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非公開化のお知らせ & 読書メモ㉞

ヨムヨムしていて、「フンス」って単語をよく見かける今日この頃。それはもう複数の作品で、またかって思うほど。ググってみると『けいおん!』発祥の擬音だそうで。ほーお。
ニュアンスが伝わりやすく周知されて定着した表現なのだろうが頻繁に登場するとげんなりだし、オリジナリティはどこへ……とも思ってしまう。私も切実に欲しいですけど、オリジナリティ。
やはり、そこでしか目にしないオンリーワンの表現てそれだけ印象にも記憶にも残るのです、みんなと同じじゃそうはいかない。

というわけで、私が今年ツボった擬音は、lagerさま『聖女(クズ)と勇者(のうきん)と王様(さぎし)と私』の「づん!」ですww

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893993523


えーと、そんなこんなでまずはお知らせ。

『女神墜落~あなたがわたしを好きになるまで~』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886544315

こちらは来年1月6日早朝に非公開にします。再公開は早ければ4月の予定です。ご了承ください。


では、お久しぶりの読書メモです。


『ブッシュマンの民話』田中二郎(京都大学学術出版会)

自作の『タカムラさんと行く世界紀行 井戸の中からコンニチハ』で参考文献に使用した一冊です。
お堅いところから発行されているわりに、ポップなイラストのソフトカバーで手に取りやすい一冊ですよー。本文頁の民話の部分にはかわいらしい飾り縁やイラストもついてます。

半世紀にわたってブッシュマンの生活に密着して調査してきた著者がテープレコーダーに録音した口承の民話を日本語に翻訳したという、よく考えなくても貴重なお話の数々なのです。
あえて語りのまま訳されているので文法的に???な部分も多いのですけど、独特な言い回しや節回し、リズムなど、すっごく刺激になります。

そしてこの本文にはQRコードが添付されていてyoutubeで音声を聞くことができるのです。イマドキですね!
白黒なのですけど、写真も豊富で解説も丁寧、わたしはブッシュマンについてはまるで無知だったのですけど、おかげで作品が書けたほどなのでした。
超おススメの一冊です。


『遊牧という文化 移動の生活戦略』松井健(吉川弘文館 歴史文化ライブラリー109)

これまでモンゴルや匈奴など騎馬遊牧民については結構書籍をあたっていたのですけど、一口に遊牧民といってもいろいろなのですよね。

旧世界では大陸中に分布していたけど、政治体制と国際関係の問題で多くの民族が遊動生活を放棄、その人口はごくわずかとなっているようです。

モンゴルのウマ遊牧民は生業として牧畜専業の形態をもち続け、アフガニスタンで遊牧生活を細々と維持している一部のトルコ系ウシ遊牧民はヒツジ・ヤギの放牧に転じ、パミール高原に逃れたキルギス遊牧民はヤクの牧畜で生活を立てている。
タール砂漠でラクダを放牧するラバーリー。そのほかのタール砂漠のウシ遊牧民たちはインドから肉の需要の高いパキスタンへウシを運ぶことから、酒類や阿片の密輸に関与していると定着民から疑われることが多い。
イラクのアラブ系遊牧民ベドウィンにはヒツジ・ヤギを飼養するものとラクダを飼養するものがいる。アラビア半島のベドウィン・ラクダ遊牧民は、もっとも遊牧民らしい遊牧民として知られる。
東アフリカでは、アラブ遊牧民とはまったく文化的伝統を異にするが、類似した超越的な一神教を奉じる人たちが分布、北ではラクダ、南ではウシを飼養している。
サハラにはラクダ遊牧民のトゥアレグ、イスラーム化の度合いが高い。
極北のトナカイ牧民は、社会変化をこうむりながらも今も牧畜専業に近い生活をしている人たちがかなりいる。

というふうに、世界中でさまざま。

そんな中、本書では西南アジアにクローズアップし、パキスタンからイラクにかけての砂漠地帯のヒツジ・ヤギ遊牧民のパシュトーゥン遊牧民とバルーチュ遊牧民が取り上げられます。

パシュトゥー語を母語とし、ひとつの民族集団としてカラクル羊群の飼養から毛皮の加工、製品化、販売、輸出まで独占するパシュトゥーン遊牧民は、政治的な活動がうまくアフガニスタンの国家成立時から彼らの牧畜生活を発展に維持させた。が、戦乱のため今日では遊牧の社会的基盤そのものが破壊されてしまったようです。

一方、マクラーンのナツメヤシ・オアシス周辺の砂漠のバルーチュ遊牧民の暮らしは貧しく、けれど生活の簡素さと物質的な貧しさとが調和している。ジャンガリ・バルーチュと都市居住者から揶揄される彼らは、イスラームの中ではズィクリーという宗教的少数者であり、地理的な要因もあって孤立している。

牧夫の技術やチーズやフェルト絨毯の製造、ヒツジやヤギの性質、父方平行従イトコの間でおこなわれる姉妹交換婚、コビトヤシ製品やナツメヤシについて。などなどトリビアも多くて面白かったです。


えーと、で、ここからは、いつか語りたいと思っていた私が大好きなマンガについて語らせていただきたい! それは……じゃーん!!!!

『乙嫁語り』(エンターブレイン KADOKAWA)森薫 です!!!!

作者は『エマ』でも有名な森薫。『乙嫁語り』はマンガ大賞にも輝いてますし、ものすっごいコスプレーヤー祭さんのもすっっごい同人写真集も有名なんで、今更なのですけど!

19世紀の中央アジアを舞台に人々の暮らしや文化、部族間の紛争までを描き出している本作、見所が多すぎてちょっとやそっとでは語りつくせない魅力満載なのです。
もう、これほど萌えポイントばかりのマンガもないだろうってくらいで、人それぞれの萌えポイントがあるんだろうなーって感じで、メインカップルで年の差八歳のカルルクとアミル夫婦に萌えーだし、スミスのへたれっぷりも萌えーだし、パリヤのツンデレっぷりも萌えだし、カルククのお祖母ちゃんの女傑っぷりにひょえーだし、アミルの兄アゼルの腹筋や裸足の足の裏にコーフンだし、老人たちのお顔の皺にもはうぅぅだし、とにかく絵が精緻で、動物の瞳とかたてがみとか背中や腹や足の筋肉とか、そういう細かいとこまで書き込みがとにかくすごい!

更に、更にすごいのは刺繍やパン、家具調度類や建具など、民芸品の細かな模様の書き込みがものすっごいのです!

私も、ネットで刺繍の図案を捜しているときに、このマンガの刺繍の模様がすごいって記事で『乙嫁語り』を知って『エマ』の作者さんだーってなったのがきっかけだったくらいで。手芸好きにも話題なのです。
それだけ模様が素敵で、ステッチの種類まで分かっちゃう描写がすごい。チェーンステッチの糸の盛り上がりとかすげええええって感じでずううっと見てられます。そして再現したくなる。私の腕ではとても無理なのですけど、刺繍がやりたくなります。

衣装や髪形、背景まで、一コマ一コマを鑑賞できるマンガなのです。
まだご覧になったことのない方はぜひ覗いてみてくださいね。すっごいので。

2件のコメント

  • こんばんは。

    づん!

    そんなに受けました?(笑)
    流行るといいな( *´艸`)

    まあでも藤田和日郎の漫画表現の真似ですけどね。
    獣の槍の封印布を引きちぎるとき、「づ」ってデカデカ擬音が出てて、当時は子供ながらすごい印象に残ったのを覚えてます。



    タカムラさん、面白かったです~。
    ああいう原色の文化って、ファンタジーの題材にしても面白いですよね。それこそ、すごいオリジナリティ出せそう。


    『乙嫁語り』、ちょっと気になってたんですよねぇ。今度探してみます。
    確かに、美術の精緻な漫画って凄いなぁって思います。漫画的な絵の上手さとは別に、とにかく細かくて緻密っていう。
    最近よく広告で流れてくる『なろう系』のコミカライズって、その辺りが弱いんですよね。ストーリーを回していくことだけ重視してる画風というか。まあそれはそれでニーズに応えた結果なんでしょうけど。

    折角『漫画』なんだから可愛い(かっこいい)キャラクター以外の絵でも勝負しなさいよ!
    なあんて、言ってみたりして。

  • うしおととらかー!
    そういえば、ウシオってとらっぽい??(◎_◎;)

    マンガの擬音も、オリジナルのは記憶に残るよね。
    「づん!」は怒れるドラゴンの足踏みにめちゃくちゃマッチングしてました(笑)


    てへ。ありがとうございます。だね、原色の文化ってインパクトでかいし、マイナーだし、材料として狙い目だけど調べながら書くのが難しい。知識がもっと欲しいよー。


    『乙嫁語り』はとにかく作者のこだわりが凝縮されてるんだなーと。ちょっと狂気を感じるくらい。それも、そもそもは「これ素敵、好き!」って気持ちな気がする。そこから資料を集めて描く作者さんみたいだから。
    『風光る』の渡辺多恵子も歴史音痴だったのがキャラメルボックスの舞台にハマってそこからひたすら勉強したっていうし。
    とにかく「好き」な気持ちだよねー。lagerさんのも、だから面白いのだろうと。

    今コミカライズが熱いけど、漫画家さんだって「これ好き!」って思える原作でないと熱は入らないだろうに、どうなんだろうねー。
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