葉月氷菓

馴染みのバーで俺は彼女と飲んでいた。 店内でガラの悪い男たちが喧嘩を始める。しかし、この光景を見るのはこれで八度目だった。このバーの店内は状況がループしている。 このループを止め…

朝目覚めると、腕が一本増えていた。便利がいいと思い、いろいろと試してみる。 これなら少しは器用な人間になれるだろうか。

出前サービスUniverEats≪ユニバーイーツ≫で生計を立てる俺は、チャーハンの宅配に対して★１レビューを付けられたことに腹を立てていた。

宇宙に大気が満ち、公転を止めた地球はやがて太陽に沈みゆく運命にあった。人類は叡智を結集し、能う限りの命を宇宙船に押し込み地球を脱出する。 船に乗り込んだ生命たちは何万年もの超光速…

内向的でネガティブな性格の私は、テスト期間限定のトモダチ、鎧塚さんに密かに思いを寄せていた。 バレンタインデーと期末テストを控えた二月のある日、鎧塚さんから「お礼がしたい」と、あ…

私は仕事帰りに“自称”魔女のサトウさんを拾った。屈託のない笑顔で荒唐無稽な与太話をする彼女だが、なにやら呪いに悩まされているという。私たちはカップアイスを食べながら、呪いを解くた…

先達の定めたマナーを冷笑する、温室育ちの若輩者たち。実に嘆かわしい。未来のために、私は彼らにマナーの尊さを説く。私たちの失敗の歴史を振り返りながら。