「淮南王の叛乱」を読んでいただき、ありがとうございます。
ここでは、物語中に登場した人たちについて、ちょっと解説していきます。
第1回目は劉安の父、劉長に殺された審食其(しん いき)についてです。(出典は「史記」と「漢書」です)
この人、武将としての活躍はありません。かといって政治家として手腕を発揮した訳でもないです。まったく毒にも薬にもならない、ひと言でいえば「呂后の腰巾着」。
高祖劉邦の同郷、しかも呂后のお気に入りという事で諸侯の地位を得たような人ですね。
だから常に呂后の顔色を伺っていたのでしょう。(実際、呂后って怖い女性ですが)劉長の母の助命歎願も、呂后の機嫌を損ねるのを恐れて取り次がず、無視していたくらいです。
それなのに呂氏一族が滅ぼされた時は、その巻き添えになっていないのですから、保身の術だけは見事なものといえるでしょう。
そんな審食其も最後は悲惨なものでした。小説にも書きましたが、劉長にハンマーで殴り殺されています。
こうして母親の仇をとった劉長でしたが、その死後、こんどは審食其の孫が劉安に対し……という、なんとも、な展開が待っています。
まさに運命は廻る、というところで、今回の解説を終わります。
以下、お知らせ。
淮南王の叛乱、第2話は「戦乱の種子は蒔かれた」です。もう少しお待ちください。