西之園上実様の「急がば回れ、そして王道の意味を知る。」を読ませていただきました。
最新話まで読ませていただいたのですが、読み飛ばし、解釈ミスなどがありましたらすみません。また、審査員でも作家でもない素人の意見ですので、「ふーん」程度に聞いてもらえればと思います。
あらすじを説明すると、絵が好きすぎる色の天才であり絵描きの女性(静)と、家族経営の会社で従業員として働く、将来のことはあまり考えていない男性(余裕)という2人が主人公。二人の物語は時に交わりつつ交互に進み、女性サイドでは画家としての成長と才能、男性サイドでは車について、そして「白の世界」と「灰色の世界」について描かれていく。
以下は技術的な指摘ではなく「私(浅川)個人の趣味と主観による感想」と理解した上でお読みいただければと思います。
まず、最初の感想としては語りが独特。ちょっと難解。しかし読み進めるうちに、これは文学作品だと理解しました。独特な言い回しが多用されますが、それは出そうと思って出せるものではありません。才能だと思いました。
絵と車、夢と人生、そして仕事と恋。主人公二人の物語が交互に展開されるが、これは良い面もありつつ、こまめに切り替わるので少し疲れました。WEB小説の特徴として、1話あたりの字数が制限され、2千~3千字で強制的に話を切らなければならないというのがあると思っているのですが、その特徴を利用しているとも言えますし、少し振り回されている感じもします。交互だと時系列がわかりやすいので、その点は良かったです。
最初は主人公2人の独特な思考回路と口調になれるのに時間がかかりました。しかも交互に登場人物が切り替わるのが、難しさを加速させます。
しかし、物語が動き始めると徐々にキャラクターが定着し始めて会話も入ってくるようになりました。自分は12話ぐらいから面白いと思い始めました。逆に言えば、入ってくるまでにそのぐらいかかります。
環境描写や人物描写も適切、特に車と絵画に関する知識と描写が深くて一切知識のない読者にもその分野の内容がわかりやすいと感じました。
あとサブキャラたちも良いですね。みんないいやつなんですよ。
他に気になった点を挙げるとすれば、作者の持つビジョンに時々文字が追い付いていない場面がある気がします。
シンプルに言うと、描写はあるけど説明はないシーンが時折あるように思いました。あえて多くを語りすぎないように配慮されているんだと思いますし、それは作風とも合っていて間違いではないのですが、読解力を試されている感じがします。何度か読み直し、時に振り返りながらかみ砕き、咀嚼するように読む。そんな感覚でした。
総評
実写向きの内容だと思いました。
今まで読んでこなかったジャンルですが、40話ぐらいから続きが気になって仕方がない。
最初は無気力な感じでキャラがつかめなかった余裕君が、若干コミュ症ながらもかっこよくなっていくのが個人的には良かった。
まだ完結していないとのことなので、今が読み始め時ですね!
面白かったです。
「急がば回れ、そして王道の意味を知る。」
https://kakuyomu.jp/works/16817330659903498973