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定期的に創作論や創作エッセー的なものを書きたくなります

特に、自分の創作をしばらく休んでいる時などに多いのですが、そうでない時も。
あるいは自分のスタンスや好みを書きたくなります。

だけど、なぜ書きたくなるのかというと、「うーん」と思った作品に対して、
やはり『ここをもっとこうすればもっと面白いものが書けるのに!』という『お節介』心が7割、『不満』が3割なんですよね。

もちろん特定の作品をやり玉に挙げる事はしませんが、それでも「お節介心」や「不満」が混じる以上、どうしてもトゲトゲした内容を書きそうになり、
それは絶対に良くないので封印しています。

また、以前、カクヨム内での質問エッセーを書いたことがあって、そこではかなりのPVと応援コメントをいただいたのですが、
僕が読んでほしいのはやっぱり「小説」なんです。
通知欄にお知らせがついた! やった! 僕の小説が読まれたのか!? なんだエッセーか……って事が多くて。なんか悲しくなったので非公開にしちゃいました。

だからさっさと流れる、そしてほぼ誰も見ていないであろう近況ノートに細々と書いて発散をします。


創作論……。
思うのは


1『作家にとって最高の読者は自分自身! 推敲の鬼になれ』

自分自身が読んで楽しくない作品は多分、他人にとっても楽しくないです。
作品はあなたの子供です。たっぷり手をかけて、たっぷりかわいがってあげてください。
推敲はすればするほど、自分好みの文章になります。直す部分がほとんどなくなるまで、何度でも推敲すればそれだけ良いもの=自分が読んで面白いもの、になります(それでも多少残っちゃうのは、しゃーない)。
他人が読んで面白いかどうかは知りません。

しかし、その作品はすでに最高の読者を1人得ています。そう、あなた自身です。
そして、自分が読んで心から面白いと思った作品が、他の誰の心も動かさない、そんな事は絶対にないと信じています。

あなたが大好きな自作作品を、私は読みたい。
その作者と感性が合えば、僕のお気に入りになります。
趣味が合わなければ仕方ありませんが、別の誰かが気に入ってくれますよ。

あなた自慢の、あるいはまぁ自信はないかもしれないけど、内心ちょっとは良いところがあると思っている作品なんですから。
良いところが一つもないと自分で思ってる作品はさすがに公開しないでしょ?

あなたの前に広がっているのは、あなたが作り出した、『あなたのための』物語です。さぁ、かわいがりましょう。存分に手をかけて、『他の人にも気に入ってもらえる』物語に仕上げましょう! 


2『文章はリズム。文章は呼吸。文の長さ。語尾を変えてリズムを出そう』

同じペースで書いている方、いませんか?
ずっと同じリズムが続くと、単調になります。緩急、ちゃんとつけていますか?
逆に、単調に感じさせたければわざと同じリズムで書くのもいいと思います。
小説において単調に感じさせたい、という場面はそうそうありませんが、
契約書みたいなものでは意図的に眠くなるような文章を作ってきますよね。
まぁ、それはいっか。



3『削れ。削れ。削れ。その一字、その一文は必要ですか?』

楽しいシーンならいいんです。何万文字でも楽しけりゃ読めます。
問題は楽しくないシーンです。


ある方の作品、
冒頭の文章が40字あったのですが、うち26字は必要のない字でした。
14字で十分内容が伝わり、コンパクトになるのになと思いました。
ざっと1話を流し読みしましたが、終始そんな感じだったのでブラバしてしまいました。
書こうとしているテーマはかなり好きなものだっただけに、リライトしてほしいなと思います。


別のある方の作品、
丸々一章、必要のない説明シーンでした。
先生がホームルームでつまらない注意事項を延々するシーンです。
この方は最後まで読めば面白いものを書く方なので、僕は彼を信じて読んでいます。段々面白くなってきたところです。しかしアクセスはその説明シーンで大幅に減ってしまっていて、実に勿体ないなと感じました。

「退屈なホームルームから解放されると~」ですぐ次のシーンを書いちゃって良い場面です。



☆自作例を挙げてみる


A「僕はコンビニに行った。僕はそこでポテチを買った。美味しいなぁ、夜に食べるポテチは最高だと僕は思った。そして全部食べてしまうと、僕は寝た。太らない事を祈りながら。
翌日起きてみると~」

ひどい悪文としてAを書きました。これを治します。


B「コンビニの棚で、僕を誘惑する魔性のスナック、ポテトチップス。太りたくない、太りたくないと思いながらも、食べてしまう後悔の夜。おいしくておいしくて、たまらなくおいしくて、袋をすべて空けてしまった。
目を覚ます。気づけば朝日が昇っていた」


Bの文章が良いかどうかは自信がありませんが、Aよりはマシだと思います。
多分。Aの方が好きだ!という方は、僕と文章センスが違いすぎるので、僕はお役に立てません。


Aの問題点はたくさんあります。
一つは文章が単調でリズムが一定なこと。
語尾だけを取り出しても単調すぎます。「った」「った」「った」「た」「ながら」です。
Bは「チップス」「しまう」「しまった」「す」「いた」です。


Aは「僕」という単語が「4つ」もあります。Bは「1つ」です。
特に一人称小説において、「俺」、「僕」、「私」、そんなに必要ですか?
俺は俺が俺が、うるさくないですか? 削りましょ? 削っちゃダメ?
全部僕なのはわかるから、文章リズムの問題で残したいものを除いて、後は削って!


Bは多少改造したので、再びA。「僕」を全部消します

「コンビニに行った。そこでポテチを買った。美味しいなぁ、夜に食べるポテチは最高だと思った。そして全部食べてしまうと、(僕は)寝た。太らない事を祈りながら。
翌日起きてみると~」


個人的に、「寝た」の前の「僕は」は削りたくないです。「食べてしまうと(7)僕は寝た(5)」で七五調になってリズムが良いからです。

しかし、それ以外の「僕」はなくても問題ありません。

更に「そこで」も要りません。「と思った」も要りません。「そして」も要りません。「翌日」も要りません。


「コンビニに行った。ポテチを買った。美味しいなぁ、夜に食べるポテチは最高だ。全部食べてしまうと、寝た。太らない事を祈りながら。
起きてみると~」

だいぶスッキリしました。相変わらず酷い文章ですが。どうせつまらない文章なら、文字数が少ない方がまだ読みやすいというものです。

これじゃあまりにも寒々しい? なら、もっとまともな肉付けをしましょう。
元の文章は「要らない単語の寄せ集め」でそれっぽく見えているだけの、寒々しい文章でしかなかったのです。





このシーンで伝えたい事は、多分ポテチの美味さとか、夜にポテチを食べる事への罪悪感だと思うんです。あるいは主人公の意思の弱さかもしれません。
とにかく何かしらの理由があって書かれたシーンのはずです。
だから、こうしました。

B「コンビニの棚で、僕を誘惑する魔性のスナック、ポテトチップス。太りたくない、太りたくないと思いながらも食べてしまう後悔の夜。おいしくておいしくて、たまらなくおいしくて、袋をすべて空けてしまった。
目を覚ます。気づけば朝日が昇っていた」


そこにもっとゴテゴテくっつければ、


「コンビニの棚で、僕を誘惑する魔性のスナック、ポテトチップス。太りたくない、太りたくないと感じながらも気づけば毎夜食べてしまう。おいしくておいしくて、たまらなくおいしくて。口の中に広がる海苔の香ばしさ、舌で感じる塩の香り。我に返ると、最後の1カケラまで口に放り込んでいた。ポテチにはビールが合う。僕は更にビールまで取り出すと、たちまちのうちに3度グラスを空けてしまった!
そこで後悔に苛まれる。どうしてあの時、ポテチを買ってしまったのだろう。そしてなぜビールを出してきてしまったのか。それだから、いつまでたっても痩せられないんだ。ボクシングの大会まで、あと3週間なのに。自分の情けなさを嘆きつつ、明日から心を入れ替えようと、目をつぶる。
ポテチもビールも大好きだ。でも、絶対に負けたくない。あいつにだけは、負けられないんだ!」


みたいな。いや、こんなボクサーがいるのかどうかかなり謎ですが。
まぁこんな感じで肉付けしていってもいいし、あまりに文が長すぎてうるさければやめても良い。


更に全文読み通してみて、『そもそも主人公がポテチやビールの誘惑に負けるシーンなんて、要らなくね?』と思えば全部カットです。
でもアルコール依存症のボクサーの苦悩!みたいなものを書きたければ、書いていい内容でしょう。



こういう作業、大抵の人はやっていると信じています。
でも、やれていない人も多いような気がします。
基本は削り、大事なところは肉付けする。要らないならば、削る。
1字でも削る。

でも、リズムを整えるためだとか、単純に面白いとか、その1字に価値があるなら、残す。
そんな感じです。

まぁ1割ぐらいはお目こぼししてもらうとして、
3000字書いたなら、2700字分の面白さと情報量を。
100000字書いたなら、90000字分の面白さと情報量を。
きちんと伝えられて初めて、読者は「読みたい」と思うのではないでしょうか。



面白く書けるなら何でも良いです。
でも、面白く書けないなら、絶対に入れないといけない情報、単語以外の文字は全部削った方が良いです。



と、偉そうに言っている僕ですが、自作で完全実践できているかはかなり怪しいです。
言うだけは簡単、やるのは大変です。
でも、できるだけやりましょ。これは才能じゃなく、労力ですから。


「文章」がつまらなかったら、「ストーリー」や「キャラクター」にすらたどり着けません。逆に文章が面白ければ、ある程度の文字数(4000字ぐらい)は気楽に読めます。

「ストーリー」とか「キャラクター」は、僕は本当にその人が書きたかったものを書けばいいと思います。僕に合う・合わないはあっても、変える必要はあまりないと思っています(よほどのご都合主義などは除きます)。


だけど、作者は作者で、折角読者に読んでいただくのだから、折角伝えたいテーマがあるのだから、丁寧にラッピングして伝えましょ?
文章は、読みやすく軽妙に。
あるいは読みにくくても重厚で味わい深い文章を、紡いでいってほしいなぁと思います。


で、自分を顧みると壮大なブーメランw 僕も文章ヘタクソですからね……。
更に言えば「こんな事書いてないで、自分の作品ちゃんと書けよww もっと早く更新しろよ。完成度上げろよw」と自虐で終わってしまいます。

頑張りませんとね。

あー、こういう文章、小説を書く労力の1万倍も楽なんだけどな。

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