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「逆転のレヴラデウス」あとがき

あとがき

お世話になっております。弓チョコと申します。
さて、本日完結いたしました「逆転のレヴラデウス」のあとがきをば。

■そもそもの発端
ゲームをしていると、『魔王』って喋るんですよね。人の言葉を。つまり知性がある。ならば感情も、情緒も人格もある。ひとりの『人』なんじゃないかと。魔王は王なので、国民は魔物ですよね。これは国家間の戦争なのです。人間側は、『魔物は化け物で悪い奴で駆除すべき』と、その戦争を自国内で勝手に美化、正当化しているだけなのです。正義とか悪とかの言葉の、なんと軽いことか。魔物側にだって正義はあります。当然。
ゲームでは魔物、魔王は倒されるのがセオリーですから。これは良い題材だと考えたのです。
ですからレヴラデウスも、その後の王も、ただの喧嘩が強いだけの政治家なんです。本職は政治家。王ですからね。

■起
この回は魔物視点の、そう言った傲慢な人間への不満点を述べています。レヴラデウスの言葉は感情的に納得できなくても、頭では理解・共感できるんじゃないかと思います。

■承
あっさり殺される勇者パーティっぽい人達。まあ、普通に考えて3メートル越えの化け物が恨みで怒りまくってますから。たかが人間3人でどうにかなる相手ではありません。ロックス達は軍人ですらないですからね。しかも10代ですし。
さらに、『お婆ちゃんと坊や達』が実は魔物の子孫だったという吃驚。

■転
救世主登場。混血児が両者友好の立役者、橋渡しとなる展開は大好きなんです。どちら側にも立てて、お互いに説得力がありますからね。それを自分達で分かっているこのふたりは本当に賢いと思います。
長期連載であればこの兄妹の旅の部分を拡げて、色んな描写ができたのだと思います。その土地によって考えが違う人達が居ますからね。白にも黒にも。

■結
交渉回。こういう、論のみで相手に立ち向かう話も大好きです。力が全てではない。相手を破壊して終了では美味しくない。建設的に、頭を使って、お互いのWin-Winを探していく。まあ武力も抑止のカードとして所持はしますが。ロックス達が魔王レヴラデウスへの説得に失敗した理由は、『無意識の傲慢さ』があったからです。そして怒れる魔王の溜飲を下げることをしなかった。あとは知識不足。魔物への興味関心・理解不足。子供が綺麗事だけを並べても、実力を持ったプロの政治家相手に通用する筈がありません。残念ながら。
そして、『お婆ちゃんと坊や達』は実は黒の支配下時代ではなく、白黒平和の時代だったという吃驚。黒き民の彼らが、しかも子供がケータイ的な道具を使っている辺り、しっかり条約は機能しているようです。
お婆ちゃんは何者なんでしょうね。

■兄妹のその後
この条約締結に人生を捧げましたので、ふたりとも結婚もしておらず、子も残していません。
そもそも混血児が奇異な目で見られなくなるのは、自分達のもっと後の時代だと分かっていたのでしょう。
締結後はどちらの大陸に住むか、中間点に緩衝役などで島を作るか、など悩んでいたようですが、そこまでには寿命が足りませんでしたね。
お疲れ様でした。死後は両親と再会できると良いですね。
いや父親とは会いたくないかも。
ロックス達も、現世を見下ろしながら魔王レヴラデウスと和解できていると良いですね。

■2頭の獣
黒き獣の方が説得チョロいという、そういう逆転でもありました。
人の言葉を喋る。ということで彼らも『人』の枠に入ります。
3100年前、彼らの種族で戦争があったのです。文明が進んだ上での最終戦争。彼らは最後の生き残り。
このふたりは、実は恋人でした。しかしお互い敵同士の軍に所属しており、最後の最後まで殺し合うことを決意したのです。
もう軍も文明もありません。復活後はあの兄妹のように仲睦まじく暮らすことでしょう。

■最後に
妙に魔物へ肩入れしているように見えるかもしれませんが、だからといってどちらかが勝利して支配して殲滅して終了では、それは物語として味気無いと思います。知的生物として対等なのですから、双方納得のいく『良い感じ』の着地点を探さなくてはいけない。そんな物語と結末でした。

■以上です。ご愛読ありがとうございました。

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