皆様こんばんは。
敬語で文章を綴っているとき、シエロ君判定されているのかカタカナ混じりになることが増えて地味に困っている新井です。
明けましておめでとうございます。
昨年は長らく離れていた創作活動に舞い戻ってきたところだったのですが、公開するものとしては処女作のアヴィオンに当初の想定よりも多くの反響を頂いており嬉しい気持ちです。
今年もSF中心に物語を綴っていく所存です。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
さて、カクヨムコンにおいて限界読書チャレンジなる催しが開催されておりまして、それ用にXにてヨム作品を募集させていただきました。
今回の読書ログでは、その中で特に私に刺さった作品をいくつか+αをご紹介させていただこうと思います。
SFを好んで読む質のため、今回はSF作品が少々多め。8作品のご紹介です。
また、刺さった作品に焦点を当てているためいつもより私的な感情がこもったご紹介となっておりますが、何卒ご容赦くださいまし。
■銀河皇帝のいない八月(沙月Q様)
連載中。最新話まで読了。
突如他星系同士の争いに巻き込まれる形で起こった戦闘のさなか、一矢報いようと放った矢が引き起こす壮大なスペースオペラ。
怒涛の世界観展開と大量の用語が出てくるにも関わらず、難解さを全く感じずサクサクワクワク読ませてくれる傑作SFです。
世界観・名前の付け方・メカから種族から小道具に至るまで、なんというかすごく、「ぽい」んですよね。大好き。
これは私がSFが好きなせいもあると思うのですが、種族名ひとつとってもあーそうそう、みたいな。
オリジナリティがありながら、非常に上手く既存のSFを想起させるあれこれに、情景が目に浮かぶようで最高です。
ちなみに新井の推しはシェンガ様です。
https://kakuyomu.jp/works/16817139557327443339■機鋼救星ムスメサイア-MachineMetal MusuMessiah-(たかはた睦様)
https://kakuyomu.jp/works/16816700429577434741完結済。全話読了。
過去の戦争でトラウマを背負い、整備兵として軍に残っていたものの、再度の敵襲に再び出撃するところから始まるスーパーロボットなお話。
申し訳ないのですがこう、敵側のネーミングが非常にネタっぽいところがあり、ギャグっぽいお話なのかなと思いきやネーミングからは想像もつかないほど(失礼でごめんなさい)硬派なストーリーで、3章の後半あたりからはのめり込むようにして読みました。
英雄たる素質があるのに英雄視されることに苦痛を感じる主人公像というのは拙作アヴィオンのユウ君にも通じるものもあり、これがホントにどストライク。性癖どまんなか。
あと、「この話後で回収されそうだな……気になる……」みたいな伏線が全部綺麗に回収されていて、これはほんと一気読みすると滅茶苦茶気持ちいい作品だなと思いました。気持ちよかったです。最高。
ちらっとPV覗かせていただいたら、EX読んでない方が多そうだったんですが滅茶苦茶もったいない。
こちらから読みに行く方いらっしゃいましたら、ぜひEXまで含めて読んでみてください。
■雨のプラント──(真塩セレーネ様)
https://kakuyomu.jp/works/16817330659248217091短編、完結済。全話読了。
舞台は近未来、ドームで覆われた世界。
降雨量の調節機械の不調でずっと雨がやまない町で、その機器の技師として町にやってきた青年の静かで短い物語。
ゆっくりと終わりに向かっている街だけど、そこが好きでやってきた若い主人公というシチュエーションが非常に好みでした。
退廃的な世界観で日常を紡いでいる、素敵な作品です。
■便利屋『ソロモン』 王国を見限った転移魔法使い唯一の弟子は帝国にてお役立ちゴーレムを販売中!~美少女ゴーレムと共に暮らす異世界の日々~(蒼色ノ狐様)
https://kakuyomu.jp/works/16817330664979431775連載中。14話まで読了。
かつて世界を救った勇者パーティの一員(転生者)を師に持つお弟子さんの物語。
バックボーンがしっかりしているハイスペ主人公、大好きです。
積み上げたものがあってこそのハイスペック。努力だったり師だったり、才能だったり。
1話でお師匠は亡くなってしまうのですが、「お前を弟子にしたのは才能を見出してではない、ただ寂しかったから」という台詞がすごく好きで。
この一文からお師匠が弟子の才能を買っていること、そして深く愛していることが伝わってくるというか。惹き込まれました。
キャラクターもとても魅力的で、脇役の皆様もちゃんとキャラクターに立体感がありとても好きです。
「好き」について包容力の高い世界観というか作品の姿勢というか、そういうところもとても良かったです。
ライアン君のご両親が恋愛結婚だったことに新井の性癖はやられました(蛇足)
■T.i.e ~イノチノタイカ~ (猫鰯様)
https://kakuyomu.jp/works/16817330665616158691連載中。25話まで読了。
災害地支援用の人型汎用重機HuVer(フーバー)ごと武装テロ組織に拉致されてしまった技術者を巡るSFサスペンス。
エンタメとして読むにはあまりにも生々しく、良く練られたストーリーで、面白さより恐ろしい気持ちが勝りながら読んでいました。
緻密なSF設定がなされており、それの面白さもあるのですがそこが霞むほどに人間と戦争の恐ろしさが非常に濃厚な作品です。
■魔法少女になりたかったのに! (今福シノ様)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896491130連載中。第67話(1章)まで読了。
タイトルの通り、魔法少女になりたかったのに、魔法少女と逆サイドになってしまった少女の物語。
タイトルがまず良いですよね。なりたかったのに!って可愛くて、それでいてすごく興味を引きます。
ストーリーも面白く、タイトルで魔法少女にはなれないんだろうなぁとはいうところは分かっているので、本人が理解しないまま進んでいく契約シーンもにやにやしながら読めちゃいます。
先の展開が読めるというか、「たぶんこれはこうなんだろうな」というのが非常にわかりやすく描かれているのですが、そこに至るまでの構成がすごくお上手で、「どうなっちゃうんだ、いつ気付くんだ、いつばれちゃうんだ」というワクワクでどんどん読み進められてしまうのがすごいです。
ある程度の想定は持たせてくれつつ、そうきたかー!みたいな驚きもあったりな素敵な作品でした。
■El Pirata Del Grimorio ~魔導書の海賊~(平中なごん様)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889619569完結済。全話読了。
魔導書が存在するという設定が組み込まれた、大航海時代(スペイン帝国時代)をモデルにした世界で繰り広げられる海賊と海軍の物語。
前回の募集でも別の作品を寄せていただいたのですが、こちらの作者様は素材の活かし方が非常に丁寧な方で、とってもリアリティがあるというか、世界観の解像度が高くて大好きです。
アルゴノーツだったりドンキホーテだったりの有名所の素材を非常に美味しく調理されていて(言い方ァ)、「これは元ネタあれだよね、知ってる知ってる……!」と自分の知識もまた満たされたりと大満足。
ストーリーもわくわくさせてくれるもので、ネタバレになってしまうので細かくは書きませんが最後のどんでん返しが最高でした。
■偏屈な辺境伯爵のメイドに転生しましたが、前世が秋葉原ナンバーワンメイドなので問題ありません(八星 こはく様)
https://kakuyomu.jp/works/16817330665669745827連載中。30話まで読了。
ある日突然異世界の知らない人の体に入ってしまった秋葉メイドさんの物語。
タイトルからは尖った感じの作品なのかなと思っていたら、蓋を開けてみればとてもあったかくて優しいお話でした。
アリスちゃん、前世知識やチートではなく、彼女自身の持つ明るさや前向きさで周りを絆していく感じがあり、このキャラ造形はとてもいいなぁと思いました。お相手ランスロット様の繊細で優しいキャラクターも、彼女の魅力を引き出しつつ、ご本人の魅力もあってよいです。
顔がいい!だったり、可愛さでオトす!だったり、外見的な魅力があることを全面に押しているのに、お互いちゃんと内面に惹かれている様子が丁寧に描かれており、全編じんわりと暖かい素敵な作品でした。
■売れない画家とピアニスト(まぁじんこぉる様)
https://kakuyomu.jp/works/16817330664993422025連載中。最新話まで読了。
プロのピアニストを目指す女性と、画家として個展を開くことを夢見る男性の恋と愛の物語。
恋愛小説という括りに入れてしまうにはあまりにも勿体ないと感じるほどの素晴らしいヒューマンドラマです。
私は音楽も絵もずぶの素人なのですが、それでも目や耳に浮かぶような音楽、絵画の描写が凄まじく、それでいて全くといっていいほど説明臭くなく、すっとストーリーが胸に落ちてくる感じが本当に素晴らしいとしか言えず。
繊細な芸術家たちの引き裂かれるような気持ちを、こうまで素人に叩きつけることが出来るものなのかと感動しきりです。
絵とか音楽とかよくわからないから、と思っている方にこそ読んでいただきたいと思えるそんな作品でした。
以上8作品、いかがだったでしょうか。
もし気になる作品が見つかったら、ぜひ足を向けてみてください。
どれも本当に素敵な作品でした。
企画にご参加いただいた皆様、ありがとうございました!