• 詩・童話・その他

新宿、渋谷、駒場

 昼から新宿の文化学園服飾博物館に行ってきた。「再現 女性の服装1500年」という展覧会をやっていたから。入館料は、なんと、300円!古墳時代から明治時代まで、再現とはいえ女性の着物が一つの部屋に集まっているのはなんともカオス。かなり期待をしていたせいか、正直、復元品が集まった一つ目の展示室はちょっと期待外れだった。目を引いたのは古墳時代の復元品かな。腕にかけた布(名前、知らない……)が色っぽくてすてきだった。それより、第二展示室の迫力よ!江戸時代後半の着物が大半で、数もそんなに多くないけれど、立体的でふくらみのある刺繍の梅や、鶴の生き生きとしたこと!きっと当時の女性は実際に着ていたのだろう。なんか、服って感じるものがある。家と同じで、使っていた人の空気感をぼんやりと纏っているというか。復元品では興醒めしてしまうのはそのせいか。
 鹿子絞りの動画を最後まで見たかったけど47分あると知って断念。おばあさんがちくちくと布に針を刺す、ただそれだけの動画なのに息が詰まる思い。わたし、あの着物は切られる自信ないなあ。おばあさんの命をそのまま背負い込んでしまいそう。
 3時に渋谷地下でKさんと待ち合わせ。地下は複雑で迷う。待たせるわけにはいかんと思えば思うほど焦ってしまって、無機質な灰色の壁と成城石井のショーケースの間を行ったり来たりして、エスカレーターに乗ろうとしたら逆向きなのに気づいてひゃっと声を出してしまった。恥ずかしい!約束の時間より5分遅れてカフェに到着。コーヒーとアップルパイを注文する。コーヒーは酸っぱめ。ジュースみたいな味だ。
 Kさんは学部の院生の先輩で、最近よく会っている。というか、わたしが強制的に呼び出してはお茶したり、ご飯を食べたりしている。ご専門の話を聞こうと思いながら、ついついわたしが喋りすぎてしまう。彼は聞き上手だから何時間でも喋れてしまう。お願いだから止めてほしい。基本無表情で、怒ってるんだかなにも考えてないんだかわからずちょっと怖い。
 この前行った吉原の話。次は飛田新地に行きたいねと話す。Kさんはキャッチの人が怖いから行きたくないらしい。男の人って大変ねとひとりでに同情する。それから整形の話。まあまあダークなことばっか喋っている気がする。
 コーヒーを飲み終えたら、渋谷から駒場まで歩いて向かう。Kさんもついてきてくれる。方向音痴なのでありがたい。Kさん、優しすぎる!
 駒場には大学のキャンパスがある。駅名をいうと大学名がバレるので書かないことにする。
 図書館で法律の本を借りるついでに、社会学の本も借りようかと棚を物色。「大卒でニート」「自殺論」「戦争とセックス」……気分が悪くなって文庫本の棚に向かう。社会学って、当然なんだけどすごい現実思考。落ち込んでいる時に読むもんじゃない。ある程度心の余裕が必要ってことか。学科の先生たちってすごいんだなあ、わたしは卒論かけるのかなあ、ああ、ますます気持ちが暗くなる。
 結局ゴーゴリを3冊借りる。ロシア文学って、プーシキンとか、お気楽に読めるものが多い気がする。ゴーゴリも、よく知らないけど題名でそれっぽいものを選んできた。
 駒場から帰宅途中、、埼京線で渋谷から新宿まで移動する人って不思議だなあとぼんやり思う。なぜ、山手線ではなく、埼京線。新宿で降りたサラリーマンを追っかけて、テレビのリポーターみたく、すみませんすみません、今あなた、埼京線使ってましたよね?って聞いてみたい。
 電車から降りたら月がきれいに光っていた。鰯雲と月ってよく似合うな。雲と空の灰色と黒が反転したみたいな模様が結構好きだ。

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