(前編からの続き)
大阪から奈良へのアクセスがよく分からなくて迷いつつ、奈良・当麻寺へ。
今回の旅(日帰り)のお目当てはなんと言ってもここ! 当麻寺の四天王像!
以前に四天王像の写真集(何それ)を見たとき、このお寺の像が収録されていたのですが。それが特徴的で本当に心に残っていたのです。
四天王は武神として憤怒相(怒りの表情)で表されるのですが、一体だけ収録されていたその写真は大変穏やかでですね……。
あとこれも珍しいことにあごひげがあってダンディなのです。ちょっと三國志とかの武将っぽい。
モデルがいるのかなとも思わせられる写実的な作風です。
個人的には、四天王は四方=この世全てを護る存在だから、厳めしいだけじゃなく優しくあって欲しい。それがまさにこの像なのでは……と、いつか見たい! と思っていました。
で、いざ見てみると……素晴らしい! そして凄く面白い! 四天王それぞれの性格というか、キャラクター性が描き分けられているかのような表現がなされていました!
武将としての甲冑姿や、顔の造り自体はどれも似通っているのですが。表情がそれぞれに豊か!
まず、写真集に写っていたのは持国天。法具の三鈷杵(さんこしょ)を左手、刀を右手に。表情はあくまで穏やかに、落ち着いた雰囲気。
その後ろの多聞天(毘沙門天)は武神としてだいぶ肩に力が入っちゃってる。戟(槍)を持つ左手も宝塔を持つ右手も上げすぎて、両肩が上がっちゃってる。背筋も反ってて、無理に胸を張って大きく見せようという緊張感がある。
その点持国天はあくまでリラックスした自然体。姿勢もいい。凄腕の剣士かつ、寡黙だが頼れるリーダー、という感じがします(四天王としては持国天がリーダーという説もある)。
そして増長天! これは本当に見られて良かった!
左手で戟を持ち、右手は開いて前に出す形。口は仁王像や狛犬にも見られる「阿吽」の「あ」を示すように開けられているんですが。
これがまた、めっちゃフレンドリーに「やあ!」って言ってる感じなんですよ! 旧友に会った感がスゴい(笑)。
あと戟も妙に高いとこを持ってるからすぐ振るえない……戦う気ゼロだろお前!(笑) この増長天は絶対いい奴……そして多分バカ(笑)。素晴らしい。
その後ろの広目天は筆と巻物を持って逆に難しい顔。ほんのちょっと猫背にも見える。
眉間にしわを寄せ、マジメに沈思黙考している、いや、前の増長天に「何やってるんだこのバカは」と怒っているのか?
本当に表情豊かに描き分けられていて素晴らしい! 写真集には一体しか載ってなかったので、本当に来て良かったです!
お寺自体も歴史ある……というか古びた、ひなびた感じですごく落ち着く……。
辺りの街並みもそういう雰囲気。旅したい街って個人的には都会じゃなくてこういう街。
当麻寺はサイコーだな!! もし近所にあったら月イチで行きたいです。
いやあ、本当に来て良かった!