何かにハマるとなかなか抜け出せない性分で、最近はロシア文学ブームが再燃している。
わたしの一番のお気に入りはツルゲーネフの『初恋』。高校時代、岩波の赤版を友人に貸したら怒られた。この小説の一番の山場(主人公の初恋の相手が恋している相手は……?)が、なんと、表紙にバリバリ書いてあるという。表紙でネタバレするのは岩波の赤あるあるなのだが、わたしは表紙に一切気づかず貸してしまった。申し訳ないことをした。
今ハマっているのはゴーゴリ。『鼻』『外套』『検察官』などなど。ドストとかと違って、彼の視線は人間の愚かさや罪深さに対して、皮肉や冷笑ではなく、むしろいくばくかの優しさと同情を感じさせるものだ。彼の方がより現実思考というべきだろうか。妙なインテリぶりもなく、どこまでも謙虚。そういう態度が読者を安心させ、彼の作った人間臭い世界にどっぷり身をつからせることができる。奇才だ、と思う。なぜ決闘で早くに命を落としてしまったのか。残念でならない。
ロシア文学は謎の中毒性があると思う。わたしだけかな。登場人物の名前が長すぎる(イワンなんちゃらとか)せいで、一気に読み終えないと内容を忘れてしまうという緊張感も一つの理由じゃないだろうか。後期の履修も決めないといけないのに、もうあと一週間もないのに、時間が、溶けていく。うう。