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SS クリスマス 6


大学に入ってから、クリスマスなんて楽しいとは思わなかった。

寮の先輩に無理矢理つれていかれた合コンとかでは、柴原が酔ったふりして、俺がお持ち帰りパターンって流れで、毎年、イベントの名物カップル扱いだったような?

俺としては、相変わらず神城明日菜が俺の彼女と、酔いに任せて言っても、

ーただの熱狂的ファン。

としか、思われてないし。クリスマス時期は明日菜と気まずい時期だし。

正直、楽しみだと思わなかった。のに、明日菜をいまは俺の奥さんと言える。

まあ、いう機会はなくなってる。当たり前だけど、人は慣れていく。

し、あのハゲ外人以外は敵視されない程度な俺だし、仕事に関係ないし?

俺,外資でよかったのか?さすが柴原俺の国宝?金魚のふんの俺だけど、ラッキー?

ってなるけど。たんに俺のまわりが人格者だけなんだろうな。

というか、その大恩人のイケメン先輩まきこむ俺ってどうよ?

「すいません、先輩」

はじめてのパパだよなあ?サンタさん。それに柴原も子供をもってから、なんか雰囲気が変わったし。それはイケメン先輩と付き合いだしてからもだけど。

柴原だって、楽しみにしてただろうなあ。

明日菜だって、嬉しそうに笑ってたし。冷蔵庫にいろんな食材あって、ふだんの明日菜なら使わないよなあ?って思ったし。

楽しげな雰囲気がかわいいな?なんて、ずっと見ていたいのに、

ー俺の目はいまモニター。

手はキーボード。

さっきまで軽口は交わしていたけど、無言でハイペースになってる。

このままじゃ、日付けが変わる。

つい口からまた出た謝罪に、イケカマ係長がため息をついた。チラッと時計をみて、

「蓮と村上は帰りなさい。私があとはやるわ」

「えっ?でも、俺のミスだし」

「なんのために私の役職があるのよ?あんたみたいな小僧のミスくらいカバーしてあげれるわよ?ふたりとも新婚なんだから帰りなさい」

「いや、村上くんはともかく、僕は新婚じゃないですよ?もう家族は寝てるだろうし」

「蓮は帰りなよ?僕が代わりにできるからさ?」

って新たな声がきこえて、イケカマ係長の夫でもある課長が私服姿で笑っていた。

「どちらにしろ、最終チェックは僕らの仕事だしね?僕らも夫婦水入らずの時間を楽しみたいし?」

って、やわらかく笑う。

物腰はやわらかいけど、仕事はシャープなんだよなあ?

俺がどうするか迷うまえに、イケメン先輩が苦笑した。

「ありがとうございます。じゃあ、村上くんと、先に帰らせていただきます」

って、ゴリラみたいな毛むくじゃらの大きな手が俺の後頭部をつかんで、そのまま問答無用で下げた。

「ほら、帰ろう」

って半ば強引に、帰り支度をさせられる。

「えっ?だけど」

「明日はそのまま、休みでいいわよ?休日出勤とか迷惑だから」

とまで言われる。課長の凄さは誰でもわかっていた。

やっぱり敵わないと思いながら、俺はもう一度、謝罪とお礼を言った。

イケメン先輩と会社を後にした。

やっぱりかっこいいよな?って思う。し、俺のミスだ。

ため息がでた。

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