第6回カクヨムコンにねじり込むべく、締め切りと規定文字数に四苦八苦したものの、一先ずは新作「偽令嬢魔王」は区切りがついた。
現段階でも完結としてしまってもよかったが、気が済むまではとりあえず適当に不定期連載という形をとろうと思う。
さて、本作は「ぷらとにっく・ぎゃらくしぃ」と同じく、何となしにやったことのないことを詰め込んでみた作品になる。
この「ぷらとにっく・ぎゃらくしぃ」に関して言えば、SFというジャンルに触れてみたかったけれど、苦手意識があって無理っぽい気がしたから長いこと敬遠していた経緯があり、カクヨムコンに出す作品を検討した際に、「じゃあ書いてみるか」となった作品だ。
確か、その当時に見た映画を土台にしていた気がする。
で、今回の「偽令嬢魔王」はどのような経緯があったのかといえば、その実、あまり大したものはない。
ただ本屋をブラついていたり、Web小説を漁っていたりすると、どうにも長文タイトルで「悪役令嬢」という単語が物凄く目につくようになったのが発端だったように思う。
深くまで掘り下げるほど読んではいなかったけれども、どういう縁か「悪役令嬢」で作品を書いていたとあるWeb作者(名前は伏せる)の方とちょいちょい交流していた時期があった。
そこで、興味本位でお互いの作品(こちらは「ぷらとにっく・ぎゃらくしぃ」)の二次創作などを書いてみたりもしたが、これが今ひとつしっくりこなかった。
どうも流行りの「悪役令嬢」というものに自分の理解が足りていないのだろうな、と。
そこで思い至ったのが徹底した流行り便乗。それまでのように中途半端に言葉遊びして時間だけを無駄に潰すのも流石にどうかと思い始めていたので、今の流行りを自分流に何処まで取り入れることができるのかを挑戦してみよう、と考え始めた。
事はそれからまた暫く経って、某Twitter上で「Web作家さん悪いことは言わないから流行り物を書こう。流行り物と個人的趣味とでは差があります(意訳)」といったリツイートが目についたので「何が流行ってるのか分からん(意訳)」と呟いたところ、当の本人から「追放ざまぁが強いですよ(意訳)」と直接的にアドバイスをもらったので、「じゃあ悪役令嬢で追放ざまぁ書くか」ということに落ち着いた。
その上で、あまり自分の作風には合わないものを開き直って取り入れることにした。
端的に言うと、パロディだ。別に自分は二次創作も書くし、パロディを書いたことがないのかと言えば無論そんなこともない。ただ、少しでもパロディ要素を色濃くしていけば流行り便乗の波に乗っかれるではないか、と。
結果として、カクヨムコンの締め切りに間に合わすべく、かなりの駆け足で取りかかった。具体的に言うと大体1日10000字ペース、最終日は25000字くらいのペースで書き切った。
正直なところ、勢いだけで書いてしまったこともあり、不安も大きかった。某Twitterの人曰く、流行り物ならPVがグンと伸びるし、過去作も伸びるような言い回しもされていたような気もするけれど、投稿し切った今、自分の想定したほどの効果があったかどうかと言えば、まだ分からない。
やはり、流行り物に便乗し、パロディを推していたせいか、内容が良くなかったのかもしれない。そんな不安を呟いていると、某所で「あらすじが弱い」「あらすじでネタバレが欲しい」「あらすじで今後の展開が分かるようにするべき」といった意見も飛んできて、唖然とした。
自分は何か、根本的なところを履き違えていたのかもしれない。内容に関する話がこない。読む気が起きないという指摘ばかりだった。
突貫工事とはいえ、内容は練ったつもりだった。あらすじタイトルで物語の指針を把握してもらい、最初の1話・2話・3話・4話をそれぞれ起承転結として運び、これが「偽令嬢魔王 ~魔王軍を追放されてしまったので悪役令嬢として忍び込むことにしました~」だ、といえる構成にしたつもりでいた。
これで自分の思い描く、「悪役令嬢」を主人公とした「追放ざまぁ」が構築できたと思っていたのだが……これはしたり、まず作品が読まれないことを前提にしていなかった。
これは大きな勘違いだった。流行り物に便乗するということは、それだけ多くのライバルがいるということであり、その中で読者の目を引かなければならない。その第一の入り口を、自分の思う面白い内容と考えていたが、Web小説においての「多い」を軽視していた。
数え切れないほど「多い」のだから、読者の全てが内容にまで行き着かない可能性を、深く考えていなかった。
読者はまず「タイトル」に惹かれ、「あらすじ」を読み、「内容」に入るのだから、そこを軽んじていては流行り便乗もへったくれもない。その上で、「勢いのまま書いたから内容が不安」などともらしていては本末転倒どころの話ではない。
つくづく思う。自分はもう少し、作品を思慮深く作っていくべきだと。