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くろてんゲーム化エッセイ33.世界包括神話-エジプト(1)

足が萎えてしまったおかんのためにスピンバイクを購入、しかしサドルの位置が高すぎておかんはバイクにまたがれなかったため、スピンバイクは自分用になってしまった遠蛮です。さすがにものが大きいので気軽にアマゾンへ送り返すことも出来ず、おかんの部屋に蔵されてますが。まあおかんの部屋15畳ありますからね、スペース的には問題ないのです。それはいいとして「こんなもんいらんかった」とか「わたしが思ったのと違う」とブチブチいわれるのが苦痛。

 さておきまして今日からはエジプト神話です。メソポタミア、ギリシアと並ぶ「西洋原神話」といべき神話体系を持つお国柄。その究極的なところはオシリスの死とイシスによる再生に集約され、辺縁を数多の神話が飾るわけですが、とりあえずどこから話しますものか。エジプト文明の特色とかピラミッドの起源とか、紙の原型パピルスとかオシリスへの憧憬に由来するミイラとか、そういうものもエジプト神話に必要な要素になるのかもしれませんが、ひとまずそれらは置きまして、エジプト人の「考え方」は陰鬱でした。「死と再生」を考えに考え、それに精通した人びとだけに、彼らはカルデア(バビロニア)人のように奔放でもギリシア人のように哲学的でもなく、宗教的で陰気だったと言います。これに付随して死と再生から世界を俯瞰する彼らは宇宙的宗教観を持ち合わせ、そして言い方はあきらかに間違いですが、動物崇拝……というか新聖なる者を人間ならざる獣の姿で表現したがるところがありました。

 エジプト神話の特色として、最高神が太陽ではない、ということがあげられます。原初の水と肥沃な土地が崇拝の対象で、しかしこれはメソポタミアにおいても原初の神はアプスー(真水)とティアマト(塩水)という二頭の竜神ですし、インドの古ヴェーダ期の至高神は水天ヴァルナ。なので熱砂の土地においては灼熱もたらす太陽より恵みの水が、人間を救ってくれるものとしてあがめられるのかも知れません。

 エジプトの王権と戦争の勝敗による神々の権勢伸張とか、どうして彼らが動物トーテムを崇拝するのかとか、そういうのも理由はありますけども説明しづらい上長くなりますのでこれもおくとして、それでは以下創世神話に入ります。

エジプト神話.1/創世神話
 多くの神話において神々は自然現象や太陽、月、星といったものとつなげて考えますが、エジプト人は「空」を女神と考えました。エジプトの神の多くはインドの神格に劣らぬくらい多くの名前を持つものですが、この原初の天空女神の名前は伝わっていません。彼女は風の神シュウと大地の神ゲブに支えられており、この時点で原初の人間が紅い大地の上を歩いていたと言います。黒土の部分はナイルの肥沃な土地で、大洋の水はナイル川を経て冥界に繋がりました。冥界は天界の映し身で、太陽の舟は夜、冥界を通って巨大な蛇の魔物と戦うのですがそれは後述。

メンフィスの神話に寄れば(ヘリオポリスの神話もありますが、アメン・ラーを主神とするそちらは一般的で有名なので今回メンフィス側)最高神プタハは運命の神。ヘリオポリスの「エネアド(九柱の神。原初の混沌ヌン、太陽神アメン・ラー、大気の神シュウ、秩序の女神テフヌト、大地ゲブ、美神にして魔術の神イシス、死と再生を司るオシリス、破壊の神セトと冥府の死者の守護女神ネフティス。これに別格として神々の母ヌトを含むこともある)」はプタハ神の顕現であるとされます。プタハは大いなる王座に座る者とされ、「大母」ヌトと同様に豊穣の大神であるとされました。プタハはアメン・ラーの父ヌンであり母ナウネトでもあるとされ、心臓(心の座)であり舌(智慧の座)であると述べられます。これはヘリオポリスではアメン・ラーの権能であるので、メンフィスではアメン・ラーはプタハの代弁者であるとされました。プタハは単純にエネアドの集積体と見られていたのみならず、倫理的秩序と王権の象徴であると見なされ、また別側面の一つホルスは国土の統治者であるため、プタハは国土の創造者にして国土そのものでもあったといわれます。メンフィスの神学者というのはエジプト的と言うよりギリシア的哲学思想の持ち主であり、メンフィスの神々はだいたい曖昧で意味の弱いものに落とされました。アメン・ラーの役割はメンフィスでは「心臓」ホルスと「舌」トートにかわられており、旧い神話をたどるとホルスは太陽神でトートは月の神であって、これらは古神信仰を取り込もうという試みだったのかもしれません。ともかくも、1にして全であるプタハはすべての神々と宇宙天地の万物を創造し、食糧と飲料、供物、神を言祝ぐ言葉などをつくり、あらゆる神より偉大であったと認められました。万物を創造したことから彼はギリシア人から鍛冶の神ヘパイストスと同じに見られることもあったということです。

エジプトにはいくつもの創世神話がありますが、だいたいヘリオポリスとメンフィスふたつが2強です。他はだいたいこの2派のバリエーション違い。次回はいくつかの神話物語を紹介するとして、最後に万神殿紹介して3回で終わらせるとしましょう。それでは。

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