暑中お見舞い申し上げます。
例年より早かった今年の梅雨明け宣言。その後6月後半の猛暑がいけなかったのか、真夏を前に体調を崩してしまいました。しばらくスローダウンする羽目になりましたが、その間、昔買った本を読み返してみたり、つらつら考え事をしたりなど、休養と充電の時間をとることができました。お陰さまで、何十年ぶりに、夏休みを過ごしたような気分を味わうことができたと思います(今はすっかり回復しました)。
さて話は変わりますが、今カクヨムに連載中の物語「スターシップ・ドランカーズ」は、戦争になるかならないか、あるいは、戦争に向かう中それを止めようとする、そんな「フィクション」です。一方、目を外に転ずれば、ウクライナで現実の戦争が起きており、その生々しい映像がたくさん飛び込んで来ています。その悲惨な光景に息も苦しくなる一方で、圧倒的なリアリティが押し寄せてきて震撼させられます。
今起きている戦争や国家間の闘争は、自由主義圏(民主主義国家)と権威主義圏(国家主義・独裁国家)の相剋に見えますが、地政学でいうところの、ランドパワーとシーパワーのせめぎ合いでもあるようです。大陸(内陸)の国と、海に面した国。地理的条件がこれらの国々にもたらす性質の違い故に、争いが終わることはないというわけです。だからこそ、平和への想いは勿論のこと、戦争や抑圧を招来しない新たな工夫やメカニズムに思いを馳せることが、一地球人として大切かもしれないと思うわけです。こうしたイマジネーションが共通言語となって、より大きなうねりになってほしいと願うばかりです。
現実の騒乱の時代にあって、フィクションはとても難しい。それを作り手として、痛いほど思い知らされています。映画であれ小説であれ、戦いを扱ったフィクションを楽しめる、あるいは受け止められるのは、平和であればこそ、かもしれません。そんな中ではありますが、人間の業(ごう)の罪深さはそれとして、暗転した今を切り開き明るい未来へ駆動する、そんな、前進感・疾走感を感じていただけるようなフィクションを描いていきたいと、(身の程もわきまえずに)思う次第です。
間もなく、夏もピークを迎えようとしています。どなた様も、どうかお体お大事にお過ごし下さい。笹野 拝