)
ボス「・・・・・・。構わない」
男「なるほど、死んでも構わない、と。具体的にはどのくらいの割合になりますか?できる限り生かしたいとか、死んでいいから早くしてほしいとか」
部下(ええーーー!なにこいつ!細かっ!)
男「申し訳ございません。今回はニコニコ仲介サービス様を通してのご依頼となりますが、私、普段は依頼主様と直接お取引をさせていただいております。こういった形式は初めてとなる為、お手数ですが、改めてご依頼内容の確認と詳細のすり合わせを行わせていただければと思いまして。」
部下(こいつ、めっちゃ喋るやん!!)
ボス「不満なら帰りたまえ。1人くらい減っても大して変わらん!」
男「ご依頼はキャンセル、ということでよろしいでしょうか。しかし私が抜けるとなると・・・・・・」
部下(何周り見まわしとんねん)
男「少々、心もとないかと。」
部下(言いよった!こいつ言いよったで!)
ボス「なんなんだね、君は」
男「あ、大変失礼いたしました。申し遅れました。私、アカツキと申します。」
部下(アカツキって、植木の手入れから殺しまで何でもござれと言われる裏社会の便利屋!あのアカツキ!?)
アカツキ「植木の手入れから殺しまで何でもござれでお馴染みの、あの、アカツキでございます。」
部下(自分で言うんかい!ほんで名刺!?)
ボス「おい」
部下「っす。」
部下(一文字!!!暁一文字!!!これ名刺いる!?)
暁「それで、ご依頼はキャンセルということでよろしいでしょうか」
ボス「いえ、継続でお願いします。」
部下(ボス!?)
暁「ありがとうございます。それではご依頼内容の確認に移らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。」
ボス「はい!大丈夫です。よろしくお願します。」
部下(めっちゃ態度違うやん!)
暁「ありがとうございます。先ほど死んでいても構わないと伺いましたが、であれば、誘拐ではなく殺人のご依頼に該当するのかな、と」
ボス「すみません。できる限り生かした状態で、誘拐でお願いします。」
暁「畏まりました。誘拐ということで」
部下(さっきと全然違うやん!)
暁「誘拐となりますとカタログの、」
部下(カタログ!?)
暁「こちらの3つのプランがございます。」
ボス「どう違いますか?」
部下(何普通に受け入れとんねん!!)
暁「はい。ご説明させていただきますね。」
暁「1つ目は『なにがなんでもプラン』となります。プラン名の通り、どんな手を使っても誘拐いたします。今回はお子様の誘拐という事ですので、一緒にいる母親の死はほぼ確じt」
ボス「駄目だ!!」
部下「ボ、ボス!?」
暁「しかし、誘拐ですとこちらが一番早いプランとなりますが。」
ボス「駄目だ!まみちゃんは駄目だ!!」
暁「すみません。立ち入ったことをお聞きしますが、まみちゃんというのは・・・・・・」
ボス「・・・・・・昔の女だ。」
部下(ええーーーー!?)
暁「なるほど。という事は、お子様は」
ボス「(溜息)おそらく、俺の子だろう。」
暁「やはり、そうでしたか。」
ボス「えっ」
暁「いえ、ね。ご依頼の写真、目元があなたにそっくりだなと思って。」
ボス「・・・・・・。」
暁「本当にいいんですか。」
ボス「えっ・・・・・・」
暁「本当に、誘拐してもいいんですか。」
ボス「それは・・・・・・」
暁「本当はただ会いたいだけなんじゃないですか。いや、ただ幸せに暮らしているか確認したいだけなんじゃないですか。」
ボス「・・・・・・そうだ。俺は、二人の幸せを」
暁「だったら!誘拐なんて依頼止めましょう。この写真、いい笑顔じゃないですか。この笑顔、奪ってもいいんですか。」
ボス「・・・・・・」
暁「もう私は必要ありませんね。失礼いたします。」
暁「あ、そうだ。カタログの最後に、ご家族見守りプランというものがございます。もしご希望でしたらまた、ご連絡ください。それでは。」
ボス「ふぅ、ぅうう・・・・・・泣」
部下「暁さん!待ってください!!」
暁「はい。何でしょう。」
部下「今回の件、良かったんですか?」
暁「と、言いますと。」
部下「いや、誘拐とか暁さんやったら造作もないでしょ?このままやったら何でもできるって看板に傷が付くやないですか」
暁「ああ、その点は心配いりません。ご依頼は完遂しております。」
部下「えっ」
暁「今回のご依頼は、お子様の誘拐を阻止すること。まみ様からのご依頼です。では私は次がありますので。」
部下「かっけーーーー!!!」