• に登録
  • 異世界ファンタジー
  • 歴史・時代・伝奇

くろてんゲーム化エッセイ31-世界包括神話.ギリシア編(4)

 創作作中のメイン舞台を「太宰の町」としていたら自分が太宰府に住むことになりました遠蛮です。実のところ、太宰府ってかなりな田舎で不便でもありまして、結構に住みずらかったり(とくに我が家は山の上なので下山して買い物に行くのが一苦労)しますが、まあいろいろと口にしてると本当になるなぁ、言霊だなぁと。そういえばおかんが入院する前「ゲーム作りたいんやけど」「お金なかろうが」とにべもなくこ断られていたのも、現状「生きていく方策として必要な仕事」ということで説得できてしまいましたから、やっぱりこれも言霊。

 さておきまして本日も世界包括神話。うちの作品の元ネタにはこーいうのありますよーというやつで、この神話・魔術のほかに世界史(日本史・中国史含む)にもかなり依存してますがまあ、歴史分野はひとまず置きまして「ギリシア神話・叙事詩編」ということで《イーリアス》やります。

 ことのおこりは世界に人間が増えすぎたことでした。こうなると起こるのは当然、失業問題と食糧難です。エロ助の大神ゼウスですがこのときばかりは仕方なく、まじめに事態打開にのりだして、秩序の女神テミス……相談する相手が女神だというのがやっぱり、ゼウスだよなぁという感じありますけども。とにかくテミスと相談していろいろ考えた結果。「間引きしよう!」というすんげぇ乱暴な結論に。大戦争を起こして人類の総数を激減させようという大暴論ですが、狼の裁定に異を唱える者はいません。というかギリシャの神々にとって人間というのは家畜以下の存在……これはメソポタミアあたりの話でもそうですが……なので慈悲心をかける神はほとんどいないのです。

 ゼウスは「海の老人」ネーレウスの娘テティスに目をつけていましたがこれを断念、人間ペーレウスと結婚させます。このふたりの婚儀は布部手の神々の隣席と祝福のもとに執り行われましたが、このときいさかいの女神エリスだけは招かれることがなく、腹を立てたエリスは金のリンゴを持ち出します。

「一番美しい者へ!」

そう記して満座の女神に抛り込むや、名乗りを上げる葉三人の女神、主神ゼウスの妻ヘラと、ゼウスの娘神にして智慧と戦いの女神アテナ、そしてフェニキア生まれの美と愛と淫蕩の女神アフロディテ。彼女らは争い、大神ゼウスに詰め寄りますが、ゼウスは鷹揚に宥めつつ責任逃れで審判を人間の床者、トロイアのパリス往事に委ねます。この「諍いの金リンゴ」を巡る争いに巻き込まれたことが、パリス、ひいてはトロイアとギリシアの人びとにとっての大不幸の引き金でした。ちなみに「なぜトロイア戦争なのに《イーリアス》なの?」というのはトロイア王家建国の祖がイーロースという名前だからということに由来します。その息子がトロースで、トロイアの名は彼にちなみ、さらにちなんでパリスの従兄弟に当たる武将アイネイアスはのちローマの祖になります。

 ヘラは地中海世界の覇権をパリスに約束しました。対するにアテナはあらゆる戦いにおける勝利を。しかしこの二人は若い男がのぞむものを理解できていなかったと言うしかありません。そんなもん性欲に決まってるでしょーがというわけで、アフロディテは「この世の者とも思えない、見目麗しき美女を与えよう」と約束。パリスは一発でこの言葉に唆され、権力や勝利を擲って美と愛情を選びます。

 しかしここでパリスに約束された美女ヘレネはただの乙女ではなく、人妻でした。ラコーニアの王メネラオスの妻であり、つまり一国の王妃さま。ホメーロス曰く「女神に面差し似たる」といわれ、10万のアカイア勢が命を賭するも道理、といわれました。実のところ、神話学的に言うと彼女はひとにあらず地母神の流れで、スパルタの女神レダの娘であり、父親はまたかという感じですが大神ゼウス。実際、彼女を祀る社「ヘレネ・ディントリーティス」も存在し、間違いなく女神の流れです。女神というのは基本的に淫蕩なひとが多いものでして、半分くらい「お前淫魔やんか」みたいな存在が多いわけです。ヘレネも若く美しいパリスに誘惑されると、うだつの上がらぬメネラオスなんかどうでもいいとばかりトロイアに同道しました。しかも最後にはトロイアを裏切って、ギリシアに内通して元の鞘に戻るという悪女ぶり。

これに驚き怒ったのは当然、メネラオス。彼は二時の女神イリスから事の次第を聞き知りますが、ここが神話らしからぬ所ですぐさま単身トロイアに攻め込むような愚は犯しません。仲間を集めます。まず最初に兄であるアガメムノーン。このひとを総大将に祭りあげ、イーリアスにヘレネ返還を要求(この使者として出たのがメネラオスと、イタケーの王オデュッセウスです)。もちろんこれが聞き入れられるとは思っていませんから、並行して軍備も整えます。アガメムノーンとメネラオスはカルカースという占い師に戦争の吉兆を問い、それによると「9年の月日をかけ、10年目にしてようやく、トロイアを落とせるであろう」という預言を得ます。

 アガメムノーンのもとに参集したアカイオイ(アカイア=ギリシア)勢は総勢10万、船は1168艘。ギリシア各地から英雄豪傑が集い、テッサリアのアキレウス(ペーレウスとテティスの子)およびその友パトロクロス、その従兄弟の大アイアースと小アイアース、そしてテウクロス。イタケー島の王オデュッセウス、アルゴスの王族ディオメーデス、クレタ島の王イードメネウス、その幕僚メリオネス、ピュロス王老ネストール、ほかステネロス、エウリュアロス、プロテシラオス、パラメディース、ピロクテーテース等々。

 アキレウスは従軍すれば必ず死ぬ、という運命ゆえ女装してスキューロス島に隠れ住まされていましたが、オデュッセウスに見いだされて(婦人用のアクセサリーに交えて武具を容れておき、それを手に取ったことでアキレウスをそのひとと見破ったと言うことです)懇請され、武人としての誇りを持ち出されては出陣しないわけに往かずの出馬となりました。

 アキレウスを試したオデュッセウス自身も、試されての出陣でした。もともと彼はペネロペという少女と結婚し、初子手レマコスをもうけたばかりでしたから出陣などしたくなかったのですが、狂人の振りをして従軍拒否するオデュッセウスの頭脳が健常であると見破ったのはパラメディース。テレマコスが隙車にひかれそうになると何食わぬ顔で息子を避けるオデュッセウスを追求し、ついに参陣を承服させました。ただしオデュッセウスはパラメディースに対して深い恨みを持ち、彼が軍資を着服し、また敵と密通していると説いた上でかれの陣屋に多大な財物を隠しておいたので、ギリシャ諸将は激昂してパラメディースを殺してしまいます。

最初にトロイアに上陸したのはプローテシラオスという勇士でしたが、トロイア方最強の勇者・第一王子ヘクトール(実際には存在しないか、少なくとも名前は違ったはず。ヘクトールという名前は間違いなくギリシア系であり、トロイア人としてはどうしても違和感があるためにギリシア方が強敵として創作した架空人物の可能性大)に討たれます。ついで上陸したのが最強の勇者アキレウスで、たちまちトロイアの将で海神ポセイドンの子・キュクノスを殺します。このキュクノスも神の子であるため青銅でも鉄でも傷つけられませんでしたが、アキレウスはキュクノスを掴んでぶん投げ、大岩に叩きつけて殺しました。

 トロイア勢は周章狼狽して城内に引きこもり、アカイア勢は船に火をつけ不退転の決意を示して進軍。陣容を整えたトロイア勢も日々兵をだし、スカマンドロス河畔の戦いとその近郊の平野戦を繰り広げますが、どちらも決定打がなく、またイーリオス城の守り硬く、またこちらにも援軍到来して戦力拮抗し、たちまち9年が過ぎ去ります。この時期にアキレウスがアガメムノーンと仲違いを起こし、戦陣から退くという珍事が起きました。

 トロイア方の面々としては老王プリアモスに女池アンテノーラ家の子供たち、太陽神の司祭パントオスと、その息子で知恵者の誉れ高いボリュダマスとエウポルポス。ゼイレアからは弓巧者パンダロス、リュキアからはペレロポーンの子孫サルベドンとグラウコス、トラキアのレーソス王、ほかアカマース、ペイロオスなど。

 アキレウス退陣により、アカイア勢奮戦にもかかわらず戦況はトロイア有利に傾きます。そこにヘクトールとサルペドンは焼き討ちを敢行し、パトロクロスが泣いてアキレウスを諫めますが翻意させることあたわずアキレウスの武具を持って出陣、士気を鼓舞するものの、最後はヘクトールに討ち取られます。事ここに至ってアキレウスは立ち上がり、新たな武具を母神テティスに乞うて突進し、トロイア城下を何周もしての打ち合いの末、ついにヘクトールを殺します。老王プリアモスはヘクトールの屍を乞うてアキレウスの陣を訪れ、アキレウスも戦士の寛容を見せてそれを許し、帰城したプリアモスはヘクトールの葬儀を執り行って婦人たちの涙の中にイーリアスは終わります。

 ヘクトール死後のトロイア戦争はすぐにアカイア勢勝利でおわるわけではありません。トロイアの援軍に小アジアのアマゾン族がやってきます。その女王はペンテシレイア。彼女もまたアキレウスの前に倒れますが、その死の寸前、彼女の美しさにいまさら気づいたアキレウスは後悔と自己憎悪に苛まれて放心することになりました。さらにトロイアにはエチオピアの王メムノーンが参陣し、ギリシア第二の勇者アイアースと互角に戦い、ネストールの子アンティロコスを斃します。メムノーンは暁の女神エーオースの息子に当たり、朝露とはエーオースが我が子を悼んで流す涙の雫なのだ、と言うことです。

 メムノーンの死に、守将を失ったトロイア勢は雪崩を打って城内にのがれようとしますが、アキレウスはこれを猛追、トロイア落城目前に迫るかと見えましたが、このときパリスが射手の神アポロンの加護を得て射た矢がまず彼の右の化方を射貫き、ついで心臓を射貫きました。彼の遺体を担いで戻ったのはアイアースです。

 その後アイアースはアガメムノーンにオデュッセウスと比較させたすえその屈辱から自刎し、オデュッセウスはプリアモスの子で占術に長じたヘレノスを山中で見いだして「ヘラクレスの弓とアキレウスの子の出陣が必要であり、そしてトロイア城内に安置される武装したアテネ像、パラディオンを奪い取る必要がある」ことを聞き出しました。この報奨として、ヘレノスはトロイア落城後も身の安全を保全されます。

 ヘラクレスの弓はピクロテテースによって持ってこられてパリスを射殺し、パリス死後ヘレネはパリスの弟デーポポイスの妻とされます。これに前後して、アキレウスの子ネオプトレモスもやってきてオデュッセウスから父の武具全てを受け継ぎました。

オデュッセウスは夜、トロイア城に侵入し、かねて気脈を通じていた人物……だれあろうヘレネそのひと……の手引きで番人を殺し、パラディオンを奪い取りました。これにより、トロイア陥落の準備が整ったことになります。女神アテナは木馬の計を発し、巨大な馬の像を造らせてその胎に兵を隠して一挙、イーリオスを覆滅せしめようとします。

 オデュッセウスは陣地を空にして遠くテネドス島の沖合に引き上げさせ、砂浜にこの木馬を置いていきました。木馬には奉納の銘文が添えてあったので、トロイア人はギリシア人が戦に倦んで引き上げたと信じ込みました。震撼ラオコーンと王女カサンドラはこれぞギリシア方の謀計と叫びますが、彼らの言葉は運命的に人に聞き入れられず、ついに木馬は城内に引き入れられます。

 その晩、戦勝祝いの宴に耽り、疲れて眠りに落ちたトロイア人たちを前に、ギリシアの兵たちに合図を送ったのはヘレネでした。老王プリアモス以下のトロイアの民はことごとく鏖殺され、ただ救われたのはアンテノーラの一門と、そして城から逃げ落ちたアイネイアスの一族のみ。アイネイアスはこののち船に乗ってトラキア経由でイタリア半島にいたり、のちローマの祖となってローマはかつての征服者、ギリシアを征服することになります。以上が《イーリアス》のあらましでした。

 やっぱり《オデュッセイア》までやってる余裕はないですね。イーリアスだけで手一杯でした。

とりあえず、ゲーム制作は序盤から順次順調に作れていまして、アイテムやらスキル名はともかくガワになる部分は少しずつ出来てきたのですが、動画をあげるにあたってのエロシーンが……ここに上げるだけならともかく、Twitterにも上げたいとなるとこの部分をひとまず削っておかねばならず。スイッチの切り替えで「このシーンを飛ばしますか?」的なやりようができるようにするかなと思っていますが、ちょこいろいろちょこやってると時間がないのですよね。家事一切やって小説書いて、翻訳やって資料(最近読み始めたのは「千夜一夜物語」と「修道院文化史事典」)読んでゲーム制作なので、わらじ一個ぐらい脱ぎたいのですがどれもやめるわけにいかないのです。

まず、音声作品のほうの代金は支払いました。あとは納品されたら編集して音楽重ねて、発売です。プロ声優さま4人の30分前後の掛け合いエロなし、780~880円での発売を予定してますが、この金額で行けますかどうか。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する