「秋風を感じた日」、読んでいただき、ありがとうございます。
あまり近況ノートを利用しない方ですが、この話の背景については少し書いておこうかなと思います。
感想をいただいた中にもあったのですが、一昔前には手編み、手縫いが当たり前だったと思います。子どもの頃、それが恥ずかしかったという思い出を持つ人もいたかも。
ちょっと(?)前には、男性がカノジョからのプレゼントだなぁと分かるセーターを着て街を歩いている姿も見かけたりしました。気を使って着ているんだろうなと思うようなセーターもありました。(^_^;)
手編みがダサいと思われる背景は昔からあったと思います。昔から既製品と手作りは違いますからね。でもその差はどんどん開いてきていると思います。個人的に編み物が好きで、昔の1970年代の本等メルカリやヤフオクで探して買った事もあります。
昔の編み方は丁寧で、型紙まで付いていて、ダーツやウエストの絞った形とか目を調整して編むようになっていました。今は、もっと簡単な編み方が紹介されている本がメインです。なので、出来上がった作品もシンプルです。でもだからこそ自分が趣味にできたんだと思います。上級者向けの凝った編み方の本もありますが。
また、材料代だけで既製のものが二、三着買えたりするので、編み物という趣味は今ではビミョウな立場です。
ある時期、画期的に簡単な編み物の本が出て、タイトルにも「超かんたん」がついていたくらいです。でもシンプルでもデザインが良いというか、作りたくなるようなセーターやカーディガンばかりで、その一冊が自分の編み物の趣味に大きな影響を与える事になりました。
その本のモデルは何人かいて、おそらく全員十代後半。その中の一人に、同性から見てもひときわ目を引く美しいモデルさんがいました。美少女というより、今で言う韓流の美少年顔。撮影しているのは野外で、山とか野という感じなのも、そのモデルさんに合っていました。
間もなく、そのモデルさんは女優になって、脇役ですが、月9等の人気ドラマに出演され、認知度も上がりました。結婚され、子育てしながらも今も現役で頑張られているようです。「いるよう」というのは、私自身、このモデルさんが女優になってからの活躍より、昔の編み物の本で見た衝撃が強かったので、あまりドラマは見ていないのです。彼女にとっては、手編みのちょっとダサめの服を着たって位の思い出かなと考えていました。ノンノのモデルだった時期もあるようですし。
ところが数年前、彼女が手編みが好きで、手編みの本のプロデュースに関わっていると知って、もしかしてあの一冊が彼女にとっても、大きな意味を持っていたのではないか、と思うようになりました。シンプルな手編みのセーターもすごくカッコよく着こなしていて、手編みの可能性を感じさせる一冊になった事に一役も二役もかっていましたから。また、モデルとしてスタートした頃、その後も実は自分の人と違う容姿にコンプレックスを持っていた事も知りました。
ただこの編み物の本がモデルさんにとってすごく意味を持っていたというのは、自分の想像に過ぎません。今回は、勝手にその方のイメージで書かせていただきました。
たくさんの編み物の本を処分してしまいましたが、今もこの思い出の一冊は、本棚に残して、時々開いてます。あれから年月が経ち、今ではさらに簡単な編み方が紹介されている時代になり、複雑な思いも持ちながら。