『ブックタワーを攻略せよ』公開から少し時間は経ってしまったのですが、ここで創作に当たっての経緯を記しておきます。
まずこの物語は、紹介文に書いてあるように、自主企画『同題異話11月号』への参加作品として書いたオリジナル作品です。この同題異話というのは、タイトルだけは同じにして、参加者はそれぞれ自由に物語を書くという企画です。今年度は夢月七海様によって毎月開催されています。
実はこのタイトルを読んだ時に思い出した光景があります。それは、子どもの頃、家族の手芸の本のとある作品の背景に置かれてあった本の束です。それは絵からメリー・ポピンズの洋書版と分かりました。メリー・ポピンズは、私が小学校の図書館で借りて、ハマっていた本のシリーズでして……。撮影協力として、ある洋書店の店名が書かれてありました。
今回、そのページを紹介したかったのですが、保管してあると思っていたその本は自分が記憶していた場所にはなく😥、他の本のページを撮影した写真を載せています。同じ洋書店が撮影協力しているのですが、本の分量はかなり少ないですね。
私はこの手芸の本を手掛かりに十八才になった夏、家族と行った東京旅行で、銀座のこの洋書店に足を運び、メリー・ポピンズ3巻を買いました。
自分でも怖い物知らずだったなと思います。
当時は、児童書とは言え難しかったこの本も、親が進学を許してくれた英語科のある短大への進学で読めるようになりました。ですが残念な事に、その洋書店も、今ではインターネットの普及に伴って、閉店してしまっています。
応援コメントの欄で、読者さんが書いてくれているのですが、二年前、大手通販会社のカタログに関し、ある事件が報道されました。
インテリアのカタログに載せていた写真の中に、イタリア語で「第三帝国の建築」と題した書籍を入れた本棚が掲載され、「わくわくする本が見つかった」などの文が添えられていた、という事件。
これは通販会社が内容を確認したわけでなく、単なる偶然であったとの会社の説明で、我が家にも家族あてに謝罪の文面の手紙が届いていました。本棚を売る方はどんな本かを気にしないでしょうけど、本好きで本棚を買いたいと思う人の中には、その内容を調べる人もいるんでしょうね。
それを考えると、手芸の本のバックに置く書籍でさえも、きちんと吟味していたと思われるイエナ書店は、つくづく良い仕事をしていたんだなと感じます。
そんなこんなでこれは、実体験を元に出来たお話でした。人生、何がどんなきっかけをもたらしてくれるか分からないと本当に思います。
作中の元経営者のお祖母さんの四択問題は、自分自身がどちらかと言うと、映画を観て感じる事になっています。本はあまり読み返す事はないので。皆様にとっては、何番が一番しっくり来るでしょうか?
この一年もあと十五日程になりました。誰にとっても、今年の出会いが未来への良いきっかけとなりますように🙂