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くろてんゲーム化エッセイー11.世界包括神話-イラン編(2)

さて、本日も遠蛮の戯れ言の時間です。

本日正式にDLsiteさまに登録しまして、初日初動としてはかなりの⒛数名様からフォローをお受けすることができました。当然、遠蛮の実力ではありません、イラスト担当、広輪さまのお力に寄るところが99.99%ながら、どんな力でも利用できればこっちのもん、と開き直れるようになりつつあります。これは自分に小説を再開する契機を下さった方とその作品の薫陶によるところ大でして、この場を借りて感謝を。もうひとかた、作品全話をしっかり読んで下さって勇気を下さった方もいらっしゃいまして、こちらの方にも感謝しかありません。ともかくも登録して、まずはプロローグを販売……の審査中ですが、レーティングR-18G扱いでプロローグのお話なら……というか小説版はまず問題ないはずなんです。問題になるのはゲーム版。あっちはちょっと遠蛮の気が触れた部分が鎌首もたげますので。今やってるところはエロとは関係ない日常パートと、あとスキルとアイテムの設定なんですが……ツクールMV、「アクター」と「職業」はあるのですが「種族」がないのですね。種族特攻が作れない……いや、作ろうと思えばできますが、「このキャラのこのスキルがこの敵にだけ効果何倍」というのを一個一個、やっていくのは骨で。そういうのを一元管理するプラグインか、それともシステム改造したものが必要です。

あと本日、二人の声優さまにお声かけさせていただきました。まだゲーム本編のCVを当てていただける段階ではないので「世界観販促音声作品」5400文字程度の掛け合いですけども。まだお返事いただけていないのでお名前はここでは伏せます。明かしたら結構、大物に声かけたなと思われるかも知れないお二方です。

というわけで、ゲーム制作報告はここまで。今日はまた世界包括神話-イラン編のつづきをやりましょう。

まず、サームという英雄がおりました。彼には子がなかったのでこれを乞い求めました。後宮(ハレム)を持っていたというからそれなりの人物だったのでしょう、そこに「薔薇の頬と漆黒の髪の美女」がいて……この表現されるとケルトの美男子ノイシュ・ウシュナハを連想してしまうんですが……この美女との間に子をなします。娘は順調に子を産みましたが、その生まれた子が総白髪だったんです。半白髪の46才としては羨ましいことに。それで皆の衆は「英雄サームに幸いあれ、元気な男の子です」と言祝ぐのですが、実際こどもを見た瞬間、サームの落胆たるや。いろいろ賢者たちが悲しんではなりませんと諫めますが、結局サームはこの子を捨てます。

ですがこの子はアルブルズ山の霊鳥シームルグに救われて生き延び、白髪ながら美貌と、たくましさと、賢さを兼ね備えた英雄へと成長します。そして夢で息子を捨てられたことを賢者……おそらくは神……になじられたサームはシームルグのもとを訪れ、息子に会って「お前の父はこのサームである」と口づけます。ちなみに鳥の王(正しくは女王)シームルグにつけられた名前はダスターンでしたが、サームに新しくつけられた名前がザール・エ・ザル。ゆえに彼は「白髪のザール」と呼ばれます。ザールはカブールのメヘラーブ王の娘・ルーダーベと結ばれ……る前に一つ障害があり。メヘラーブ王ってザッハーク(蛇王……邪竜の総帥みたいなものです)の血統でして、周囲の賢者たちがいろいろ理屈捏ねて止めるわけです。結局結ばれはしますが、これを知ったマヌーチヒル王……ザールの父サームの王……が激怒して息子を殺すよう、命じます。サームは英雄ファリードゥーンの旗を立てて進軍しますが、ザールは戦うことなくサームの所を訪れ、「なんなら自分を殺して下さい、ですがカーブルのことを悪くいい給うな。カブールを悪く言うなら父上、あなたをも殺さなくてはなりません」と。このくだり、すっごい好きなんですけども。父の方も「お前の言葉は全て正しい」と矛を収めました。ついでザールは王の前で見識を試され、賢者たちから矢継ぎ早の質もう攻めに遭いますがこれを全部瞬殺。そしてようやくルーダーベと結婚を許されます。

このザールとルーダーベの間に生まれるのがロスタム、ペルシア史上最大の英雄ということになります。生まれ方が「お腹からズズズッ」と引っ張り出されるという、なんかよく分からん生まれなんですが、普通の生まれでは説明がつかないほどに赤子の時点で大柄だった、ということで。このとき「わたしは救われた(ロスタム)」とルーダーベが言ったので命名はロスタム。十人の乳母に育てられ、乳離れすると5人前の食事を摂り、正格に何歳で、とは記述がないながらたぶんかなり幼年にして、身長180センチに達します。そしてすぐ冒険の旅に出て、まずどこぞの戦場で数多の武勲をあげた巨象を殺し、さらにスィバンド山で塩商人を護って山賊退治。イランに侵攻してきたアフラスィヤープ王と戦いますが、その前に名馬ラクシュを手に入れます。最初野馬と勘違いして捕えた馬が凄い暴れ馬で、誰も乗りこなせない、ていうか死ぬ、とまで言われたものなんですが、ロスタムにかかるとこれが従順な名馬となり、以後ロスタムの無二の相棒となります。これはアレクサンドロス三世大王のお話……ブーケファラスのお話に似てますが、よそにも赤兎とか似た話は多くあるのでパクりというわけではないかもしれません。むしろテュルク系の「狼信仰」……モンゴルをはじめとして……のほうが規模も範囲も凄い……さておき、ラクシュを得て、さらにファリードゥーンの子孫カイ・クバード王を主君に迎えたロスタムの快進撃はここから始まります。といってもカイ・クバード王は完璧な王なので武勲を捧げる相手は彼ではなく、マーザンダラーンのカーウース王ですが。

これ以後ロスタムはハフト・ハーン(七つの栄光)と呼ばれる大功を立てます。まず大獅子を退治し、ついで沙漠に泉を捜し当て、3番目に竜を倒し、ついで魔女を殺し、若き勇士ウーラートを捕え、悪鬼アルザングを殺し、最後に白鬼を殺して7つ。これを達成してカーウース王に献じ、祝福を受け、カーウース王はかつて自分をマーザンダラーンから追い立てた王……名前が、忘れたのかそもそもなかったか、とにかく名無しの王に宣戦布告、しかしカーウース王は能力か運か、どちらもかがなく、毎度失敗してそのつどロスタムに救われます。

そしていよいよトゥラーン王アフラスィヤープとの戦い。この戦いで敵を圧倒したロスタムを見てアフラスィヤープは、「夜まで戦いが続いたら、我が軍には一人も残らないだろう」と恐怖したと言います。この戦いの中でロスタムに挑むピールサムという若獅子がいますが、敗北、自信喪失して退走。そもそもロスタムには7人の千軍万馬の配下と、10万の軍勢がいるわけで一人で戦っているわけではないのですけど。で、結局アフラスィヤープも退走、だいたいここでロスタムの人生の絶頂なのですが、あとちょっと続きます。ドラゴンボールみたいに長くはなりませんが。

ソフラープという勇士がいるわけです。サマンガーンの王女タハミーネと、ラクシュを失い探していた当時のロスタムの子ですが、ロスタムはそのことを知らずに過ごしました。ロスタムはタハミーネに「自分の子の証」として腕輪を与えたのですが、タハミーネは息子に自分の出自を隠せと告げたわけです。彼女のサマンガーンはロスタムの仇敵、アフラスィヤープの陣営でしたので。このソフラープが父とまったく似たような英雄になり、そしてラクシュの血を引く名馬まで手に入れるて、結局最終的にロスタムと敵対することになるのですね。

で、またカーウース王の下のロスタムですが、この主従はこの時期大げんかのまっただ中にありました。でも仲直りして出陣、ソフラープもアフラスィヤープの将として出陣します。息子は父と戦場でまみえることを望み、そして父は近年台頭した若造をブチ殺すための出陣です。ロスタム不在の時、ソフラープは王の陣に奇襲をかけて蹂躙しますが、ロスタムとの一騎打ち。その戦前の会話で「わたしの出自を知らないか」と問うも「しらぬ」と言われ、絶望して血統に挑み、勇戦するもやはり父に叶わず殺されます。ここから悲劇になるのですけども。

死にゆくソフラープは
「戦いの前、何度かわたしはあなたに血筋を問うたが、貴方の愛が動くことはなかった。
 今さら嘆かれるは尚悪いこと。
 なにが代わりましょうや、起こるべくして起こるべき事が起こったのです」
こう言って息を引き取りました。ロスタムはその後、故郷のザーブリスターンに帰り、ソフラープを痛んで一生を終えたと言うことです。

……とまあ、こんな話です。なんというか救いがないというか、そこがいいのだという向きも多いのですが。以前父にナイフで脅された話をしました。ああいう気のおかしい父がいたからなのかもですが、家族愛とかに飢えるところがあって、物語でも親子の間には無私の愛情があってほしいと思うのでした。それでは、本日はこれにて。

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