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くろてんゲーム化エッセイ-9.世界包括神話-インド編(2)

 昨日から謎の発熱とだるさで、コロナを疑われている遠蛮です。まあ自分の体質としてよく体調おかしくしますのでたいしたことはないのですが、発熱とか喉の渇きとか、コロナと似た症状になるので自分でも少し心配。ちょっと前までなら一人暮らしでしたが、今は老母がいるもので、母に写うつしては困ると一応、病院行ってきました。昨日もおとといも病院だったので面倒ではあるのですが、ひとまずやはり心因性。

 そんで、昨日言いました通りに今日もインド神話を語ろうかと思うのですが。インド神話というとやはり「マハーバーラタ」にとどめを刺すわけです。世界最大最長の叙事詩であり、「ここにないものは、どこにもない」といわれる物語の宝庫。

 ただまあ、そのマハーバーラタを余すところなく紹介する才覚も紙面も、遠蛮にはありません。なので枝葉になってる物語を全部取っ払って、ベースになっているお話だけ軽く語るとこんな感じ。ちなみに、世界最多の神を誇る神話というのは日本の八百万、と思われがちですが、インドには330万の神がいるとされ、マハーバーラタはその中でも「至高神にして維持の神」ヴィシュヌと「神王にして武神」インドラの友情話が中核になります。物語中ではヴィシュヌはクリシュナ、インドラはアルジュナという人間に、それぞれ化身しているわけですが。


まずシャンタヌ王という人物がいまして、この人には嫁さんいるんですが、それがシヴァ神妃ガンガー。ただ、ガンガーは自分の出自を明かすことなくシャンタヌとくっついて、そして子供が生まれるたびガンジス川に流します。これは神の子を手に煮返す儀式なのですけども、シャンタヌはなかなかできた人物だったために8番目の子が流されそうになるとこれを止めます。この子供がのちのバラタ族大元老・ビーシュマ。武芸と武勇においてパラシュラーマに匹敵し、そしてヴェーダに精通し、射手であり英雄であり大政治家という完璧すぎる人物ですが、シャンタヌ王が、父の不貞というか、その当時ガンガーは天に帰っていますので遠慮の必要もないところながら、新しい妃を迎えていいか煩悶するわけです。そうするとビーシュマ……当時の名前はデーヴァヴラタ……が「じゃあ僕は王位はいりませんし、なんなら女性と交わることも一生しません。助言者にはなりますが、国の枢要に関与することも致しません」と誓いを立てて一生これを護ったために、「ビーシュマ(偉大な誓いを護った人)」の名で知られるようになります。ただこのビーシュマ、決して女性に手を上げないという誓いのゆえにのち、クルクシェートラの戦いで男装の麗人シカンディンに射殺されるという運命を決定づけられました。このあたり、ちょっと深い話がありますが割愛。

それから2代下って、パーンドゥとドリタラーシュトラという兄弟がシャンタヌの孫として生まれます。この二人の親は事情があってバラモンなんですけども、そこも割愛。で、弟・パーンドゥのお嫁さんがクンティーと言いましたがこのひとが神様を呼び出して子供を授かる秘術というのを、賢者ドゥルヴァーサスから授かりました。好奇心から試したクンティーの前に太陽神スーリヤが現れ、そんじゃ子供やるわ、と与えたのがカルナといって鎧を着たまま生まれたことで有名ですが、このカルナ、クンティーというクソみたいな姫君の我が身かわいさで、あっさり捨てられます。そして最下級の御者に拾われて育ち、のちドリタラーシュトラの100人の息子の一人ドゥルヨーダナと友誼を結び、王に封ぜられクンティーがのちに産む5兄弟……パーンダヴァ……と殺し合う宿命になります。このくだりのクンティーが本当にいやで、だから遠蛮はアルジュナよりカルナが好きなのですが、インド神話の思想は「全ては神々の遊戯(リーラ)」なので人間のあがきはどうしようもなかったりします。ヴィシュヌの化身であるクリシュナですら、最終的には人間である以上宿業を避けられませんでした。

そして、ちゃんと子をなしても不貞といわれない年になると、クンティーはダルマ(法と正義の神)の子ユディシュティラ、ヴァーユ(風神)の子ビーマセーナ、インドラ(武神)の子アルジュナを次々と産みます。パーンドゥはマードリーという姫と浮気してこれを妻にし、クンティーはしかたなくマードリーに神降ろしの秘術を伝授、マードリーはアシュヴィン双神(医学の神・美神)の子ナクラとサハデーヴァをもうけます。

この5人……実際にはアルジュナ1人といっていいですが、まあ大著なのでユディシュティラとビーマにも見せ場はふんだんにあります。下二人は完全に脇役……がクリパ師となによりドローナ師という武芸練達のバラモンに師事して、やたらめったらな強さを……ドリタラーシュトラの100王子がまったく相手にならないレベルで……発揮するようになります。これに対抗するため、ドゥルヨーダナはカルナを厚遇するわけですが。

そしてドリタラーシュトラ王ですが、この人はまともな人だったので王家の正統を弟のパーンダヴァ、その長兄ユディシュティラに返そうとするのです。いったんはそうなり、王都インドラプラスタでユディシュティラは善政を敷いてダルマプトラ(法王)と喚ばれるようになって周囲から帝位につけと薦められます。この当時クリシュナの敵ジャラーサンダを倒すためにビーマとアルジュナがかり出されるという一幕もありますが、これはアルジュナとクリシュナの絆を書くために必要ではあるものの作品の中でそこまで重要ではないですね、割愛。

ユディシュティラの声望高まるにつき、ドリタラーシュトラの息子ドゥルヨーダナと100王子、その友人で賭博名手のシャクニ王が謀って、ユディシュティラをハメました。具体的にはさいころ賭博で国と財産と兄弟と妻の全てを奪ったのです。それを免れるため、パーンダヴァとその角ドラウパティーは森に隠棲することになります。ちなみにドラウパティーはこの時代最高の英雄クリシュナの姪に当たり、武芸大会でアルジュナが射止め、「最高にえーもんを手に入れました!」と母・クンティーに報告すると「じゃあ5人で分けなさい」とパーンダヴァ5兄弟共通の妻になるというね、なんかもう、クンティーはいつもいつもろくなことしません。

この隠棲生活の間にビーマが冒険して自分の魂の兄に当たる存在・猿王ハヌマーンに出会ったり、はたまた最強の武具を求めて旅するアルジュナがシヴァ神からガーンデーヴァという神弓を授かったりしますが、大事なのは隠棲12年最後の12ヶ月、マツヤ国での暮らしです。というか最後の12ヶ月、人前に出て暮らしながら正体を見破られたなら、また12年間追放という約束だったので何処に行くかは慎重に選び、賢王ヴィラタのもとに身を寄せます。ユディシュティラは召使い、ビーマセーナは料理人、アルジュナは宦官、ナクラは厩番、サハデーヴァは牛飼いとして。

そして12年の隠棲がすぎてなおパーンダヴァが健在で戻るや、ドゥルヨーダナは今度こそこれをたたきのめそうとして軍を起こし、アルジュナ、ドゥルヨーダナ両者は鍵を握る人物、則ちクリシュナを訪れるのですが、このときクリシュナは「武装しない一人のわたしと、完全武装のわが100万の兵」のどちらかをえらぶよう聞き、アルジュナがクリシュナを選んだことで勝負は決しました。こののちクルクシェートラ平原において「核戦争?」と思われるようなわけわからん戦争の描写が繰り広げられ、基本的にクリシュナの奸智により(ビーシュマは女を殺せないからシカンディンを前に出せ、ドローナに正面切って勝つことは出来ないから息子のアシュヴァッターマンが死んだぞという噂を流せとか、太陽が天にある限り強くある敵の前には「幻力(マーヤー)」で空を暗くし、敵が錯誤したところをアルジュナに殺させる。アルジュナもカルナ相手に正々堂々とは戦わず、相手の戦車が溝に車輪撮られて動けなくなったところを必殺技「ブラフマシラストラ」で粉砕です。かように悉く、パーンダヴァとクリシュナは汚い)

こうしてクル族とパーンダヴァの対戦はパーンダヴァの勝利……で終わるはずが、黙っていないのがドローナの息子アシュヴァッターマン。名前(馬のいななき)のごとく吼えて復讐を誓い、夜襲。結果その場を離れていたパーンドゥ軍を、一人残らず殺します。父ドローナの首を落としたドリシタデュムナは、金的潰してから斬首。

しかしまあ、結局クリシュナはこれに黙ってないわけです。報復の報復にくる。アシュヴァッターマンはドラウパティーの腹の子にブラフマシラストラを放ちますが、これはクリシュナの神力に阻まれ、王子パクシリット(確か、「試練を越えた者」の意)はのちに無事誕生。アシュヴァッターマンは殺されこそしませんが追放されます。

それから数十年してユディシュティラは捨身を誓い、そしてヤマ(閻魔。最初の人間)の世界、地獄を旅して多くの苦悩を乗り越え、最後に兄弟たちの魂と再会して全員で昇天する、というのが、「入れ子」部分を省いたマハーバーラタのざっくりした紹介になります。ちなみにクリシュナはその後も長生きしますが、のちにこの戦争が原因で一族全員が殺し合う大げんかに発展、それを見届けたのちぐったりしているところを、猟師にかかとを射られて死にます。アキレウスみたいに。

思ったほど今回、長くはならなかったですね。ここでクルクシェートラの戦いを逐一解説してたら文量えらいこっちゃになるところですが、たぶんこれくらいの文量でちょうどいいのだと思います。それでは本日はこれにて。

2件のコメント

  • いいですね歴史講釈。引き続き楽しく拝読しています。

    ところで、ゲームは同人作品なんですか? 商業?
    販路は? どちらで買い求められますか?
    ハードはPC?
    ダウンロード販売?

    すみませんね、PS2でゲーム脳は止まっておりまして💦
    どうぞお身体に気をつけてくださいませ(* u.u))
  • 神話談義は是非どこかでやりたかったので、この場を借りてのびのびやっています。ただしこれ、エロゲ全然といっていいほど関係ない……ということもないか、くろてんのお話の中にマハーバーラタだったりよその神話の説話を取り込んだ例はいくらでもありますから、くろてんとはちゃんと関係してますね。

    ゲームは同人で、DLsiteさまというところに登録して販売の予定です。FANZA(DMM)というところはどうしようかと思っているのですよね、まだ登録していないので。でも艦これとかいつもお世話になってるのはFANZAさまのほう。今のうちからあちらでも販促はじめたほうが良い? でしょうか? 制作完了が2年後なのでまだいいかなと悠長に構えてますが、「開発ブログ」というのがかけるようなので今のうちから、書いておいた方がいいかもしれません。なにせあそこならR-18画像も上げて問題ないですし。

    形態としてはPC版のダウンロード販売で、システムとしては「RPGツクールMV」というゲーム制作ソフトにオリジナルのシステムを(創っていただいて)搭載、ということになります。本当は完全オリジナルのシステムを欲したのですが、ツクールのシステム改造でも数十万はかかるとの事で……。

    CG枚数が100枚前後……100枚あっても一般イベント枚数ほぼゼロ、エロ絵ばっかりなんです、申し訳ないですが……の規模なので同人ゲームとしては価格は少しお高め……1600~1980円くらい? を予定しています。ただしそこはまだまだ考慮の余地ありですね。いっそ1コイン500円販売にして「損して得取る作戦」というのもありです。簡単ではないでしょうが、それでしっかりもとを取って次々にゲームを創られる猛者もいらっしゃいます。そう言う方を当たり前の存在、と思っていてはいけないのですが。

    こちらもPCエロゲ以外20年間ゲーム機とは無縁でしたので、もしかしたら自分のほうが一般ゲームに関しては無知かもです。わざわざのご心配まで、どうも有難うございました!
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