だけど、束縛?
「俺、これ以上明日菜を束縛したいんですかね?」
そう、たぶんしたいんだろうけど。
あきれたように、そんな俺をみてイケカマ係長がいう。
「まあ、あんたは束縛したいのをずっと我慢していたわけだし?というか、無視っていう名の最大の束縛をしていたわけだし?」
確かに。決定的なサヨナラを言わなかったのは、俺でかなり、いや、出鱈目にリセットしたのも俺だし。
もう隠さないでも、というか、俺はバカのひとつ覚えみたいに言い続けてたよなあ。
俺の彼女は神城明日菜だって。その度に前歯で下唇をかんでさ?
けどさ?
だれも信じてくれないまま、まあ、柴原がいたけど。
やっぱり柴原は俺の国宝だって思うけど。
だけどさ?
「俺から明日菜にまともにしたプレゼントって、ネックレスくらいなんですよね。しかもノーブランドだし」
そもそも学生だった時に買ってたし。
指輪だって昔みたいに給料の3カ月なんかしてない。俺の釣具の方が高くね?ってあとからひいたような?
まあ、ぼちぼち地道に買ってたわけだけど。わりあの魚と長い付き合いだよなあ。
すっかり明日菜もあの魚以外は、玄界灘の恩恵を喜んでるけど。
釣具を明日菜にプレゼントしたって喜ばないだろうし?
「柴原にチョイスはまずいですよね?」
「あら?あんたでもそれくらいの余裕はできたのね?」
「まあ、まずいだろうな?僕でもマズイとわかるし?」
「イケメン前は、なにをあげたんですか?」
「僕?僕は真央にきいたかな?そしたら、とりあえず子供を置いて自由が欲しいって言われて反省したかな。だから、こんど、奥さん借りるかも?」
「あー、なるほど。明日菜は俺の所有物じゃないから、どうぞ?」
って俺は伝える。
「あたしのところは共働きだし、もう食事や旅行とかかしら?」
って係長はさらりと艶々の金髪を指ですいながら、笑う。相変わらず美人だよなあ。
「とりあえず早く帰れるように、仕事を終わらせましょう」
って言った。そりゃそうだ。
俺のために残業なったわけだし。
あとから考えよう。