時折り覗かせて頂いている交換日記さんの短歌ギャラリー「猫と満月」。今朝も、ふと覗かせて頂いたところ、やっぱり面白いなぁと思ってしまったので、迷惑など全然顧みず勝手に応援させて頂きます。
短歌ギャラリー「猫と満月」は、以前にもストックブックでご紹介したことのある日記風短歌集、またはひと言短歌帳で、連日更新され続けており、今日時点で5585首、何と163,830文字にのぼる歌集です。友未の句や歌と同様、タイトル付きです。
https://kakuyomu.jp/works/16818093084975513377今朝拝読した歌の中で一番ドキッとしたのが
タイトル:気温関係なし
こうやって日常は始まるのです
例えばそれが10℃以下でも
何気なく言っているくせに、言葉が突然突き刺さってきて目が覚めました!作者も多分、何気なく呟いただけなのではないかと思うのですが、言葉の本当の面白さとは多分そういうもので、真剣に深刻に悩み抜いた言葉が結局つまらなかったりするのとは真逆です。巧まざる「軽み」の衝撃でした。
この歌集はプライベートな性格が強いため、個人的過ぎて、また、軽すぎて共感しようのない場合も正直ありますが、10首くらい読んで面白くなくても、絶対油断できません。
この歌集でもう一つ、強く惹かれるのが、普通に書かれた日常口語が自然過ぎて、「本当に短歌なの?」と音数を数えてみるとちゃんと「みそひと文字」になっている卓越したリズム感と、行取りセンスです。
タイトル:全員引きこもろうよ
ねえ今日は勤労感謝の日なんでしょ
働かなくてよい日なのでは……?
タイトル:書いたり書かれたり
書くことはあっても
書かれることはなく
書かれる覚悟ないままに
書く
口語は良いですね。ここだけの話、友未も「我」とか「~や」とか「~かな」とか詠みながら、「お前さんいつの時代の人間じゃ?」と、時々自問したくなります。
さらに、日記風という点も大好きです。コンテストやお題で武者修行しようというのではなく、日々の思いや出来事をありのままに書きとめていく姿勢に共感を覚えます。それが句や歌の本来あるべき理想の姿ではないかと思っています。
おしまいにもう一首。可笑しな温もりも、この作者の最大の魅力のひとつです。
タイトル:世界を救う休日の午前中
お昼まで寝たら世界が変わるかも
でも変えられず、もぞもぞ起きる