「ギルダ、あるいは百年の空白」第1章が無事完結しまして、2章スタートいたしました。
昨年カクヨムに公開させていただいた長編「ホワイトアウト・シティ」がそもそも昔々の未完原稿の使いまわし作品で、執筆していた2006年頃当時の作品としてカウントした場合、それに続く本作はなんと16年ぶりの長編ということになります……!
当時からすると筆力の衰えも感じるところではあり、もういい加減長い原稿を書くのも難しいな、と思いまして、本作ももう少しコンパクトに仕上げる予定でしたが、書いているうちにずるずると分量が膨れ上がってしまいましたね……。
プロローグなしでいきなり本編が始まる書き出し部分は短めの作品になる予定だった頃の名残ですが、作品冒頭から地の文で出来事の羅列をばーっと並べてしまうのは本来悪手もいいところで(年号つきだとなおのこと)、読みづらいな、良くないな思いつつこういう書き出しになってしまいました。書いてる私は当然把握している内容ですが、読者目線では不必要かも知れない情報を不必要な長文で読まされてぜんぜん頭に入ってこない、という状態に多分なっているのではという不安が。
とはいえプロローグがあったからと言うても本編を知ってる作者にはカッコよくてもお話をこれから読む読者にはポカーンになりやすいからこれもホントはNG!という意見もどこかで見たことがあります。書き出しって難しいですよね……。
あと、本作プロットをまとめている段階でこれは書くのが大変そうだ、と事前に把握していた箇所がいくつかありまして、まずその一つがギルダが村の診療所で受け入れられて医療者になっていくという展開。本作もいわゆる「なろうヨーロッパ」、ナーロッパなどと揶揄される似非中世風ファンタジーに分類されると思いますが、同じジャンルを書いている皆さんはやはり作中での医療行為の扱いに苦心されている事と思います。はっきりステータスという概念のある世界観なら回復魔法で体力値が満タンになればそれでOKかも知れませんが、それが無かったとしても魔法で治療や回復が可能である、という設定と実際に医療行為による怪我や病気の治療というストーリー展開上の要求をどう両立させるか、という問題がやはり出てきますので、本作ではすっぱり「そのような便利な魔法はない」と切り捨てる事にしたのでした。かといって、歴史考証をガチの中世に寄せていくと逆に「その時代医者なんかおらんかった!医薬品もなかった!」みたいに登場させる余地もなくなってしまいますのでむずかしいところ。
結局本編中では漠然とした近現代医療のイメージをそのままふわっと西洋時代劇風味に落とし込むという力業でごまかす事にしましたが、全然リアリティのない描写に見えてしまっているかも知れませんね。こういう書き方をすればいいよ、的なご意見ありましたら教えていただきたいかも……。
これ以外にも今まで真面目に描写した事のない種類のシーンを描写する必要に迫られる局面がプロット上いくつかありまして、それについては物語の進展にあわせておいおい紹介していきたい(言い訳していきたい)と思います。