本日広輪さまにこちらの指定ラフを上呈させていただきました。これで一月以内くらいには「ラフとは思えない美麗ラフ」が上がることでしょう。このエッセイはそこまでのつなぎ。あー、ただ、とんでもなくえげちーやつなので、モザイクかけるとかトリミングするとか、なにやってもここには上げられないかも知れません。
つなぎというか毎日書くネタはそんなにあるのか? と言われると、まあないことはないと。くろてん=世界包括新話ということで世界中の新話に仮託してますが、それを毎日「今日はインド神話、今日はケルト神話」みたいに揚げていけばなんとかなるのではないかと。
ということならまずはインド。遠蛮は30年前、まだ紀伊國屋天神店が存在していた当時に山際素男先生の「マハーバーラタ」を読んでインドにハマり、インドと名のつく本なら何でも読んできた男。当然、拙作くろてんの主人公・新羅辰馬くんの力の源泉「ハリ・ハラ」もやはりインドの神格です。しかも1柱でありながら2神格が同居するというよーわからん神様。
まあこれを説明するだけで今回のエッセイになりそうなんですが、話しましょう。かつてインド亜大陸の天にはデーヴァとアスラという二つの神族が存在しましたが、かれらの力も長い悠久の時間……ユガ、という、最初の素晴らしい次代クリタ・ユガが172万8000年、ついでトレーター・ユガが129万6000年、ドゥヴァパーラ・ユガは86万4000年、現在我々が過ごす末法の世、カリ・ユガですら43万2000年つづくとされ、至高神ヴィシュヌの1日はさらにそれより長い311兆400億年だそうですが……のなかで神力が衰えるわけです。それでアムリタ(甘露=不死の霊薬)というのを作らねばならないのですが、そのためには乳海という、宇宙に等しい海を攪拌せねばなりません。
ここで白羽の矢が立つのが破壊神シヴァと、維持の神ヴィシュヌ。まずヴィシュヌはクールマ(亀)になって乳海の台座になります。そんで「俺が支えてやるからシヴァさんよ、攪拌しろや」と。まあこの亀は実のところ、「亀王アクーバーラ」という別存在という説もありですが。ちなみにこのとき撹拌棒として使われることになったのはナーガラージャ(蛇王)の最強・アナンタ(意味からして強い。無限という名前です)がマンダラ山をぶっこ抜いてつくったもので、これにまた蛇王ヴァスキを絡ませてシヴァはじめとした神々がぐいぐい引っ張ります。途中偉い山火事と天変地異が起きて象やライオンがつぎつぎ死にますが、そこは神王インドラが必殺の雷霆でなぎ払い、しかし引っ張られるヴァスキという蛇王、毒竜なのですよ。だから引っ張られて苦しくなって、神すら殺せる毒を吐く。これに耐えうるのは最強無敵の破壊神・シヴァしかいません。矢面に立って毒をかぶり、耐え抜くんですがそれ以後毒の後遺症で喉が蒼くなります。しかしアムリタはまだ出ない。そこで梵天ブラフマーはヴィシュヌ神に伺いを立て、するとヴィシュヌは「全ての神に力を授けるから、けっぱれ」とマンダラ山をさらにぐるぐるさせるわけです。そしたら出てくる出てくる、太陽と月とシュリー(ラクシュミー女神=ヴィシュヌ神妃)、酒の女神と白馬と宝珠、そして最後にアムリタを携えた医神ダヌヴァンタリ。
ここまでならめでたい話ですが、このときアスラがまあ、悪い気を起こして、アムリタを強奪、自分達で独占しようとします。どっこいそこは全能のヴィシュヌが見霽かして美女に化身、色香で惑わしてアスラを骨抜きにし、アムリタを取り返すのですが……アスラの他にもこのデーヴィー(女神)に惑わされたバカがいたわけで、それが破壊神シヴァ。ヴィシュヌは「ちょ、待て、おれやっておれ!」と言うのですがシヴァは「ええいうるさい!」とヴィシュヌを組み敷き、この交合でヴィシュヌは子供というか、自分達の分身のような存在を産むことになります。それが創造神ヴィシュヌと破壊神シヴァの両方の属性をもつ神様である、ハリ・ハラ。さらにこのときラーフ(羅號)とケトゥ(計都)というアスラが、神々がアムリタを飲んでる隙にさらにそれを奪おうとしますが、これはヴィシュヌ神の円盤(スダルシャナ、といいます)に首刎ね飛ばされました。でも死なないのですけど。これはマハーバーラタを読めば詳しく書いてあります。以前は1巻9800円でしたが今電子書籍で1000円くらいです。ぜひ買いましょう。
とはいえ、じつのところインド神話においてハリ・ハラという神が独立して信仰されている度合いは低いいうか、ヴィシュヌ派とシヴァ派というのがあまり仲良くないもので、互いに尊重する話にならないのですね。ヴィシュヌ派にすると「乳海からアムリタを産ませた功績」なんですがシヴァ派は「そのヴィシュヌを孕ませた功績」を誇るというか、そんな感じです。
インド神話は語りたいお話がいっぱいあるので、もし許されるなら明日もインドを語りたいものです。それでは。
忘れてましたが。インド神話といえばですよ。「きゃんきゃんバニー」というゲームをご存じでしょうか、遠蛮にとっては脳が焼き切れても恨みきれないほどの恨みがあるこのゲーム、ナビゲーターが「スワティ」というのですが、まあインド神話のサラスヴァティー川の化身・地母神で最高神ブラフマーの娘にして神妃……の分霊である仏教の弁財天……見習いなんですが、このスワティ、ゲーム中№1人気なんですよ。しかしゲーム中エロができないというね、もう大昔から今現在に至るまで、慚愧の念たらたらなわけです。
ということも語りつつ、今度こそこれにてです。